韓国国内で東京五輪バッシング続出 文在寅「反日やりすぎ」で南北合同チーム頓挫寸前

文春オンライン / 2019年9月29日 19時40分

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国連総会に出席した文在寅大統領(9月24日) ©共同通信社

 日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄決定後も、世界貿易機関(WTO)への提訴など、日本政府の輸出管理の厳格化への対抗措置を露骨に連発し続けてきた韓国。民間レベルでも、日本製品の購入ボイコットや日本への渡航自粛の動きが現在も続いている。

 しかし、いまや韓国の反日政策は「出せる手は出し切った」といった状態。これまで日本政府に息巻き、反発し尽くしてきたが、新たな手を失い、今は肩で息を切っているようにも見える。

 そんな中、文在寅大統領を悩ませているのが、東京オリンピックをめぐる問題だ。

 朝鮮半島の平和を演出するために東京オリンピックを利用したい文大統領に対し、韓国国内は日本批判に使える新たな手があるなら「何でも使いたい」という状態。市民から改めて五輪ボイコットの要求が出されるなど、“東京オリンピック潰し”にブレーキが利かなくなっているのだ。

南北合同チームは文政権最大の政策課題の一つ

 文大統領は国連総会への出席のため米ニューヨークに滞在していた9月24日、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長と会談し、東京オリンピックへの北朝鮮と合同チームを結成しての参加と、2032年夏季五輪の南北共同誘致に改めて意欲を伝え、支援を求めた。

 韓国と北朝鮮、IOCは今年2月、4競技で南北合同チームを結成し東京オリンピック出場を目指すことなどを決めていた。この日もバッハ氏が、昨年2月の韓国での平昌冬季オリンピックと、来年の東京オリンピック、そして22年の北京冬季オリンピックと続く「五輪のリレーの成功を願う」と述べ、日中韓の協力を促した。

 韓国大統領府はわざわざ、この「バッハ発言」を喜々として国内に向け発表。東京オリンピックで「朝鮮半島の南北が脚光を浴びたい」という文大統領の意気込みが伝わってきた。

 北朝鮮との和解、朝鮮半島の平和を切望する文大統領としては、東京オリンピックへの南北合同チームを結成しての参加は、政権最大の政策課題の一つなのだ。

歯止めが利かない「内なる反日」

 しかし、文大統領が描く「平和の祭典」の舞台に、水を差す動きが韓国で進んでいる。放射能問題を持ち出して、ボイコット運動にも火が付きかねない状況なのだ。

 与党「共に民主党」の「日本の経済侵略対策特別委員会」(崔宰誠委員長)は9月26日に、東京オリンピックで使われる競技施設周辺での放射性物質の検出量を示す“放射能汚染地図”を公表した。日本の市民団体が公開した資料を基に作成されたこの地図には、福島第一原発や聖火リレーのスタート地、野球・ソフトボール会場となる福島県営あづま球場などが明記されている。

 崔委員長は記者会見で「日本の汚染水の放流が騒動になっているため、日本全域の水産物は東京オリンピックの選手団だけでなく、オリンピックの訪問客全員に影響することになる」と指摘。

 さらに、同じ会見で「日本の経済報復によって、日本国民に損失が及ばざるを得ない。そういうことを安倍首相がしていると立証されている。安倍政権が今からでも韓国への経済侵略をやめることが、日本国民のためになる」と主張、福島第一原発事故によるオリンピックへの影響を訴えることで、日本による韓国への輸出管理厳格化に対抗しようという思いを隠さなかった。

 さらに韓国政府も、東京オリンピックと放射能を結びつけた対日批判を国際舞台で展開している。

 9月16日にオーストリア・ウィーンで開かれた国際原子力機関(IAEA)年次総会で福島第一原発での放射性物質を含む処理水の処分をめぐり、韓国科学技術情報通信省の文美玉第一次官は「原発汚染水の海洋放出が決定した場合、全地球的な海洋環境に影響を及ぼし得る重大な国際問題だ。福島原発汚染水の処理問題が全世界的に不安感を増幅させている」と主張した。

 韓国政府は「処理水」を「汚染水」と言い続け、世界に向けて不安をあおるかのように国際会議の場で訴えたのだ。このような韓国政府や与党の姿勢に、市民団体やメディアが便乗し、ネガティブキャンペーンを展開し始めている。まるで水を得た魚のようだ。

“放射能汚染地図”が公表されたのと同じ日、韓国大統領府近くの広場では、大学生らが集会を開催。「福島原発からの放射性物質による選手らへの影響が危険だ」と訴え、東京オリンピックのボイコットを韓国政府に要求したのだ。

「東京オリンピックをボイコットせよ」との主張は決して大勢ではないが、一部で燻り続けている。しかも、政権与党の議員、さらには文政権の支持層である若年層や左派が、火を付けて回っている。東京オリンピックでの南北統一チームを実現させたい文大統領としては、厄介な問題なのだ。

北朝鮮も「韓国との対話拒否」

 また、「旭日旗」をめぐる問題も盛り上がりを見せ始めた。

 韓国文化体育観光省は9月11日、IOCのバッハ会長にあてた書簡で、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が旭日旗の競技場への持ち込みを禁止しない方針を示したことに「深い失望と憂慮」を表明。さらに「旭日旗使用の不当性」を訴え、使用禁止措置を要請した。

 以後、韓国国内ではオリンピック競技場への旭日旗持ち込みに反発する動きが、市民団体、政界、メディア、学者らの間で一層目立っている。

「日本帝国主義のアジア侵略戦争時に使われた日本軍の旗で、現在も外国人に対する差別や嫌悪の集会などに使用されている」(朴良雨文化体育観光相名義でのバッハ会長への書簡)

「ナチスのハーケンクロイツ(カギ十字)が欧州に第2次大戦の悪夢を思い出させるように、旭日旗は日本の侵略を受けた韓国や中国、東南アジアなどに歴史の傷を想起させる明白な政治的象徴だ」(同前)

 こうした韓国政府の“お墨付き”は、日本を攻撃しようと手ぐすねを引いていた人を勢いづけている。このままでは、韓国はオリンピックの場で日本を場外に引きずり出し、南北融和を演出する平和の祭典とには程遠い、乱闘を展開しそうな情勢なのだ。

 実は、北朝鮮は今年2月に南北合同チームの結成を合意しながら、その後韓国との対話拒否に転じていて、いまだ東京オリンピックに関する協議は進んでいない。

 東京オリンピックは、文大統領にとって、しばらくは頭痛の種となりそうだ。

(名村隆寛(産経新聞ソウル支局長)/週刊文春デジタル)

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