「ストレスがうなぎ上り!」 ひたすら謝るのが仕事だったクレーム対応の画期的な改革

文春オンライン / 2019年10月17日 11時0分

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 人見知りで気弱なOLが年間2000億円の債権を回収するまでを綴った『 督促OL修行日記 』の著者が数年後、オペレータたちを束ねる監督者に昇格。部下の指導に追われる毎日のなかでも感じる“クレーム対応”への変化とは。

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一昔前はただひたすら謝るのが仕事

 私がコールセンターで働き始めてから、気が付けば10年以上が経過していました。

 10年も経てばコールセンターも変わりますが、その中で1つ、最近大きく変わったと思うのがクレーム対応です。

 一昔前、私が新卒でコールセンターに入社したとき、クレーム対応はただひたすら謝って、相手の怒りを収めることだと教えられました。

 逆に言うと、コールセンターのオペレータにはそれしか手段がありませんでした。お客様に言い返すなんてもってのほか、怒鳴られても罵詈雑言を投げつけられても、とにかく謝って相手が落ち着くまで耐えなければなりませんでした。

 誰だって一方的に怒鳴られ続けるのは嫌なものです。何度も言っていますが、コールセンターで電話を取っているオペレータは、大半が非正規雇用―派遣社員や契約社員、アルバイトです。お客様に無茶な要求を言われても、それに応じる権限はありません。けれど電話口のお客様はそんなことは関係なしに「はやくなんとかしろ!」「とにかく責任を取ると言え!」と迫ってきます。

目的は、言い返してこない相手を怒鳴ること

 相手の要求を断わる事しかできず、電話口で対応しなければならない。そうなるとオペレータに出来ることはただ1つ―「謝る事」だけです。

 お客様もコールセンターに電話をするとオペレータはひたすら謝り続けるので怒鳴りたい放題。日頃のストレス解消では? と思うくらい、何度も、何時間も激しく責め立ててきます。こうなると、目的は商品やサービスの文句を言うことではなく、ただ単に言い返してこないオペレータを怒鳴る事になります。これはもういじめです。

 ただでさえ電話口で話しっぱなしなのに、その上いじめのように怒鳴られる。

 これではオペレータのストレスもうなぎ上りです。

 そんなコールセンターで私たちオペレータは長らく怒鳴られることに耐えてきました。けれど近年になってやっと、謝罪以外のクレーム対応を行うコールセンターが現れたのです。

クレーム対応の画期的な改革

 例えば、とある保険会社のコールセンターでは、何度もクレーム電話をかけてくる顧客に対しては会社で契約をしている弁護士へ対応を委任することにしました。そうした弁護士対応案件になっている顧客からコールセンターに電話が入った場合、オペレータは即座に「〇〇弁護士にお任せしているので、弁護士へ連絡してください」と電話を切ることができます。弁護士対応を導入することによって、今までのように何時間も怒鳴られることが無くなり、オペレータはその時間を通常の業務に充てられるようになりました。もちろん罵詈雑言を浴びせられ、精神的な負荷を負うことも軽減されました。

 近年は「カスタマーハラスメント」という言葉もよく聞くようになりました。顧客の理不尽な要求に対処しよう、という流れが出てきています。それは少しずつではありますが、コールセンターにも広まっています。

 なにより、コールセンターで働いてくれているオペレータさんは貴重な人材なのです。

理不尽な要求には「NO」を

 そもそも売り手市場の昨今、コールセンターに応募してくれる人も減って、採用だって大変です。

 やっとの思いで採用したオペレータさんたちにみっちりと研修を行い、ようやく一人立ちさせ電話を取ってもらったら運悪くクレーム。怒鳴られたショックで次の日から来なくなってしまった、なんてことは多々あります。

 そんな光景を目の当たりにする度に「貴重なオペレータさんになんてことしてくれるんだ!」と私たちはクレーマーのお客様に怒り心頭になります。

 いままでコールセンターはお客様の声を聴く場所でした。その「聴く」の中には理不尽な要求を我慢して聴くことも含まれていました。けれど、もう我慢しない、理不尽な要求にはコールセンターのオペレータだって「NO」と言っていこう、という空気ができてきているように感じます。そしてコールセンターの大半は、理不尽な要求からオペレータを守ろう、という方向に向かっています。それはとても喜ばしくいい流れだと思います。

 まだまだ弁護士対応などの手段を導入してくれているコールセンターは少ないですが、コールセンターにもオペレータを守るためにできることはもっとあるはずです。理不尽なことで怒鳴られることのないコールセンターの時代がいつか訪れることを、切に願っています。

(榎本 まみ)

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