大人向けのONE N' ONLYのサウンド そろそろ潮目が変わるのか?――近田春夫の考えるヒット

文春オンライン / 2019年11月18日 11時0分

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絵=安斎 肇

『Category』(ONE N' ONLY/ワンエンオンリー)/『Big Shot!!』(ジャニーズWEST)

 ネーミングの傾向のせいなのだろうか、てっきりジャニーズの新人かと思い込んでしまっていたONE N' ONLYだったが、音を聴き始めると、すぐにそうではないことがあきらかになっていった。それであらためて逆に、ジャニーズには、他と彼等を分ける厳然としたカラー/スタイルが存在しているのだと知ることとなった格好の俺だったが、それでは“ジャニーズ・サウンド”とは一体何なのか? そこはまだ残念ながら、上手くコトバに出来ていない……。

 ところでONE N' ONLYだ。どこでこれを「ジャニーズではない」と思ったのか。イントロが始まった途端、とっさにアタマに浮かんだのが“エッジ”といういい回しだ。それは俺にとっては、おそらくは“刺激的な”ぐらいの意である。そしてそういえば我が御幼少のみぎり――思い出せば――歌謡曲のサウンドに必ず欠けていたのがその要素だったのかもなぁと……? オォ! いい具合に論理の展開が出来てるじゃん(笑)。

 '50年代、私がアメリカンポップスにのめり込んだのも、要はその“音響の持つ刺激”がたまらなかったからである。比ぶれば歌謡曲の音は、どこまでいってもぬるかった。

 その独特な“ぬるさ”を愛でるようになったのは、グループサウンズにハマったあたりからのことだったろうか。いつかしら“風流”という音楽の愛しかた/愉しみかたに、私は開眼したのかもしれない。

 ONE N' ONLYに話を戻すと『Category』のエッジの効いたサウンドプロダクションを耳にし、これはジャニーズではないことは勿論、そもそも和物ではない。韓国のグループではないのか? と思ったものだ。しかし、編集から届けられた資料には、そのようなことは何も書かれていない。彼等はれっきとした和製ボーイズアイドルなのである。

 そうなると気になってくるのが作り手/プロデューサーだろう。調べてみた。

 作詞、作編曲には、JUNEの名がクレジットされていた。そこでこの名を調べていくと、どうやら活動拠点を日本に置く韓国のミュージシャンのようで、日本語でも歌詞が書けるとのことらしい。すでに各方面、アイドルなどにも作品を提供してきた実績があるようだった。

 いずれにせよ、今回のサウンドに感じるのは、グループのアピアランスなどから受ける印象よりは、音作りがかなり“大人向け”なものになっているということである。

 いっときは地方から売り出してきたグループなど皆、ジャニーズへ右へならえ! な、若作りな曲調であった。そうした意味でこれはハッキリと、ジャニーズに対し“アンチ”を唱えている風にも聴こえる。今までは、そうした試みはあまり成功してこなかったが、そろそろ潮目が変わりつつあるのか? どうなのだろう。

 ジャニーズWEST。

 サウンド問題はさておき、声ってのはあるね。この屈託なき響きのユニゾンは、やはり他の追随を許しはしない。

ちかだはるお/1951年東京都生まれ。ミュージシャン。現在、バンド「活躍中」や、DJのOMBとのユニット「LUNASUN」で活動中。近著に『考えるヒット テーマはジャニーズ』(スモール出版)。近作にソロアルバム『超冗談だから』、ベストアルバム『近田春夫ベスト~世界で一番いけない男』(ともにビクター)がある。

(近田 春夫/週刊文春 2019年11月7日号)

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