ヤフー・LINE統合へ 鍵は文・韓国大統領と孫会談にあった

文春オンライン / 2019年11月14日 15時0分

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孫正義会長兼社長 ©時事通信社

 検索サービス「ヤフー」を展開するZホールディングス(ZHD)とLINEが経営統合に向けて最終調整に入った。日本経済新聞が14日朝刊一面トップで報じた。

 ZHDの株式を4割握るソフトバンクとLINEの株式を7割保有する韓国ネイバーが協議しており、月内の基本合意を目指すという。LINEの対話アプリの利用者数は国内外合わせて約8000万人で、ヤフーのサービスは約5000万人。さらに金融、小売りなど多様な事業を手掛けており、統合が実現すれば東アジアを基盤に一億人を超すユーザーをもつ「メガプラットフォーマー」が誕生することになる。

メインバンクのみずほも統合を後押し

 筆者はこの動きを週刊文春(10月10日号)のTHIS WEEK欄で「ソフトバンクグループの窮地で 孫正義が狙うLINE買収」と題して取り上げた。その裏取り取材で浮かびあがったのは、両社の統合は経済合理性があり、メインバンクも後押ししているということであった。両社の結節点にいたのはみずほフィナンシャルグループ(FG)だった。

 ZHDを含むソフトバンクグループ(SBG)のメインバンクはみずほ銀行であり、LINEのメインも同行。しかも、みずほとLINEは共同でネット銀行「LINE Bank」を設立、来年の開業を目指して準備を進めている。また、SBGの孫正義会長兼社長によるアーム買収(3兆3000億円)でファイナンスしたのはみずほ銀行であり、孫氏が立ち上げた「ビジョン・ファンド」にも関与している。

LINE取り込みは今年4月時点で念頭に

 SBGによるLINE取り込みは、ヤフーを会社分割して持株会社ZHDを立ち上げると発表した今年4月時点ですでに念頭にあったと思われる。ZHDは買収の受け皿となるインキュベーター(ベンチャー企業の支援を行う団体)となるもので、実際、10月1日の設立を待つように、ZOZOもZHD傘下に入った。そしてLINEである。

 SBGの買収戦略の巧みさは、組織再編と税・会計処理の妙にある。「親子・孫上場によるガバナンス上の問題はあるが、中間持株会社を巧みに使い買収を仕掛ける。同時に合法的な税的なメリットを最大限に活かしている」(メガバンク幹部)と言っていい。今回のLINEとの統合においても、SBGとネイバーは共同出資の新会社を作り、その子会社にZHDが入る形が検討されているが、これは暫定的な形態で、いずれ株式交換等によりグループ内で組織再編されることになろう。LINEは事実上、SBGに買収されると見ていい。

統合には両社の台所事情も影響

 両社の統合に経済合理性があるというのは、米国や中国のメガプラットフォーマーと対抗するという側面があるとともに、両社の台所事情も影響している。特にSBGについては、孫氏が創成した10兆円の「ビジョン・ファンド」が投資するシェアオフィス大手・米ウィー・カンパニー(We Workを運営)が新規株式公開(IPO)を延期したのを境に市場ではビジョンファンドが投資する他のユニコーン企業群についても疑念が持たれはじめている。直近の7~9月期決算はビジョン・ファンドの巨額損失で「ぼろぼろ。真っ赤っかの大赤字」(孫社長)に転落した(最終損益は7001億円の赤字)。

 一方、LINEも主力の対話アプリの成長が頭打ちとなり、新たな収益源の確保に迫られている。金融事業を含む戦略事業の営業損益は赤字で金融事業のテコ入れは待ったなしである。両社が接近するのは自然の流れと言える。

流れを決定付けたのは孫氏の韓国政府への接近

 そして、その流れを決定付けたのが孫氏の韓国政府への接近だった。経産省関係者は、「孫正義氏は7月上旬にソウルで文在寅大統領と会って握手している。韓国から金を引っ張るつもりだ」と筆者に明かしていた。その席で何が話されたのか。ビジョン・ファンドへの協力とともに、LINEの親会社である韓国ネイバーへの働きかけがあったのではないか。

(森岡 英樹)

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