“166センチのスクラムハーフ”田中史朗が明かす「ラグビー日本代表が本当の『ONE TEAM』になった試合」

文春オンライン / 2019年11月20日 11時0分

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田中史朗選手 ©文藝春秋

「『ありがとう!』。最近、街を歩いていると見ず知らずの方から、そう声をかけられることが多くあります。2015年、前回のワールドカップで南アフリカに勝ったあとは、ファンの方々から『おめでとう』と言われることが多かった。『おめでとう』と『ありがとう』。どちらも嬉しい言葉ですが、『ありがとう』の方がより自分たちのことと重ねて見てもらえたのかなという気がします。皆さんがそれだけ感動してくれることを自分たちが成し遂げたんだ、と思うと誇らしいし、日本のラグビーがそこまで来られたことが本当に嬉しいです」

「俺が死んだら、いい人見つけてな」

 こう語るのは、ラグビー日本代表スクラムハーフの田中史朗選手。バックス陣最年長の34歳、身長166センチ、体重72キロとラグビー選手としては小さな体で、代表をけん引した田中選手は発売中の 「文藝春秋」12月号 で3大会連続での出場となったラグビーW杯2019の「秘話」を明かしている。アジア初開催となった今大会。日本代表は格上とみられたアイルランド、スコットランドを撃破し、予選プールを4戦全勝で突破、史上初のベスト8進出を果たした。

「今大会、代表の最終メンバーに選ばれるかどうかは、自分でも最後までわかりませんでした。正直、もう難しいのかなと思う時もありましたけど、『諦めちゃダメ』と言い続けてくれたのは、ウチの嫁さんです(元バドミントン選手の智美さん)。

 結婚したときから、嫁さんには『俺が死んだら、いい人見つけてな』と言っていたのですが、今回のW杯が始まる前に、改めてそう伝えました。身長2メートル、体重100キロ以上の、トラックみたいな海外の選手が、僕みたいな小っちゃいおっさんに突進して来るんですから、怖いと言えば怖いんですよ(笑)」

アイルランド戦で感じた「これはいける」

 ヘッドコーチのジェイミー・ジョセフ氏が掲げたチームテーマ「ONE TEAM」は流行語にもなった。田中選手が「チームが本当のワンチームとなった」と感じたのは予選プール2試合目のアイルランド戦だった。

「(あの試合は)前半にディフェンスで身体を張ったおかげで、後半に逆転して勝つことができた(19-12)。初戦のロシア戦は、みんな緊張してグダグダやったけど(笑)、あの試合で、これはいけるという実感を持つことができました。

 代表チームはこの1年間で通算8カ月も合宿をして、家族より長い時間を一緒に過ごしてきたし、ジェイミーもミーティングなどでずっと『ワンチーム』の重要性を説いてきました。選手一人ひとりも強くそう思ったことが形になり、チームが一体となったのが、あのアイルランド戦でした。あれで自信が上がり、続くサモアとスコットランドとの試合にも勝てたのだと思います」

開幕戦の前日にジェイミーHCが配った“武器”

 開幕戦のロシア戦の前日にジェイミーHCはチームの結束を高めるための“武器”を配ったという。

「チーム全員に『パトゥ』というマオリ族に伝わる武器のレプリカを配りました。『ONE TEAM WC19』と文字が彫ってある特注品で、『戦いに行くとき全員結束すれば、強くなる。武器となる』と、僕らの意識を鼓舞していったのです。そうしてチームは大会中にワンチームとなり、目標であったベスト8に進出できました」

 W杯初のベスト8進出は必然だったのだ。田中選手が語る代表に初選出された2008年から今大会までのジャパンの歩みを改めて読むと、その想いがきっと強くなることだろう。全文は「文藝春秋」12月号および「文藝春秋digital」の「 ジェイミーとエディーが教えてくれたこと 」に掲載されている。

(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2019年12月号)

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