新型コロナ「除菌用アルコールが品切れ。自宅の消毒、入浴・シャワーをどうするか?」医師21人の実践的回答

文春オンライン / 2020年3月17日 6時0分

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医師は自宅で、どこまで消毒しているのか? ©iStock.com

新型コロナ「親が陽性。そのとき我が子をどうする?」医師21人が本音回答 から続く

 WHO(世界保健機関)が「パンデミック」(世界的な大流行)を宣言した新型コロナウイルス。もはや、いつ誰が感染しても不思議ではない状態となっている。予防に力を入れることはもちろん重要だが、万一、自分が感染した時を想定した対策を講じておく必要がある。

 そこで21人の臨床医に、自分が家庭内で実践している、あるいは“その時”が来たら実践するであろう取り組みについて、アンケート様式で答えてもらった。

家庭内ではどこまで消毒するべきか?

 厚労省が公表している、感染が疑われる場合の家庭内の対策の中でも、手洗いの徹底やマスクの着用と並んで奨励されているのが、「家庭内での共有部分の消毒」だ。

 ただ、各家庭で「いったいどこまで消毒をすればいいのか」については、悩ましい問題だ。現場の医師の家族に感染の疑いが出たなら、自宅でどこまで消毒するのか。

「テーブルとソファ、各種リモコンは特に消毒を心がける」(B医師=50代男性、消化器内科)

「手に持って使ったものはすべてアルコール消毒(噴霧を含めて)」(M医師=60代男性、消化器外科)

「外出着はアルコール消毒(エアロゾル)を日常的に」(F医師=60代男性、心療内科)

「スプレー式のアルコール噴霧はある程度効果が期待できる。洋服が心配なら日光消毒かクリーニングも考慮」(K医師=60代男性、感染症・膠原病内科)

「家庭内ではあまり気にならないが、公共の場では神経質になる。電車の吊革のようなものに触ったら消毒する。人に貸したスマホなど、他人の唾液が付いた危険性のあるものは消毒する」(O医師=50代男性、眼科)

トイレでの注意点とは?

 このように医師によっても対応はさまざまだが、新型コロナウイルスの場合、「糞口感染」する可能性が指摘され、トイレの清潔管理は特に重要だといわれている。

「糞口感染の予防は、基本的に接触感染の予防と同じ。便器、ドアノブなどはもちろん、床やスリッパの消毒、手拭きを頻回に交換するなどの取り組みを徹底する」(K医師=60代男性、感染症・膠原病内科)

「基本的には便座のアルコール消毒をして、流す時はフタをする。タオルの共用はしない」(E医師=40代女性、泌尿器科)

「トイレのドアのノブ、水栓のレバーやボタン、トイレットペーパーホルダー、便座を使用するごとにアルコール消毒」(B医師=50代男性、消化器内科)

「新型コロナが騒がれ始めたときから、アルコールのトイレ洗浄拭きを毎回使用している」(G医師=40代女性、整形外科)

 除菌用アルコールが品薄となっているが、次亜塩素酸ナトリウム(キッチンハイターなど)を水で薄めても除菌効果はあるという。ドアノブなどの除菌には代用できそうだ。

 できることなら感染の疑いがあるなら、トイレも別にしたいという声もある。

「自宅は各階にトイレがあるので、もしもの場合は使い分ける」(C医師=50代男性、泌尿器科)(M医師=60代男性、消化器外科)

 この質問に回答したほぼすべての医師が、トイレ後の「手洗いの徹底」を挙げている。

「トイレは使用後だけでなく、使用前にも手を洗う」(A医師=50代男性、消化器内科)

「手洗い後は使い捨てペーパーを使う」(L医師=40代女性、耳鼻咽喉科)

除菌用アルコールが手に入らないならどうするか

 一方で、アルコールなどの除菌剤が手に入らないことを背景に、こんな回答も目立った。

「家庭では特に何もしないで、手洗いとうがいだけ」(C医師=50代男性、泌尿器科)

「“疑い”なら特に何もしない。感染が“確定”なら、アルコールと次亜塩素酸ナトリウムを使って、消毒できるものはする」(T医師=50代男性、小児科)

 また、必要以上に神経質になる必要はない、という声も少なくない。

「通常の衛生管理で十分」(Q医師=50代男性、脳神経外科)

「消毒薬はもう売ってないので、石鹸で手洗いとうがいのみ。持ち物の消毒はしない」(A医師=50代男性、消化器内科)

「消毒はしない。外出から帰宅したら手洗い」(R医師=40代男性、脳神経外科)

「うがいと手指消毒が限界」(N医師=40代男性、脳神経外科)

「特に消毒はしない」(I医師=50代男性、整形外科)

 最後にこんな本音も……。

「理想はアルコール消毒ですが、手に入りにくい今、難しい質問です……」(L医師=40代女性、耳鼻咽喉科)

 マスク不足、アルコール不足は医師の家庭も同じこと。冷静に、いまできることを確実に行っていくしかないのだ。

お風呂を通じて感染するのか?

 さらに家庭内の感染で迷うのが、感染の疑いがある家族が出た場合、「入浴はどうすべきか」ということだ。風呂を通じて感染するようなことはないのだろうか。

 まずは「入浴する」という回答から。

「高熱で具合が悪くなければ入浴は可能と思うが、感染が疑われる人は最後に入る、脱衣所で使うスキンケア用品は旅行用の小サイズのものを持ち込み、使用後は自室に持ち帰る、などの工夫をした方が無難かも」(E医師=40代女性、泌尿器科)

「お風呂は全身についたウイルス量を減らすために入ります。念入りに身体を洗います」(L医師=40代女性、耳鼻咽喉科)

「熱で体力が消耗してない限り入浴して構わない。石鹸でウイルスは十分洗い落せる。ただし、体を拭くタオルは使うごとに交換、洗濯し、家族とは共用しない」(K医師=60代男性、感染症・膠原病内科)

「一般的にウイルスは熱に弱いので、入浴はもちろんサウナにも入る」(P医師=50代男性、脳神経外科)

シャワーを勧める医師も

 一方で、入浴ではなくシャワーを勧める医師もいる。

「清潔にすることは大切で、風呂に入ることは悪くはないが、入浴前のシャワーによる洗浄は念入りにする」(F医師=60代男性、心療内科)

「入浴は問題ないと思うが、シャワーならより安全」(B医師=50代男性、消化器内科)

「家庭内の誰かに感染の兆候が出たら、(風呂ではなく)シャワーになるかもしれない」(I医師=50代男性、整形外科)

 さらに「入浴しない派」、あるいは「条件付きの入浴派」も。

「感染の疑いがあるなら、体の負担を考えて入浴は避ける」(S医師=40代男性、緩和ケア科)

「風呂は疲労を考えると避けたいが、精神・衛生を考慮し、全身状態が悪くなければ最低限は可とする。ただし入浴時間は短くし、疲れないようにする。風呂から出たらすぐに体を乾かして冷えを防止する」(D医師=50代男性、漢方内科)

 感染予防というよりは、体力の消耗を避けるための入浴回避といえそうだ。

 未曾有の事態だけに、医師もひとつひとつ考えながら対策を講じている。私たちもしっかりと情報収集をして対応したい。

◇◇◇

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(長田 昭二/週刊文春デジタル)

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