《現場写真入手》暁星学園サッカー部暴行事件 被害者家族が怒りの告発「ケンカじゃない。1対複数の集団暴行なんです」

文春オンライン / 2020年3月24日 18時30分

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暁星学園中学校サッカー部(「暁星中学 サッカー部 父の会」ウェブサイトより)

 2020年1月31日、東京都千代田区にある名門・暁星学園中学校のサッカー部で警察が介入するほどの暴行事件が起きた。暁星学園は完全中高一貫校で、出身者は東大卒の俳優・香川照之やサッカー元日本代表の前田遼一、ファッションデザイナーの菊池武夫氏など、各界で活躍している。「週刊新潮」(2020年3月5日号)は「中学2年生の部員2人がロッカーの取り合いで喧嘩になり、倒れ込み揉み合いに。やがてマウントをとられた被害者は顔面に大きな衝撃を受け意識を失った」という内容の記事を掲載している。

 しかし事件の真相はもっと深刻なものだった。被害者であるA君の家族は「この事件は1対1のケンカではなく、1対複数の集団暴行だったようなんです」と明かす。

生死の境を彷徨った……「この事件は1対複数の集団暴行」

「1対1の喧嘩から始まったようですが、周囲には少なくとも他に3人のサッカー部員がいました。Aから聞きましたが、気絶する前に喧嘩相手以外の足が伸びてくるのが見え、直後に大きな衝撃を受けて気を失ったと言うんです。その後、Aは集中治療室に運び込まれ、生死の境を彷徨いました。ただのケンカではなかったようなのです」(被害者家族)

 事件の発端は、小さな諍いだった。中学2年生のサッカー部員2人が、3年生が引退して空いたロッカーを誰が使うかで口論を始めたのだ。

「3年生が引退し、ロッカーが大量に空いたんです。それを誰が使うかということで、A君とB君が口論になった。口論で収まらなくなった2人は、BがAのサッカー用ズボンをプールに投げ込んだ。それに対抗し、AもBの靴とバッグを水で濡らしました」(目撃した生徒)

「蹴られた後、A君は動かなくなりました」

 しかしこのバッグはBのものではなく、周囲にいた別の部員のものだった。そのことにカッとなったC、D、Eが争いの輪に入り、揉み合いに発展していった。

「口論から揉み合いに発展する際、C君が鉄パイプでA君の背中を軽く殴りました。そこからヒートアップしていった。この鉄パイプは以前校内に落ちていたもので、パイプ内にビニール傘の骨を突っ込んでガムテープでグルグル巻きにして補強し、“武器”にしていた。それをみんなでプール横に隠していたんです。C君はそれを持ち出してきた。

 そこから1対4のような形になり、ついにはA君が転倒し、B君にマウント(馬乗り)を取られてしまった。そこへD君がA君の顔を思いっきり蹴ったのです。蹴られた後、A君は動かなくなりました」(同前)

A君が気絶した後も暴力は続いた

 倒れる前に互いの耳や鼻を引っ張り合っていたからか、A君は鼻血を出していた。そこへさらに顔面を蹴られ、A君は意識を失った。しかしA君が気絶をした後も、A君に対する暴力は続いた。

「次はC君が、気絶して動かなくなったA君の両手を引っ張って起こし、パッと手を離してまた倒れさせるということをしていました。周囲にいたB君、D君、E君たちは、A君がふざけて倒れたふりをしていると思っていたようです。しかし、何度手を引っ張っても起きない様子を見て、徐々に焦り出した。しかし、そんな状況でもB君は気絶している姿を面白がりスマホで写メを撮っていた。その後、A君がまったく目を覚まさないので先生を呼びに行くことになったのです」(同前)

意識不明の容態なのに……被害者の画像が校内に拡散されていた

 報告を受けた教師はAEDを持って現場に急行したという。夕方の16時30分頃、日が傾き周囲は暗くなり始めていた。現場の様子を聞いたというサッカー部員の保護者が語る。

「被害者が自発呼吸をしていたのでAEDは使わなかったようです。先生が到着して、その20分後には救急車で病院へ運ばれていきました。その日、A君は19時過ぎまで意識が戻らなかったそうです。そんな状況にもかかわらず、運ばれた直後の17時頃には被害者が気絶している画像が生徒内で拡散され、多くの生徒が画像を持っていた。そんな状況にゾッとしました。

 A君は意識が戻った後、約2週間、集中治療室から出ることができなかったんです。脳などに異常はなかったようで本当によかったですが、自分の息子が同じ目にあっていたかと思うと……。A君のご両親の気持ちを思うと、いたたまれません」

 生徒間で拡散された写真には、B君、C君、D君、E君に囲まれて気を失って倒れているA君の様子が写っている。写真の中のA君は、なぜか学校指定のリュックサックを背負っている。

「これはA君が自分のリュックが濡らされそうになったのを守るためだったと。そのリュックを背負っていたおかげで、マウントを取られた際に後頭部をぶつけないで済み、後頭部に外傷がなかったと聞いています」(同前)

「さらに罪深い」と保護者が憤る学校の対応とは

 中学生同士とはいえ、あまりに過激な暴力行為だ。しかし取材に応じた保護者たちは、「学校の対応はさらに罪深い」と憤る。

「2月8日にサッカー部の保護者へ向けて保護者会が行われました。そこでは『部員同士の喧嘩があり気絶した生徒がICUに入院している』、『麹町警察による現場検証があった』という報告があっただけで、再発防止策や学校として詳しい調査をするといったことが語られることはありませんでした。保護者からは今後の対策などを具体的に示してほしいという強い要望が上がりました。

 2月14日には学校全体での保護者会がありましたが、この事件に触れることはありませんでした。その後、新型コロナウイルスの感染拡大で休校に入った。学校側はこのままうやむやにしようとしているのではないかと不信感が募るばかりです。事件について直接学校側に問い質した保護者もいるのですが、『学校としての調査は終わりです』と言われたと憤慨していましたよ」(別のサッカー部員の保護者)

 ある保護者は生徒のクラス担任の教師に説明を求めたという。

「私は担任の先生に『事件について、A君とB君以外の部員について調査しないのはおかしい』と伝えたのですが、担任の先生も『僕もそう思っています。しかし、上の意向は今後この事件を大きくしないような動きで、僕個人では何もできない』という返答でした」(暁星学園に通う生徒の保護者)

「集団暴行に加わった第三者が野放しにされている状態が怖い」

 最も学校に不信感を抱いているのは被害者家族だろう。被害者家族は「(喧嘩相手以外に集団暴行に加わった)第三者が野放しにされている状態が怖い」と心中を吐露した。

「Aは当日の19時まで目を覚まさず、医師からは『死を覚悟するレベル』と言われました。不安で不安で、たまりませんでした。リュックを背負っている状態だったことから後頭部に外傷がなかったのが不幸中の幸いですが、左目付近には大きな外傷がありました。どう考えても1対1の揉み合いだけでついた傷ではないのに、学校はもう調査を終了するということです。命に関わるほどの事件があったのに中途半端な対応しかしない学校に対しては不安ですし、今回加害者とされたB君以外の第三者が野放しにされたままであることが怖い。

 Aは今でも二重に物が見え、右膝から下が麻痺した状態です。後遺症が残るかもしれない。学校には、何が起きたかをしっかりと調査していただきたい」(被害者家族)

 この事件に関して暁星学園に文書で事実確認を求めたところ、以下のような回答があった。

「1月31日 中学2年生の2人がけんかとなり、怪我を負った生徒が一時的に意識不明となり、病院へ搬送されました。詳細につきましては、未成年同士によるものですから警察がより慎重に捜査中であり、お答えすることが厳しい状況です。

なお、学校としての調査は暫定的に終了していますが、警察の捜査を踏まえて、調査結果の再検証をするつもりです」

(「週刊文春デジタル」編集部/週刊文春デジタル)

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