【新型コロナ】武漢の医師の“告発インタビュー”が突然消えた……中国の政府発表に気を付けろ

文春オンライン / 2020年3月30日 6時0分

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武漢では医療関係者の撤収も始まっている

 中国政府は3月19日、新型コロナの「震源地」である湖北省武漢市の新たな感染者がゼロになったと発表した。世界で新型コロナ拡大が続く中、中国はいち早く危機を脱し、終息間近だとアピールした格好だ。

 だが衛生当局の集計によれば、中国全体の新規感染者は3月中旬から再び増加傾向にある。ただし、政府は「ほぼ海外からの入国者だ」と説明。ウイルスの蔓延を許した当事国であることなど棚に上げ、今や「逆輸入」の食い止めに懸命だ。

 もっとも、14億の人口を抱え、14カ国と国境を接する中国の新規感染者が連日、「数人」という説明は、「本当だと誰が分かる?」とかみついたトランプ米大統領でなくとも、鵜呑みにはできない。

 3月20日、武漢のある団地で「昨晩、感染者が出た」と伝える画像がネット上に出回った。だが、この日の政府発表は武漢も含めて「国内感染者ゼロ」。慌てた区の共産党委員会は「検査は陽性だったが、無症状のため感染者に計上していない」と釈明に追われた。3月22日付の香港紙「サウスチャイナ・モーニングポスト」(電子版)は、こうしたカウント外の無症状感染者が4万3000人に上ると指摘する。

 習近平国家主席は、地方政府に対して、コロナ感染抑制と経済立て直しの二正面作戦を強いている。感染が再び広がれば工場や企業の再開に影響が出るため、地方幹部は感染者を少なく見せたい意識が働く。その結果、発表と現実に大きな乖離が生じているのだ。

 昨年末の初動対応の遅れも情報隠蔽が大きな原因だった。当時の武漢の異常さは今なお多くの医師が証言を続けている。

武漢の医師がインタビューで語った“情報隠蔽”

 3月10日、共産党系の月刊誌「人物」の公式サイトに、武漢市中心病院救急科主任・艾芬医師のインタビュー記事が掲載された。

〈(昨年の)12月30日、SARSに似たウイルスが検出された報告を見た。SNSで仲間に注意を促したが、病院の監察幹部から『組織の規律を乱した』と厳しく叱責された〉

〈1月初旬にはヒトヒト感染が明らかだった。私は仲間に防護服を着るよう指示したが、パニックになると却下された。でたらめな話だが、何もできずに患者が増えるのをただ見ていた〉

 艾氏は新型コロナで4人の同僚を失っている。インタビューに職を賭す覚悟で臨んだのは間違いない。だが、この記事は3時間後にネットから消え、掲載誌も発売後に回収された。

 習氏は初動の不備を認め「教訓をくみ取る」と語った。だが、情報統制を緩める気はさらさらないようだ。真実の声を封じる限り、同じ失敗は必ず繰り返される。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年4月2日号)

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