「イレギュラーなシーズンに勝つのはマリーンズ」ロッテ・井口監督の特別な想い

文春オンライン / 2020年6月19日 11時0分

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井口資仁監督 ©梶原紀章

 球場入り前に立ち寄るところがあった。6月13日、メットライフドームでライオンズとの練習試合が行われる前、東京都西東京にある田無神社を参拝する千葉ロッテマリーンズ井口資仁監督の姿があった。大事な勝負事の前には必ずここを訪れる。ようやく始まる2020年シーズンを目前に控え、気持ちを込めた。

井口監督がこの一年に挑む特別な想い

「一日も早くこの新型コロナウィルス問題が終息すること。そしてみんなが無事に一年間戦い抜き優勝することを願ったよ」

 球場入りをした指揮官は神妙な表情で語った。地元の田無神社には毎年、何回も足を運ぶ。今年だと初詣とオープン戦前に参拝をした。昨年はドラフト会議直前にも訪れ、ドラフト会議で令和の怪物と言われる佐々木朗希投手の獲得を願い、叶った。現役の頃から頻繁に通い手を合わせている。

 当初より3カ月遅い6月19日にプロ野球が無観客で開幕するという誰もが予想もしなかった異常事態の中、井口監督は地元の神社でまず事態の終息を願い、全力で戦い抜くことを誓った。

「こういう時だからこそ、テレビ越しになるけれど、見てくれているファンに熱い試合を届けたいと思う。勝つ事で喜んでもらい、楽しんでもらいたい。それがプロ野球の使命。一つの勝ちにチーム全体で挑む姿を伝えることが出来ればと思う」

 セカンドの定位置の辺りから練習を続ける選手たちを見つめながら指揮官はこの一年に挑む特別な想いを口にした。感染症予防の観点から長い期間に渡る自宅待機を貫いた。当初、選手たちは自宅やその周辺で体を動かすにとどまった。次のステップで2選手が1組となりようやくグラウンドで2時間の練習が解禁。そして5月下旬に全体練習がスタートした。我慢の日々。焦る気持ちを抑え、感染症予防を徹底し、選手たちには安全を第一に行動するよう呼び掛けた。久々にグラウンドで再会をした時、指示を守り、我慢を貫いた選手たちを誇りに感じた。

イレギュラーなシーズンだからこそ大事なこと

 指揮官としてまず気を付けないといけないことは怪我の防止だった。急に強度を上げると怪我につながることを想定。オーバーワークになっていないか目を光らせた。試合では無理のない範囲であえて途中交代を命じた。それはすべて先を見据えての事だった。

「先に開幕をした韓国のプロ野球では怪我人が多いという事だった。当然、これは日本でも起こりうること。こっちがコントロールをしてケアをしてあげないといけない。シーズンに入るともっと力が入る。こっちがしっかりと体の状態を見定めて慎重に起用してあげないと一年間は戦えない。みんなで一年間を戦い抜かないといけない」

 6月に始まり11月上旬に終わるイレギュラーなシーズンだからこそ指揮官のマネジメント能力が大事になる。当面は同一カード6連戦が続く。大局観が必要となる。井口監督は先を見据え、様々な状況、情報を分析し誰もが経験をしたことがない一年に挑む。

「こんな年だからこそ勝ちたい。そしてマリーンズはこういう時に強いチームでありたい。イレギュラーを言い訳にはしない。イレギュラーな事が起きても動じない強いチームを作ってきた。イレギュラーなシーズンに勝つのはマリーンズ」

 17日に空路、決戦の地 福岡入り。いきなり日本一チームとの3連戦に挑む。勝って勢いをつける。例年より短いシーズンだからこそ開幕ダッシュを決める。2020年。後世に残ることになるこのシーズンの主役は井口マリーンズだ。

梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)

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(梶原 紀章)

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