億単位の赤字……卓球「Tリーグ」松下浩二チェアマン“電撃退任”の真相

文春オンライン / 2020年6月28日 6時0分

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欧州3大リーグでも活躍した松下氏(中央) ©共同通信社

 日本初の卓球プロリーグ「Tリーグ」の象徴的存在だった松下浩二チェアマン(52)の“電撃退任”が6月17日、各メディアで一斉に報じられた。

「リーグ側は『決定した事実ではない』としているが、松下氏はすでに退任の挨拶回りをしています。7月8日の理事会後に会見を開く予定です。彼はリーグ創設に深く携わっただけに、卓球界に大きな衝撃が走りました」(スポーツ紙記者)

 松下氏は1992年バルセロナ大会から4大会連続で五輪代表に選ばれ、日本人初のプロ選手となった卓球界の“顔”。現役時代から10年以上、「日本にプロリーグを」と構想してきた。

「『世界一のリーグ』『地域密着』を旗印に、参加チームの募集や協賛スポンサー獲得に奔走。張本智和や平野美宇などの人気選手の加入も実現させた」(同前)

 念願が叶い、2018年10月、男女各4チームが参加して新リーグが開幕。だが、松下氏の存在はあまりに大きくなりすぎた。

 Tリーグの経営事情に詳しい卓球関係者が明かす。

「松下さんの培ってきた人脈や、情熱にほだされ、集まったスポンサーもいたのは事実です。ただ、周りにイエスマンしかおらず、その個人的な付き合いで、雇用契約やサービス契約が繰り返し行われていました」

 経営実態も“どんぶり勘定”だったという。

初年度から5億円以上の赤字……Tリーグ経営の実態

「当初はまともな財務諸表も作成せず、リーグの予算規模では到底賄えない競技運営を行っていた。1億円以上を費やした両国国技館でのリーグ開幕戦だけでなく、1試合の運営費も800万円近かった。結果、初年度から5億円以上の赤字に陥っていたのです。やがてプロモーションやチケット販売も各チームに丸投げ状態になっていった」(同前)

 加えて東京五輪とも、うまくリンクできなかった。

「女子のエース、伊藤美誠が当初から不参加だったように、リーグ自体は五輪の代表選考とは無関係。2季目の今季は五輪選考レースと重なることで有名選手の出場が減少し、1試合の平均観客数は1000人を割り込んでしまった」(前出・記者)

 最終的にはコロナの影響により、シーズン途中でリーグは打ち切りに。

「試合をすればするほど赤字が膨らんでいたので、(打ち切りは)傷口を広げずに済んだのかもしれません。それでも負債は数億円単位で残っている。もしTリーグが破綻すれば、今後、卓球のプロリーグ立ち上げは二度とできない。結局、松下氏は経営難の責任を取る形で退任となったのです」(前出・関係者)

 現役時代はどんな球でも打ち返すカットマンとして鳴らした松下氏だが、コストカットは……。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年7月2日号)

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