東京女子医大、一転ボーナス支給検討へ 退職希望400人は「予測値を立てている中で出た人数」

文春オンライン / 2020年7月18日 1時25分

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東京・新宿区にある東京女子医科大学病院 ©文藝春秋

【400人退職希望の実態】東京女子医大コロナ看護師「メンタルは限界で給料は3万円以上減額。病院には怒りしかない」 から続く

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響による経営難から、看護師らに対し、「上半期賞与については支給しないと決定しました」と6月に文書で通告していた東京女子医大病院(東京都新宿区)が、一転して、夏季ボーナスの支給を検討することが分かった。

 7月15日付の理事長、学長、病院長らの連名による文書で、教職員に通知した。


 文書によると、病院側が全教職員から募集していた「業務改善への提案」について、200件以上の提案が寄せられたと報告。「多くの教職員の皆様が本学の窮状を理解し、状況を少しでも好転させようと真剣に取り組んでいただいている」と、看護師らへの謝意を示した。

 その上で、夏のボーナスの原資についても、「新型コロナウイルスの影響で経営が悪化し困窮している医療機関が、無担保かつ低金利等の好条件で借り入れできるようになり、具体的には、福祉医療機構よりの資金調達が可能となりました。(中略)一昨日、融資の内定をいただくことができ、夏季賞与の原資にある程度の目途が立ちました」と説明した。

7月中に予定されている理事会で検討

 最終的な支給の決定については、7月中に予定されている理事会で「再度、夏季賞与について、前向きに検討を進めて参ります」とした。

 病院側は6月12日付の文書で、増収策やコスト削減案などの「業務改善案」を募集。「実効性のある提案書を提出された部署(部門)に対して、8月を目途に賞与に代わる何らかの手当支給ができるか検討して参ります」としていた。

 また、400人以上の看護婦が退職を希望しているとの報道については、7月17日に「マスコミ等による報道について」と題した文書を教職員に通知した。

「6億円」理事長室については……

 その中で、病院側は「法人への報告はなく、退職願いも出ていないため把握しておりません。このことについて看護部に確認をしたところ、次年度の募集人員を決める上で毎年看護師長等の現場管理者が退職見込みの予測値を立てている中で出た人数であり、実際にアンケート等で意思確認を明確に行った訳ではないとの説明でした」とした。 

 6億円をかけたとされた理事長室の移転については、「移転するのは、本部事務部門並びに理事室であって、理事長室だけを移転するのではありません。また、理事長室の設置だけに6億円もの多額な資金を投じることなども決してあり得ないことです」と、説明した。

 上半期のボーナス支給をしないことを職員らに通告していた6月12日付の文書では、コロナウイルス感染の影響で大幅な収入減となり、「令和2年4月の収支実績は3医療施設全て赤字となり、法人全体ではマイナス約14億円」に及ぶこと、このままでは「過去最悪であった平成18年度のマイナス約52億円を上回る大幅な赤字となりかねない状況であること」など深刻な病院経営の実態について記されていた。

「実際に支給されるまで、何も信じられない」

 今回の通知を見た内科系に勤務する20代女性看護師が困惑気味に語る。

「病院にあるパソコンで夏季賞与の書面を見ましたが、『嬉しい』とか『安心した』などの感情はありません。同僚の看護師たちも同様の反応でした。書面には夏季賞与が支払われる時期や金額などの具体的な記述は何もないからです。

 詳しく見てみると、『前向きに検討する』といった表現にとどまっており、確定ではありません。看護師たちが勇気を出して声を上げたから病院側が動いたように感じますし、『何も動かなかったら、そのままだったに違いない』と皆話しています。看護師を軽んじるような、『足りなければ補充すればいい』という病院側の発言を忘れたわけではありません。経営陣への不信感は依然変わりません。実際に支給されるまで、何も信じられません」 

 今回の方針転換を機に、コロナ対策の最前線に立つ医療従事者たちの待遇は改善されるのか。

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

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