「結婚したけどさっさと別れちゃった」 小池百合子が飼う愛犬「そう」ちゃん…その名前の由来は?

文春オンライン / 2020年7月28日 11時0分

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今年7月に入り、東京都の警戒度を最高レベルにあげ、記者会見する小池百合子都知事 ©共同通信社

小池百合子、2年前の“野心”「ブラユリコって番組できないかしら」「MXじゃあねえ……」 から続く

 歴代2位となる366万票――圧勝して2期目に入った小池百合子都知事だが、いきなり“危機”に直面している。7月26日時点で、東京都の新型コロナウイルス新規感染者は6日連続で200人超え、その手腕が問われている。

「夜の街」「東京アラート」といったフレーズを繰り返し、フリップを使って分かりやすくアピールする。そんなイメージの強い小池氏だが、政治家としての本質はどこにあるのか。2016年の初当選から4年間、小池氏をつぶさに観察し続けた週刊文春記者がまとめた 『小池百合子 権力に憑かれた女』 (光文社新書)から解説する。(全3回の2回目/ #1 、 #3 へ)

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ヨークシャーテリアの愛犬「そう」ちゃん

 “風圧”のある政治家が少なくなった、といわれる。

 対峙すると気圧されるような雰囲気を持つ政治家のことで、ベテラン記者が例に出すのは田中角栄や竹下登といった人たちだ。今の政治家を見回した時、都知事という大看板もあるにせよ、小池は“風圧”のある政治家の最右翼といえる。記者との関係に阿吽の呼吸などない。 『小池百合子 権力に憑かれた女』 の第1章で小池が会見で記者を選別することを指摘したが、それは会見場の空気を支配していることでもあった。

 その凄みは、家族のない孤独感から来ていると私は思っている。

 政治家は、選挙や政治活動で、配偶者や親や子を“活用”する。妻にはマイクを握らせないと強がる政治家でも、陰で妻は選挙の手伝いをしているものだ。妻に政治活動はさせないと語る小泉進次郎にしても、親族を環境大臣秘書官に据えた。

 しかし独身の小池の場合、両親はすでに他界。海外を飛び回って日本を不在にしがちの兄やその家族が政治に関わることはない。

 小池の住む「エコだハウス」には、お手伝いさんがいるとはいえ、会話の相手はヨークシャーテリアの愛犬「そう」ちゃんである。名前の由来は「総理」で、権力志向を隠そうともしない。たしかに毎夜、権謀術数をめぐらせる相手としては適任だろう。

「結婚したけどさっさと別れちゃった」

 ロケットスタートを切っていた16年12月、小池がふと自身の生い立ちを語ったことがある。「WOMAN EXPO TOKYO」(日経新聞など主催)のトークショーでのことだ。「百合子グリーン」を身に着けた熱烈な女性ファンが最前列に陣取り、イベントが始まった14年以降で最も盛況だったという場で、小池は自らの離婚歴に触れている。

「途中で結婚したんですけど仕事の方が面白くってさっさと別れちゃった」

「子どもがほしい時期もありましたが、仕事が面白すぎちゃって。皆さん遅すぎないうちに、家族は大切にした方がいいと思いますよ」

 小池はカイロ大留学中に日本人と結婚、1年ほどで別れたことは第2章でも触れた。「仕事の方が面白くて」は事実と異なるが、「さっさと別れた」のは本心だろう。

「私は母になれなかったので……」

 子どもができなかったのも「仕事」以外の理由ではなかろうか。小池は45歳の時、子宮筋腫で子宮全摘手術を受けている。

 イベントの趣旨に合わせ、軽いタッチで「仕事」としたのは、かえって肉体的、心理的な苦しみを物語っているように思える。

「私は『非常に傷ついた』ということを申し上げたい」

 2018年11月16日の記者会見で、税の偏在是正について記者に問われた際、小池は突然そう話し始めた。9日の全国知事会で、鳥取県の平井伸治知事は、小池がハロウィーンイベントで『銀河鉄道999』のキャラクター・メーテルのコスプレをしたことに触れ、「メーテルの名前の語源はギリシャ語で母。ぜひ母の慈愛の心を持って、大都市と地方の折り合える案を考えていただければ」と述べた。平井は総務官僚出身ながら、鳥取県を「蟹取県」と命名してPRするなど“お調子者”の一面があり、発言に悪気はなかったろう。

 だが、小池の声は珍しく震えていた。

「私は母になれなかったので、できるだけ多くの女性には仕事も、それから子育てもやってもらえるような環境を、私自身ができなかったことを皆さんに是非叶えてもらいたいと思うから、そういう環境づくりをしている」

「大年増で厚化粧の女」と揶揄されて

 都知事選で石原慎太郎から「大年増で厚化粧の女」と揶揄された小池は、「子どもの頃からアザがあった」と切り返したことで同情票を一気に集めることに成功した。この会見も、それに似た戦略だとして“あざとい”と見る向きもあった。ただ私は、本心から出た言葉だと思っている。

「小池さんは大病の後、それまで以上に、政治にのめり込んでいきました」

 小池の古い知人は、こう述懐する。

“肉食系”でなければ務まらない政治の世界にあって、小池には男の影がほぼ見えない。週刊誌メディアならずとも注視してきたのだが、どうにもキャッチできなかった。

 いわば小池は、権力に嫁いだといえるのかもしれない。

「じゃあ負けてよ。300円にならないの?」

 18年3月の豊洲市場のPRイベント「豊洲市場魅力発信フェスタ」でのことだ。

 築地市場事業者による飲食ブースを訪れた小池は、380円の「さばサンド」に目をつけた。小池は400円をスタッフに手渡す。

「冷めてるんですけど」

 スタッフが申し訳なさそうに言うと、小池は、

「じゃあ負けてよ。300円にならないの?」

 と応じ、実際300円にしてもらったという。目撃した関係者は、知事らしからぬケチぶりと同時に、移転問題で振り回した業者に対する振る舞いとあって呆れ果てた。ただこのエピソードは、小池の「関西人らしさ」では片付けられぬ、苦難の人生を垣間見せたように思う。

 小池は父の会社の倒産によって自宅が差し押さえられるという辛酸を舐めている。小池の「唯一の自伝」と銘打たれる大下英治著『挑戦』には、カイロ大留学時代の苦労話がこれでもかと登場する。入学金のみ父の世話になり、後は観光ガイドなどで食いつないだ。食費を切り詰め、ネギ、パン、はちみつ、白チーズしか食べず、栄養失調寸前までいった……。

「小池さんにご馳走してもらったことがない」

 国会議員になっても服は自分でデザイン。今でも“接待”で使う店は、瓶ビールを各自が取るような狭い焼鳥屋で、同行者を驚かせる。

「小池さんにご馳走してもらったことがない」

 本書の取材で会った人は、必ずといっていいほどそう語った。

 クールビズや「MOTTAINAI」、風呂敷の推奨など、カネのかからないものが小池の重点政策となるのは、それと無縁ではないだろう。そういえば、電通を使ったPRよりも、記者会見やメディア受けするパフォーマンスなど、安上がりな戦略の方が小池は生き生きとする。

 孤高を持してきた小池にとって、知事の立場はうってつけだっただろう。というのも総理大臣の場合、議員内閣制で大臣は国会議員を任命しなければならず、それは信頼関係の積み重ねや審美眼が問われる。だが知事の周りはすべて官僚だから、その必要はない。

 しかし、権力に憑かれた女は、物足りなさを感じたのではないか。

 都知事という権力をもぎ取ってもなお、憲政史上最長となった安倍晋三内閣に対峙していく小池百合子の姿を、本の最終章では描いていく。

(【続き】 「国政に転身するの?」小池百合子知事が答えをはぐらかす本心とは――週刊文春記者は見た  を読む)

「国政に転身するの?」小池百合子知事が答えをはぐらかす本心とは――週刊文春記者は見た へ続く

(和田 泰明(週刊文春記者))

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