「雅子さまは“演じる”ということをなさらない方」 グレースーツのチャイナボタンに見る“ご自分らしさ”

文春オンライン / 2020年8月20日 6時0分

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全国戦没者追悼式で追悼の辞を述べた遺族代表の杉山英夫さん(左)と、天皇皇后両陛下 ©時事通信社

 8月15日、日本武道館で行われた全国戦没者追悼式に天皇皇后両陛下がマスクを着用して臨席された。新型コロナウイルスの感染防止対策のため、史上初めて規模を縮小して開かれた。

 陛下は昨年とほぼ同様のおことばに加えて、「私たちは今、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、新たな苦難に直面していますが、私たち皆が手を共に携えて、この困難な状況を乗り越え、今後とも、人々の幸せと平和を希求し続けていくことを心から願います」と新型コロナウイルスについて言及された。

 全国戦没者追悼式のおことばで、新しい内容を一段落分も付け加えられたのは異例のことで、私は非常に驚いた。だが、新型コロナウイルスと現在の状況について直接国民に語りかけられたことで、陛下の思いの強さを感じた人も多かったのではないだろうか。

雅子さまは細部にこだわりが感じられる装い

 雅子さまは昨年と同じグレーのスーツに、ブラックのパンプスをお召しだった。スカートとジャケットの丈のバランスの美しさが際立ち、やや細めのヒールのパンプスのデザインなど、細部にこだわりが感じられる装いだ。

 しばしばジャケットなどに取り入れられているチャイニーズノット(チャイナボタン)で、さりげなくご自分らしさを表現されていたと思う。

 雅子さまはお召し物を新調されるだけではなく、90年代からお召しになっているスーツも大切に愛用されているようだ。こうしたスーツは雅子さまにお似合いのIラインの縦長シルエットかつ、オーソドックスなデザインだからこそ、長く着回されているのでは、と私は考えている。

 一般的にオートクチュールの洋服の場合は、お直ししやすいように作ってあるというから、雅子さまは、お気に入りの上質なお召し物を20年以上もの間、丁寧に手入れされてお持ちになっているのではないだろうか。

天皇ご一家は、夏のご静養を見合わせられた

 天皇ご一家は、新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることを受けて、夏のご静養を見合わせられた。例年夏に、静岡県下田市にある須崎御用邸や栃木県那須町の那須御用邸で過ごされていたが、今年は赤坂御所に留まられることになる。

 9月末に宮城県で予定されていた「全国豊かな海づくり大会」の開催見送りが決まり、今年の四大行幸啓はすべて開催されないことになった。恒例の地方訪問がなくなることも異例の事態だ。今回の全国戦没者追悼式へのご臨席は、両陛下の久しぶりのお出ましとなり、今後しばらくは御所内や車両からのお姿以外、拝見できないかもしれない。

 昨年の夏、ご一家は8月5日に須崎御用邸からいったん帰京されている。8月6日にはお住まいの赤坂御所で黙祷された。特に近年、8月15日は行事を入れられず、天皇陛下はジョギングも慎まれていたという。

「両陛下の全国戦没者追悼式への思いは格別のものであると拝察しています。皇室にとって非常に重みのある行事で、リモートでのご臨席などはあり得なかったのではないかと思いますし、万全の感染防止対策をとられたうえで、両陛下も直接足を運ばれることを第一にお考えになられたのではないでしょうか」(宮内庁関係者)

「もっと国民とフランクに触れ合いたいと思っておられるのでは」

 数年前、皇太子妃時代からの雅子さまの知人が「もっと国民とフランクに触れ合いたいと思っておられるのではないでしょうか」と率直な思いを語っていたことが印象に残っている。天皇陛下のご即位を前に、雅子さまのお出ましが次第に増えていき、笑顔を拝見する機会がこれほど増えることになるとは、まだあまり想像できなかった時期のことだ。

「皇太子殿下(当時)が雅子さまを支え続けておられ、雅子さまは少しずつ元気を取り戻し、自信を回復されてきています。雅子さまは“演じる”ということをなさらない、ありのままの方で、公の場で大きな笑顔を見せられたり、涙を流すというのは皇族らしからぬ行動だと批判されることも多かった。ですが、感情を素直に表現するのは本当にいけないことなのでしょうか」(前出・知人)

 時代は変わり、皇后陛下となられてから、雅子さまがリラックスした表情で人々と語り合われるお姿や、昨年の国民祭典や祝賀パレードで何度も涙を見せられたご様子に、共感を覚えた人は多かったはずだ。新型コロナウイルスの影響で、直接触れ合うことが難しい状況ではあるけれども、両陛下ならではといえる新しい形の交流や発信をぜひ拝見したいと思っている。

愛子さまのカイコ愛「虫や小動物が大変お好き」

 今春に学習院大学文学部日本語日本文学科へ進学された愛子さまは、オンライン形式の授業を受けられてきた。6月には、愛子さまが10年蚕(かいこ)を飼育されていることが大きな話題を呼んだ。

「愛子さまはお小さい頃から、チョウチョやカブトムシなど、指導を受けられながら飼育されていました。虫や小動物が大変お好き」(前出・宮内庁関係者)というだけあって、自ら撮影されたという蚕の写真が公開され、小さな蚕が桑の葉を食みながら徐々に丸く大きくなっていく成長過程が記録されている。愛子さまは、蚕に病気が流行するのを避けるため、2チームに分けるという徹底した飼育ぶりを見せられたという。

 ご養蚕は明治以降、歴代の皇后に継承されてきた伝統行事で、雅子さまも今年から、皇居の紅葉山御養蚕所に足を運ばれていた。

 愛子さまと同じ学科で国文学を学ばれた紀宮さま(現・黒田清子さん)は和歌の研究をなさり、天皇や上皇の勅宣によって編纂された勅撰和歌集である「古今集」から「新古今集」までの8つの和歌集におさめられた「四季の歌」を分類研究した卒業論文を提出されている(「八代集四季の歌における感覚表現」)。

 蚕の飼育や学業などを通じて、愛子さまもご自身のルーツを探究されることになるのかもしれない。両陛下は、あと2年で成年皇族となられる愛子さまに、伝統を学ぶ姿勢と新しい世代の感性を期待されていらっしゃるのではないだろうか。

(佐藤 あさ子)

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