NiziUに続け! 3分の1が日本人、K-POPグループ「TREASURE」が挑む“男子の壁”

文春オンライン / 2020年9月22日 11時0分

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「TREASURE」公式HPより

 2020年の日本は「コロナ」に沈み「韓国エンタメ」に沸いたと言っても過言ではないほど、日々韓国ドラマやK-POPの話題が尽きない。

 これまでの韓流ブームまでは、どこか冷ややかに見ていた人や、あまり接点の無かったオトナ男性の口からも「愛の不時着」「梨泰院クラス」というワードが出てくるようになった。おうち時間の増加で娯楽を求める気持ちが強まっていることもあるだろう。

 さらに日本を舞台にしたオーディション番組「Nizi Project」発のNiziUなど、日本人にとって一層身近に感じられるコンテンツも誕生している。 

 そんな中で今年8月、「12人中4人が日本人」というボーイズグループTREASUREがデビューした。日本でも知名度のあるBIGBANG、BLACKPINKを輩出したYGエンターテイメントが満を持して世に出した秘蔵っ子たちだ。

 1stシングルアルバム「THE FIRST STEP : CHAPTER ONE」は予約の段階で16万枚を記録、デビュー曲「BOY」は19ヶ国のiTunesトップソングチャートで1位を獲得している。これはBIGBANGやBLACKPINKのデビュー時をも超える記録だ。そんな彼らを今後への期待を込めて“いま知っておくべき”グループとして紹介したい。 

大手事務所5年ぶりの期待の新人、しかしデビューまで波乱万丈 

 TREASUREは韓国人8人に日本人4人の12人組。しかし最終メンバー確定とデビューまでにはなかなか険しい道のりと紆余曲折を経てきた。

 彼らの出発点は2018年から2019年1月まで韓国で放送されたデビューサバイバル番組「YG宝石箱」だ。次世代のBIGBANGを目指す後輩練習生たちが、デビューメンバーとして選ばれるために自らの青春と夢を懸けてバトルするという内容。V LIVEやYouTubeを通して国外へも配信されており、日本のK-POPファンもその行方を見守っていた。 

 しかし番組終了と同時に華々しくデビュー!とはいかなかったのである。最終回で合格となったのは、たった4名。その後3名の合格者と「TREASURE」というグループ名が明らかになり、選ばれなかった練習生の中からも別グループ「MAGNUM」を結成する旨が発表されたが、デビュー計画は遅々として進まなかった。

 それもそのはず、2019年はYGエンターテイメントにとって厄年であった。BIGBANGの元メンバーが起こした「バーニング・サン事件」、YGの顔ヤン・ヒョンソクが海外遠征賭博で起訴され代表を退くなどのトラブルが続発。事務所全体のイメージがどん底であったことも否めない。

 社内事情と世相を鑑みても“今はそのタイミングではない”とジャッジしたのだろう。 

 その陰で候補生らにとって貴重な時間が刻々と過ぎてゆく。当時のメンバーたちの不安や、ファンのヤキモキする心境は想像に難くない。結果的に1名の脱退の末、2020年8月に「MAGNUM」メンバーを加えた計12名の「TREASURE」が誕生した。 

BIGBANGの弟分でありながら、自作曲にこだわらない理由

 TREASUREの特徴であり、YGエンターテイメントの先輩グループとの相違点は「作曲をマストとしない」という点だ。BIGBANGにはセルフプロデュースの天才・G-DRAGONがおり、iKON、WINNERにも作曲ができるメンバーがいる。もちろんTRESUREにもクリエイティブ能力の高いメンバーは存在するが、自作の曲にこだわらずに活動していく模様だ。

 これはYGエンターテイメントに限ったことではない。BTSやSEVENTEEN等、「自ら作曲できるグループ」が近年の主流となっていた。そんな中であえて自作しない、というのがTREASUREの戦略だ。その理由は先述の「YG宝石箱」の中で明らかにされている。

 結論から言うと「楽曲リリースのスパンが大きく開いてしまう」というデメリットがあるからだ。K-POPアイドルが世界を視野に活動する際、業務が山ほど膨れ上がる。公演に番組出演、ファンサービスにレコーディング。ダンスや語学レッスンも外せない。そんな中で作曲まで…となると寡作になるのは自然なこと。


 現にBIGBANGはキャリア14年の中でフルアルバムは6枚、決して多いとは言えない。その教訓から後輩・TREASUREはパフォーマンスに特化した「専業アイドル」の道を歩むことに(最新曲の作詞にはメンバーも参加)。 

海外活動のキーとなる4人の日本人と韓国での反応 

 そしてもう一つ、TREASUREには日本人メンバーが4人も所属している。これはYGエンターテイメント初の試みだ。

 ダンスとラップの実力を誇るマシホ、整った顔立ちで王子様的な雰囲気のアサヒ。そして韓国にルーツを持ち、努力家で戦力外からデビュー組にのし上がったヨシ。

 中でも特筆すべきはグループの中心人物とも言える、ハルトだ。そもそも「YG宝石箱」はメインボーカルのイェダムをデビューさせるためのプロジェクトだった、と言っても過言ではない。イェダムは日本でいうならば三浦大知のように幼少期から天才少年として知られた存在、彼を正式に世に出す機会が必要だったのだ。

 そんな中でダークホースのように現れたのがハルトであった。日本人でありながら絶大な人気を獲得、イェダムと肩を並べ最初にデビューの切符を手にしたのも彼だった。

 さらにハルトを支えた母がBIGBANGの大ファンを公言しているところも興味深い。第一次K-POPブームを支えたファンの子供世代が海を渡り、いよいよK-POPアーティストとして日本に凱旋したのだ。 

日本人が韓国芸能界でぶつかる“男子の壁”

 K-POPグループに外国人が所属すること自体、特に目新しいことではない。日本人メンバーを抱えるボーイズグループも増えてきている。しかしTWICE、IZ*ONEにしろ「日本人」を押し出して成功しているのはガールズグループ(肌感覚だが、韓国の芸能界において日本人女性は男性よりも好意的に受け入れられる傾向がある)。

 さらに日本では大ブレイク中のNiziUでさえ、「全員が外国人のグループだなんて、K-POPの技術が海外に流出するのでは?」といった反感の声が上がったのも事実だ(これに対してはJ.Y.Parkが反論している)。

 そんな中でのYGの挑戦、幸い韓国でも好感触のようだ。デビュー前から現地ファンがついており、マシホに対しては「韓国人メンバーと仲良さそうで微笑ましい」という声も上がっている。 

K-POP業界が日本人を採用する理由と中国で負った痛手 

 日本人メンバーを採用するのはSM(NCT 127)、YG(TREASURE)、JYP(TWICE、NiziU)だけではない。BTSを輩出したBig Hitエンターテイメントも同様の動きを見せている。CJエンターテイメントとの共同プロジェクト「I-LAND」では日本人も数名参加しており、その中で1名が最終メンバーに勝ち残った。

 なぜ近年、韓国の芸能事務所は日本人メンバーを採用するのだろうか。そこには「中国での失敗」と「日本市場回帰」という2つのキーワードが見え隠れする。

 2010年から2015年にかけてのK-POPは中国人メンバーを入れるケースが多く見られた。当時は中国での韓流人気が凄まじく、“おいしい市場”だったからだ。一方、中国人メンバーが自国での活動を望んで帰国してしまうなど問題も頻発。さらに追い打ちをかけたのは2016年の「限韓令」、つまり中国政府による“韓流締め出し”だ。

 政治とエンタメビジネスが直結する中国市場に比べ、日本は多少の浮き沈みはあれど安定的。加えて“熱しやすく冷めやすい”韓国のファンよりも、一度ファンになると末永く応援してくれる傾向もある。

 そんな「マーケット事情」と「日本人ファンの気質」が日本市場回帰へ向かわせ、K-POPグループに日本人を採用する流れに至ったのではないかと推測する。BTSやBLACKPINKの動きをみれば分かるように、K-POPビジネスにとってアメリカ市場は憧れの最終ゴール。しかし日本も無視できず手堅い主要マーケットなのだ。 

 日本の若き才能も「韓国」を経由地として活用し、世界へ挑もうとしている。TREASUREの4人も日韓だけのアイドルで終わるつもりは無さそうだ。

 9月18日に先行公開された新曲「I LOVE YOU」はストレートなラブソングでありつつ、後半はパワフルでやんちゃな”YGイズム”が健在。早くもLINE MUSICのデイリーチャート1位となっている。


 本日22日にはセカンドアルバム「THE FIRST STEP : CHAPTER TWO」も発売。

 いま活躍が始まったばかりの彼らが、日韓の枠にとどまることなく自由に大暴れしてくれることを期待している。 

2020/9/22 20:13……読者からの指摘を受け、一部内容を修正いたしました。

(K-POPゆりこ)

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