「高収入女性が、低収入男性を“専業主夫”として養う結婚」が成り立ちにくいのはなぜか?

文春オンライン / 2020年10月9日 6時0分

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男性は年収が上がると未婚率が下がり、女性は年収が上がると未婚率が上がる

《婚活市場の現実》“女性余り”と“希望年収との乖離” 統計から逆算した狙い目のゾーンとは? から続く

 2040年には人口の50%が独身者になると言われる日本。もはや「結婚」という制度自体が崩壊していることを説く『結婚滅亡』が話題になっている。著者の荒川和久氏は新しい時代の結婚像を模索する「独身生活研究者」でもある。

『 結婚滅亡 』の中から、稼げないと結婚が遠ざかる男性と、稼げば稼ぐほど結婚が遠ざかる女性。この皮肉な交差現象を、豊富なデータを交えて解説した章を抜粋して転載する。(全2回の2回目。 #1 を読む)

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 50歳時未婚率と年収との間には強い相関があります。

 しかし、男性と女性とではその相関は正反対です。男性は年収が低いほど50歳時未婚率が上がるのに対して、女性は逆に年収が高くなるほど上がります(図1-14)。

稼ぐ女性の未婚率は全国平均の倍

 特に、年収400万円台の女性では50歳時未婚率28%、800万円台の女性でも29%と、3人に1人の割合です。絶対数は少ないですが、1250~1500万未満の女性に至っては、36%が生涯未婚です。女性全体の値は2015年の国勢調査では14%ですから、稼ぐ女性たちは全国平均の倍以上未婚であるということです。

「ならば、高収入のソロ女が専業主夫として低収入ソロ男を養えばいい」という意見もあると思いますが、現実はそう簡単にいきません。

 低収入未婚男と高収入未婚女とはマッチングされないのです。

 そもそも、高年収女性の未婚率が高い要因の1つは、彼女たちの上方婚志向があります。結婚相手に自分より年収の高い男性を求める志向です。

 しかし、そうそう高年収男性がたくさんいるわけではありません。結局、高年収女性ほど対象者が減り、結果未婚化に陥るという話です。

 これは女性側だけの問題ではなく、男性もまた「自分より収入の低い女性を希望」する下方婚志向があります。

 男性自身が、自分より稼ぐ女性は「養うべき」対象からはずしてしまいます。あくまで「養うべき」対象とは、自分より収入の低い「弱く、守るべき」相手だという考えになるからです。

 年収別未婚率がXを描くのは、女性の上方婚志向、男性の下方婚志向があるという何よりの証です。

「男のメンツ」は結婚を遠ざける?

「デートでは男が奢るべきか?」という論争もあります。

 実は、「男が女を養うべし」「デートでは男が払うべし」という規範に縛られているのは、他ならぬ男性自身の方です。それは、既婚男よりソロ男の方に顕著です。

 男の方がその部分で自己の社会的役割を感じたいものなのでしょう。

 反対に、既婚女性は「デートでどっちが奢るかどうかはどうでもいい」と考えていて、だからこそ結婚しているのではないかと思いますが、ソロ女は少し違います。

 仕事でバリバリ稼いでいるソロ女もまた、「男に奢ってもらいたい」という願望を持っています。それは、彼女自身がお金を払いたくないというわけではありませんし、男に頼り切りたいという甘えでもありません。自ら稼いで、経済的に自立しているソロ女の特徴として、考え方が男性的規範に縛られてしまいがちなのです。

 男性社会の中で、男性に負けないように生き抜くためには必要な処世術だからでしょう。

 そうした「男とはこうあるべし」という男らしさ規範に精通しているがゆえに、「男性は強くあるべし。デートでは必ず女性に奢るという気概を見せるべき」という思考に逆に固執してしまうようになるのです。

首都圏は高収入も未婚者もいっぱい

 ちなみに、そうした高収入未婚女性は、ほぼ首都圏に集中しています。年収別で50歳時男女未婚者数の全国構成比を見てみると、圧倒的に首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉の一都三県)に集中していることがわかります。未既婚全体の構成比と比較しても、未婚の方が首都圏に集中しています。特に、1000万円以上の高年収アラフィフ未婚女性は、そのほぼ8割が一都三県に在住しています(図1-15)。

 首都圏への過度な人口流入と集中は、働く場を求めてのものですが、そうやって働く場を得て、自分で稼げば稼ぐほど女性は結婚から遠ざかってしまうという現実があります。

(荒川 和久/Webオリジナル(特集班))

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