「落語家って、夢が叶う仕事なんです」――柳家喬太郎のウルトラマン落語に懸ける思いとは? 【11月6日開催】

文春オンライン / 2020年11月2日 10時0分

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柳家喬太郎師匠

 みなさんは、ウルトラマン落語をご存知だろうか。 

 古典から新作まで縦横無尽、当代きっての人気落語家・柳家喬太郎は大のウルトラマン・マニア。好きが高じて、ウルトラマンを題材にした創作落語を手掛けるようになり、いまでは落語ファン、ウルトラマンファン双方の支持を集めるようになった。

「もともとは、本当に軽い気持ちだったんですよね」

 初めて作ったウルトラマン落語の噺は、「ふたりのウルトラ」。南米の日系人が独立して作った新しい国家、ピグモニアン王国から来たウルトラマン好きの国王が巻き起こす騒動を描いた人情噺だ。もう20年以上も前のことになる。

「新作ってのは、その時々の自分の中にあるものが出てくるんです。ウルトラマンや特撮は子どものころから好きだったから、どこかにずっとあったんでしょうね。これ、お客さんわかんないよな』と思いながら、苦し紛れに作ったんじゃなかったかな……」

 噺のはしばしに「バルタン星人」「ゴモラ」「ヤプール人」といったウルトラマン由来のくすぐりが盛り込まれていて、クライマックスではお手製のウルトラマンのお面が登場。ウルトラ好きにはたまらない構成だが、たしかにマニアックといえばマニアック。

「作ったはいいけど、定期的に高座にかけたわけではなくてね。落語好きの中にウルトラマン好きなんてそうそういないだろうな、と思ってましたし、そもそも円谷プロさんの許可をいただいてませんでしたからね。それから10数年経って、弟弟子の柳家喬之助がウルトラマン好きだっていうんで『じゃあ、これやってみる?』ということでやってくれたりもしたけど、彼だってしょっちゅうはやっていない。風向きが変わったな、と感じたのは、『抜けガヴァドン』を作ったあたりかな」

 文無しの絵師が、宿賃代わりに部屋のふすまに描いた雀が絵から抜け出すようになり、それが評判を呼んで宿屋が繁盛、しかし……という筋立ての古典落語「抜け雀」。

 一方、ウルトラマン(初代)の第15話「恐怖の宇宙線」は、少年が工事現場の土管に描いた怪獣ガヴァドンが現実世界に抜け出してくる、というストーリー。

 この二つのお話を巧みに掛け合わせたのが、改作落語『抜けガヴァドン』であり、この噺が円谷プロへの道を切り開くことになる。

「真正面からウルトラマンが好きだ、という気持ちを込める」

「以前、10年ほどレギュラーでやらせていただいていたBSイレブンの番組があって、毎回トークゲストを呼んでいた時期がありました。そのときに、ウルトラ関係の俳優さんに会いたいもんだから、科学特捜隊のフジ隊員を演じていた桜井浩子さんをはじめ、さまざまなウルトラマン関係者をお呼びしていたんです。そうしたら毒蝮三太夫さんの回に円谷プロの方も一緒にいらっしゃって。そこで、あえて落語のコーナーで『抜けガヴァドン』をやったら、喜んでくださった。『あ、こいつ、本当にウルトラマンが好きなんだな』とわかってくださったんですね。そこから円谷プロさんとのご縁が始まりました。

 そのあたりからどんどん噺を作るようになって、今はウルトラマンを題材にした噺は九席ぐらい作った。そして2016年、ウルトラマンの放送開始から50年というタイミングでのイベントで、初めて円谷プロ公認で高座をやることができました。以降、今も定期的にウルトラマン落語をやらせていただいています。とにかく大事なのは、真正面からウルトラマンが好きだ、という気持ちを込める、ということ。ウルトラマンを変に貶めたりするようなことは決してしたくないし、しない。そのあたりについて、信頼していただいているな、と感じています」

「ふたりのウルトラ」を作ったときには、思ってもみなかった景色が今、広がっている。

「ラジオでなぎら健壱さんと対談した時、なぎらさんがこんな事を言っていました。『俺たちの仕事は、夢が叶う仕事なんだよ』と。本当にそうだなあ、と思うんです。

 たとえば柳家一琴兄さん。兄さんはとにかくさだまさしさんが好きで、さださんへの思いを一生懸命高座で話しつづけていたら、さださんご本人と引き合わせてくれる方が現れた。そこから交流が始まって、今では兄さん、NHKの『ゆく年くる年』の後にやる番組『年のはじめはさだまさし』にも出演することができた。そういうことが起きる。夢、叶うんですよ。

 その意味で、僕にとってはウルトラマンだったり、つかこうへいさんがそれにあたります。つかさんの芝居が本当に好きだったので、初期のつかこうへい劇団の人はほとんど皆さん対談でお会いしましたし、風間杜夫さんとは今もご縁がありますし……。真正面からリスペクトの思いを込めていろいろ頑張っていれば、夢は叶う。商売にしよう、という邪心ではなく、好きだ、という思いがあれば、きっと届くんです」

 5月から始まった文春落語オンライン。月2度のペースで続けてきた配信落語会は、毎回大盛況。そして11月公演は、5日(木曜)がたっぷり独演会、そして6日(金曜)が満を持してウルトラマン落語の会となる。週刊文春の好評連載「川柳のらりくらり」でコンビを組む紙切りの林家二楽をゲストに迎え、どんなウルトラ落語が飛び出すのか。

 落語ファン、ウルトラマンファンは必見。また、これまで一度も「ウルトラマン落語」に接したことがない方でも、カジュアルにオンラインで楽しめる初めての機会となる。

 アーカイブも見れるので、金曜の夜、他にご予定のある方はアーカイブでの視聴がおすすめだ。

◆◆◆

《公演概要》

◆文春落語オンライン「柳家喬太郎独演会vol.9」
・開催日時:11月5日(木)20時~オンラインライブ配信(1時間半ほどを予定)
・動画配信プラットフォームvimeoでの配信(PC,タブレット、スマートフォン対応)
・出演者:  柳家喬太郎  
・料金:ライブ配信チケット(アーカイブ1週間視聴権付き)1,100円(税込)
・チケット購入 Peatix   https://bunshunrakugo15.peatix.com/
        チケットぴあ  https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2027590


◆文春落語オンライン 柳家喬太郎 ウルトラマン落語 (ゲスト:林家二楽)
・開催日時11月6日(金)20時~オンラインライブ配信(1時間半ほどを予定)
・動画配信プラットフォームvimeoでの配信(PC,タブレット、スマートフォン対応)
・出演者:  柳家喬太郎、林家二楽(紙切り)      
・料金:ライブ配信チケット(アーカイブ1週間視聴権付き)1,100円(税込)
・チケット購入 Peatix   https://bunshunrakugo16.peatix.com
        チケットぴあ  https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2027593

・問合せ先: info@bunshunrakugo.com  (文春落語事務局)

(「文春オンライン」編集部)

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