仲井真弘多元沖縄県知事に‟1億円超”の借金トラブル 債権者が憤る「夫の友情は一方通行だったのでしょうか」

文春オンライン / 2020年11月23日 11時0分

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沖縄県知事時代の仲井真氏 ©文藝春秋

 11月11日、秋の叙勲の大綬章親授式が、皇居・宮殿「松の間」で行われた。9人の受章者の中にあったのが元沖縄県知事の仲井真弘多氏の姿だ。

 御年81歳の同氏も、さすがに緊張の面持ちで、最高の栄誉とされる旭日大綬章を天皇陛下から賜った。

 我が世の春――。まさにそんな瞬間であった。

 しかし地元沖縄では、のぼせ上がってばかりはいられない事態となっている。仲井真氏は目下、巨額の連帯保証債務履行請求訴訟の被告人として係争中なのである。

総額で1億円を超える“ケタ違い”の借金

 同訴訟の原告は国場啓子氏。沖縄に本社を置くゼネコン・國場組元会長で、昨年4月に亡くなった国場幸一郎氏の妻である。

 その啓子氏が明かす。

「1997年8月に、夫が仲井真氏の妻、嘉子氏に貸し付けた約1億1500万円のうち5772万円について、連帯保証人である仲井真氏に返済を求める訴訟を、昨年6月に那覇地裁に提起しました。

 貸し付けの事実について私が知ったのは、2012年12月に夫が入院してしばらくして、國場組本社の会長室の私物を整理していたところ、机の中から嘉子氏直筆の、それぞれ9000万円と2544万円の借用証書と、仲井真氏の名前で押印された連帯保証書が出てきたためです。

 その時から亡くなるまで、夫はずっと会話できない状態でしたが、こうした貸し借りについて『男の友情でやったことだから、催促するものではない』と言うだろうと思い、心のうちにしまっておいたんです」

 しかし、いくら友情とはいえ、個人間融資で1億1500万円とは庶民感覚からするとケタ違いだ。

 貸借が行われた1997年、仲井真氏は沖縄電力の社長の座にあった。一方、幸一郎氏は、國場組傘下の建設会社、株式会社国建の社長を務めていた。

 ビジネス上の立場からいえば、仲井真氏は、建設会社に工事を発注する側の代表だったわけである。仲井真氏はこうした立場を利用して、幸一郎氏に巨額の借金を申し込んだ可能性はないのだろうか。

 しかし、それについては啓子氏が否定する。

「それはないと思います。夫は仲井真氏の7歳年上で、先輩後輩の関係。むしろ夫に頭が上がらなかったのは仲井真氏のほうだと思います。ただ、夫は仲井真氏を弟のように可愛がり、彼の3度の県知事選にも全面協力していました。これは後から知った話ですが、当時、嘉子氏名義の東京の邸宅が差押えになるとかで、急いでまとまったお金が必要だったらしいのです。夫は、身内が困っていたら身を削ってでも助ける人でしたので…」

国場氏の友情は一方通行? 

 ただ啓子氏は、病床に伏す幸一郎氏の傍らで、夫のいう「友情」が一方通行なものだったのではないかと疑念を抱くようになったという。

「夫は他界するまで6年半、入院していましたが結局、仲井真氏が見舞いに来たのは2回だけです。あれだけ夫に世話になっておきながら…。その時も、病院以外で私と顔を合わせたときも、借金や返済予定について、彼の口からは一言もありませんでした。私は、夫が言った『友情』が一方通行なものだったのではないかと、疑念を抱くようになりました。そこで2018年に調停の申し立てをしたんです。

 ところが仲井真氏の弁護士からは、『仲井真氏は保証契約書を締結したことはない。仲井間氏は請求に応じる意思もなく、法的にも義務はない』とする書面が届き、調停には応じなかった。そしてそうこうしているうちに、夫は亡くなってしまった。このままでは夫は仲井真氏に裏切られたままです。私は夫の名誉のためにも、1億1500万円のうち、私の相続分について、訴訟を起こすことにしたのです」

 ただ、昨年6月の提訴にもかかわらず、新型コロナの影響で、口頭弁論はまだ開かれていない。

 冒頭の仲井真氏の旭日大綬章受章の映像をテレビで見たという啓子氏は、こう憤る。

「すべては本人がお決めになることですが、今からでも仲井真さんは勲章を返納すべきではないでしょうか。栄誉ある章を汚さないためにも、身ぎれいにしてから堂々ともらえばよかったんです。一体、どんな気持ちで天皇陛下から受け取ったのか。小室圭さんだって家族の借金問題で、眞子さまとの婚約をいったん延期したでしょう」

「係争中の民事裁判」が有りながらの叙勲は適切?

 これは啓子氏による感情論だけではない。仲井真氏を叙勲候補者として推薦した経産省のホームページには、「係争中の民事裁判が有る場合」は推薦できない場合があるとする留意事項が明記されているのだ。

 ところが、11月14日付けの琉球新報によると、経産省は仲井真氏が民事訴訟の被告となっている事実を把握せずに推薦していたという。      

 また、加藤官房長官は11月16日午後の定例記者会見で、同報道に関する朝日新聞記者からの質問に答える形で、

「民事訴訟係争中であることのみをもって、ただちに叙勲の候補者から除外するような画一的な運用は行っていない」、「沖縄電力社長などとしての電気事業功労や、沖縄県知事としての地方自治功労など幅広い分野での功労を総合的に評価した」などと述べている。

 しかし、沖縄県政関係者はこう明かす。

「叙勲は、『普天間の県外移設』の公約をひるがえして、政府の辺野古埋め立て申請を承認したことへの論功行賞ですよ。安倍政権時代に受章させるのは露骨なので、『次期政権で』という話だった。仲井真氏は、受章直後の18日には叙勲の礼を言うためにわざわざ上京して菅首相に会っています。

 昨年11月に自民党沖縄県連の最高顧問に就任した仲井真氏は、今年6月の県議会選を仕切って自民党の議席を13から17に躍進させた。自民党側からしても、仲井真氏にまだまだ働いてもらおうということなんでしょう」

 借金問題について本人に質そうと携帯電話を何度も鳴らしてみたが、出ることはななかった。自民党沖縄県連を通じた質問書にも期日までに返答はなかった。

 ちなみに仲井真氏が幸一郎氏に渡した連帯保証書には、こう記されてある。

「(返済に)小生の将来の退職金も引き当てますので、ご了承くださいますよう重ねてお願いいたします」

 沖縄県知事を2期、それ以前には沖縄電力の社長職と会長職も務めた仲井真氏が、これまで受け取った退職金はゆうに1億円は超えているはずである。

「普天間県外移設」の公約を撤回した仲井真氏は、亡き友人と交わした約束も反故にするというのだろうか。

(奥窪 優木)

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