バラエティ出演も“逆効果”? なぜ石破茂は総理大臣になれないのか

文春オンライン / 2021年1月12日 6時0分

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「ガキ使」には10年ぶり2度目の出演 ©文藝春秋

 大晦日に最も“活躍”した政治家はこの人だった。自民党の石破茂元幹事長(63)だ。朝からフジテレビ系の生番組に出演。タレントのフワちゃんから「石破、ハート作ろう」と呼び捨てで、手と手でハートを作ることを強要された。夜は日本テレビ系の「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」に審査委員長役として登場。「審査をするにあたっては、ひたすら厳正公平、国民の納得と共感、これが得られるようにひたすら真摯に努めて参ります」といつも通りの大まじめな口調で語って、ダウンタウンらを笑わせた。

 SNS上では「党内で居場所がなくなってついにお笑い界進出か」と揶揄する声が並んだが、実際、石破氏の「居場所」は永田町になくなりつつある。昨秋の総裁選で、菅義偉首相、岸田文雄前政調会長の後塵を拝して最下位に沈んだ。責任を取って石破氏は派閥会長を辞任。石破派の今後を巡ってはすったもんだを繰り広げた揚げ句、会長職は置かずに複数の世話人が派を取り仕切る「集団指導体制」という曖昧な結論となった。「負け戦と分かっているのに総裁選に出るべきではない」と石破氏に助言したベテラン・山本有二議員は「休会届」を出して距離を置くなど、ただでさえ小所帯(19人)の派閥の先行きは不透明だ。

 知名度と弁舌能力には定評があり、演説に呼ばれればどこへでも出向いていたが、コロナ禍では応援弁士の引き合いもない。年末恒例の地元・鳥取での支援者との懇親会も、今回はオンラインで行わざるを得なかったという。

大晦日のテレビ行脚も逆効果

「安倍一強」下では安倍晋三前首相を批判する一言居士の姿勢が世論に評価されたが、逆に党内人気は低迷し、「ポスト安倍」の座を逃した。今、内閣支持率が低落する中で菅氏のコロナ対策を批判すれば、再び世論受けを狙えるが、前回同様、党内の支持を逃す。

「大晦日のテレビ行脚は、自縄自縛に陥った石破氏の『親しみを持たれたい』との意欲の表れだろうが、逆効果。コロナ禍での政治家の役割を何と考えているのか」(政治部記者)

 一方、政治部デスクは、

「菅首相が大晦日のテレビを見ていれば『石破、恐るるに足らず』と安心したでしょう」

 菅氏の愛読書は中世イタリアの政治思想家マキャベリの『君主論』。そこには「君主は愛されるよりも恐れられよ」とあるが、笑われる対象となった石破氏はマキャベリズムとは対極にある。

 今年は総裁選も衆院選もある。菅政権がコロナ対策で舵取りを誤れば、再びキーマンとなる石破氏。総裁選5度目の挑戦で、“ガキの使い”から脱却できるか。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年1月14日号)

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