アリババ、ジャック・マー「行方不明」からの帰還……孫正義の“消えた5兆円”

文春オンライン / 2021年1月21日 6時0分

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 中国電子商取引(EC)最大手、アリババグループの創業者である馬雲(ジャック・マー)氏の行方が分からなくなっている。10月末に上海で開かれた金融フォーラムに出席して以降、公の場から姿を消したのだ(注:その後、1月20日に自身の主催するオンラインイベントに参加し、3ヶ月ぶりに公の場に姿を見せたと中国メディアが報じた)。

「フォーラムで『時代錯誤な政府規制が中国のイノベーションを窒息死させる。中国の金融当局は“老人クラブ”』と痛烈に批判したことが、習近平国家主席を刺激したようです。そもそも大株主に江沢民元国家主席の孫が名を連ねるとされるなど、アリババは江氏と近い。習氏としては、上海閥を仕切る江氏への資金の流れを断ち切りたかったのでしょう。馬氏は現在、当局に拘束されているとも囁かれています」(金融関係者)

 事実、11月3日、突如として5日に予定されていたアリババ傘下の金融会社「アント・グループ」のIPO(新規株式公開)が中止に追い込まれてしまう。上海・香港両市場への同時上場で時価総額32兆円を超える史上最大のIPOとなるはずが、一気に巨額マネーを消失した形だ。

「さらに中国当局は12月24日、独占禁止法違反の疑いがあるとしてアリババ本社の家宅捜索に踏み切った。アリババの株価は307香港ドル(10月28日)から、224香港ドル(1月8日)へと大幅下落しています」(同前)

 この状況に気が気でないのは、アリババ株の約25%を保有する筆頭株主ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義社長だろう。単純計算で、5兆円が吹き飛んだことになる。

孫氏は「犬は犬同士、匂いでわかる」

「孫氏は馬氏と初対面だった00年、ものの5分で出資を決めました。自身も05年から昨年6月に退任するまでアリババの取締役を務めてきた。孫氏は最近『SBGは投資会社』と口にしますが、『アリババ株はできるだけ長く持ち続けたい』と語るなどアリババ株は依然として収益の柱でした。アントのIPOでも、上海・香港市場に参加できない日本の個人投資家は、アリババの大株主であるSBG株に投資することになる。それによって、SBG株の上昇を期待していたのです」(同前)

 ところが、孫氏の“皮算用”は狂ってしまう。

「30年ぶりの2万8000円台という日経平均を尻目に、アリババ株の急落に合わせる形で、SBG株も年明け以降、8000円を割り込む厳しい展開です」(同前)

 孫氏は馬氏との出会いをこう振り返っていた。

「犬は犬同士、匂いでわかる。私たちは同じ血の流れている動物。クレージーな者同士だと分かった」

 だが、孫氏の“嗅覚”をもってしても、馬氏の行方は分からないという。

(森岡 英樹/週刊文春 2021年1月21日号)

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