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V6が残す「どのジャニーズも達成できなかったこと」 バレーボールも特撮美男子も彼らが始まりだった

文春オンライン / 2021年3月26日 20時0分

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V6 Johnny's netより

 1995年秋、アニメでは「新世紀エヴァンゲリオン」が、ジャニーズではV6が世界を変えました。V6が結成されたのは同年9月4日。1カ月後の10月4日に“エヴァ”のテレビ放送が始まり、さらに約1月後、11月1日にV6はCDデビューを果たしました。

 ともに四半世紀を超えて愛されてきた両者が、くしくも同時期に結びの時を迎えました。2021年3月8日にエヴァの完結編とされる「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」が公開され、4日後の3月12日にV6が「2021年11月1日に解散する」ことを発表したのです。

 25年間、同じ時代を生きてきたV6とエヴァには、どこか通じる部分があるように思います。突然の解散発表から約2週間。衝撃の余韻が残る胸をなでながら、両者の相似を読み解いてみます。

“バレーボールデビュー”のファーストチルドレン

 V6はバレーボールワールドカップのイメージキャラクターとして、大会のテーマ曲「MUSIC FOR THE PEOPLE」でデビューしました。彼らこそ、バレーボールワールドカップの大会テーマ曲という武器を引っさげてデビューしたジャニーズの“ファーストチルドレン”であり、V6以降、ジャニーズのグループがバレーボールワールドカップのテーマ曲でデビューするスタイルは定番化します。

 嵐(1999年「A・RA・SHI」)、NEWS(2003年「NEWSニッポン」)、Hey! Say! JUMP(2007年「Ultra Music Power」)、NYC boys(2009年「悪魔な恋/NYC」)、Sexy Zone(2011年「Sexy Zone」)らが続き、歌声で大会を盛り上げてきました。

 バレーボールとのコラボデビューはジャニーズファン以外の認知を高める効果が極めて高く、その中から新たなファンを獲得しました。そのすべてはV6から始まったのです。

 そのデビューから四半世紀。6人が思いをシンクロさせてきたV6に“活動限界”が来たのは、必然だったのかもしれません。メンバーは全員40代となり、これからの人生を見据えた森田剛さんは、役者に専念する決意をしました。V6は、6人が意志をひとつにしてこそ活きる“いのち”です。5人で続けることは、彼らにとって“違った”のでしょう。それでも、なぜ“解散”でなければならなかったかという疑問は残ります。彼らは何を成すために、この道を選んだのでしょう。

“V6の思惑”に迫る前に、まず6人の人となりを見ておきたいと思います。SMAPやTOKIO、嵐らと比べてTVバラエティ番組への出演が少なかった彼らの人となりは、ジャニーズファン以外からは思ったよりも知られていないかもしれません。ジャニーズ史上でも長い25年というグループ活動を成し遂げたのは、どんな個性を持った6人だったのでしょう。

「女性というのはなんて可愛く…」

 リーダー・坂本昌行さん(49)は、芳醇な大人の魅力を湛えた人です。

 デビュー前に一度ジャニーズ事務所を離れた時期があり、復帰後に東山紀之さんの付き人を経験した彼は、酸いも甘いもかみ分けて人生の豊かさを表現できるエンターテイナーです。近年は舞台やミュージカルを中心に活躍し、2016年には第24回読売演劇大賞で優秀男優賞(「MURDER for Two」)を受賞。Bunkamuraオーチャードホールを満席にしたソロコンサート「ONE MAN STANDING 2019 The Greatest Symphony」では、「女性というのはなんて可愛く、なんて素敵で、ときにわがままなんでしょう? つかみどころのないところも、女性がチャーミングな理由のひとつだと思います」という伝説のMCを披露し、大人のファンたちを大いに酔わせました。

 解散発表後、出演中の舞台「Oslo」のカーテンコールでは「(ファンの)みなさんにとっては、非常につらく悲しいお知らせではあったと思いますが、第2章のスタートとして、僕たちはこのエンターテインメントの世界にい続けます」と宣言。リーダーらしく新たな希望を示してくれました。

特撮美男子路線はこの人から始まった

 長野博さん(48)は、一歩踏み込んだ思いやりを持つ人です。

 長野さんは1996年、ジャニーズ初の“ウルトラマン”として「ウルトラマンティガ」(TBS系)の主人公マドカ・ダイゴ役を演じ、従来にないスマートでさわやかなヒーロー像を確立しました。“長野ティガ”の登場は、その後のつるの剛士さんのウルトラマンダイナや、オダギリジョーさんの仮面ライダークウガへと引き継がれ、特撮ヒーロー美男子路線を確立したエポックメイキングなキャスティングでした。

 余談ですが、“バレーボールデビュー組”の後輩でもある有岡大貴さん(Hey! Say! JUMP)は、「エヴァ」の庵野秀明さんが企画・脚本を務める「シン・ウルトラマン」(2021年初夏公開)への出演が決まっています。ジャニヲタにとってウルトラマンといえばティガ=長野さんなので、その系譜を有岡さんが継ぐことで、改めて長野さんの功績の大きさが際立ちます。

 V6内では“お母さん”と呼ばれ、調理師と野菜ソムリエの資格を持つ長野さん。グルメ番組の出演や料理関連の著書も多数。本には「なぜこの材料を先に入れるのか? なぜゆっくり火入れをするのか? とか、全部理由があるのでその理由もきちんと記載」したのだそう。丁寧なコミュニケーションから滲み出る誠実さは、ファンならば誰もが知るところです。

V6の“グループ内中間管理職”

 井ノ原快彦さん(44)は、人と人をつなぐ力のある人です。

 井ノ原さんは年上組の「20th Century」(トニセン)所属ですが、年齢的には年下組の「Coming Century」(カミセン)とのちょうど真ん中。“グループ内中間管理職”ともいうべき役割を担ってきました。

 テレビでは「出没!アド街ック天国」(テレビ東京系)の司会を務めるほか、ドラマ「特捜9」シリーズ(テレビ朝日系)に主演。また、2018年3月まで有働由美子さんと共に「あさイチ」(NHK)の初代メインキャスターを担当し、視聴者の心に寄り添う人柄が支持を集めました。

 特に番組内で朝ドラマの感想を語り合う“朝ドラ受け”は好評で、これは井ノ原さんの「ひとり暮らしのおばあちゃんが朝ドラを見て、感想を言い合えないとさびしいじゃないですか」、「せめて、テレビに話しかけてくれたらと思ったのがきっかけ」との思いによるもの。売れっ子なはずなのに、隣の家に住んでいるような近さを感じる名采配でした。

シビアな芝居の道を邁進

 森田剛さん(42)は、嘘のつけない誠実な人です。

 森田さんはV6の解散と同時にジャニーズ事務所を離れ、俳優業に重点を置くことを発表しました。「これからの生き方を考えたときに、ここで大きな変化が必要だと思ったし、芝居をしたい、1人になって勝負したいということを強く思った」という森田さんが芝居の魅力に目覚めたのは、2005年、舞台「荒神~AraJinn」に主演したときだといいます。以来、その演技で名だたる舞台人を魅了してきました。

 印象的だったのは、ドキュメンタリー番組で紹介されたソロショットの撮影シーンでのこと。笑顔が控えめなことを“省エネ”と指摘された森田さんは「失礼だな(笑)。全然わかってないね」と異論を唱えました。スタッフは“満面のアイドルスマイル”を期待したようですが、森田さんは「これマックスです」「省エネに見えるんだね。そりゃそうか。でもきっと、こだわるところが違うんだよ。他の人たちと」とその理由を伝えました。コンサートでの森田さんを見れば、彼が笑顔をケチる人でないことはすぐにわかります。

 これから森田さんが邁進する芝居の世界では、心の動きをミリ単位で表情に刻む繊細さが求められます。シビアさを十分に知った上でその道に進む覚悟をしたのは、それだけ芝居に向けるひたむきな思いがあればこそ。解散の発端になったとも言われていますが、その決意はなまなかのものではないはずです。

後輩への説教も愛

 三宅健さん(41)は、美しく生きることを教えてくれる人です。

 お茶の間では、人気バラエティ「伊東家の食卓」(1997年~2007年/日本テレビ系)の長男役が印象深い三宅さん。三宅さんのファンへの対応の真摯さはジャニーズの中でも指折りで、デビュー10周年の握手会で、聴覚障害を持つ女性の手話がわからなかったことがきっかけで手話を習得し、2014年に「みんなの手話」(NHK)のナビゲーターにも就任しています。

 さらに彼の発案でV6のライブDVDに日本語字幕が付けられるようになり、より多くの人に公演を届けられるようになりました。

 後輩に対しては愛ある厳しさを貫き、「滝沢歌舞伎」に出演した際に「ラジオの収録があるので挨拶に来たい人はどうぞ」と張り紙をして、“ふだんは顔を見せないのに、旨味のあるときだけ挨拶に来るジュニア”をあぶり出し、そのさもしさをたしなめたこともあります。

 解散発表後の行動も際立っていました。自身がパーソナリティを務めるラジオで「(ファンを)抱きしめてあげたい」、「ヨボヨボになってまでやるのがいいのかはわからないですし、ジャニーさんが作ったもの、きれいな状態のままで、箱にしまえるのかなって思います」と話し、ファンと同じ視線で悩んでくれていたのだとファンは涙したのです。

「V6をとりもどそう」

 岡田准一さん(40)は、痛みをやわらげてくれる人です。

 岡田さんは、V6の“大看板”です。老若男女から認められる美形にもかかわらず、フリートークもコメディな演技もお手の物です。2014年にNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」主演、2015年には「永遠の0」で日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞、「蜩ノ記」で最優秀助演男優賞をダブル受賞するなど、俳優として確固たる地位を築いています。とりわけアクションはすさまじく、カリ、ジークンドー、USA修斗という格闘技のインストラクター資格を取得して生田斗真さんら後輩たちに武術の手ほどきまでしています。

 ストイックな横顔をもつ反面、ライブでは自然にメンバーのおしりをなでるなど茶目っ気もたっぷり。25周年という区切りと解散については、“25周年記念の配信ライブは「V6を取り戻そう」という気持ちで臨めた”ので、「僕らのファンの方がどれだけショックを受けて悲しむかっていうことだけ心配している」「(11月1日までに)やれること、味わえることを探したり、僕たちならではのチャレンジと共に作ろう(としている)」と語り、ファンの痛みをやわらげようとする気持ちを見せてくれました。

V6が後輩たちに残す、最大のプレゼント

 思い起こせば25周年の配信ライブで、坂本さんが「まぁ25年やってるとね、いいことばっかりじゃない。実際ずっとやってきて……今この瞬間を迎えられて、本当にファンのみなさんに、勇気と元気をもらってるんだなって」と言葉につまりながら話してくれました。

 6人が25年間勤め上げたV6は、ジャニーズを代表する派手派手しいスターというよりも、そこにいてくれるだけで心がなごむ“青年会”のような存在になっていました。

 多くのグループが「少しでも大きな会場を!」と望むのに対し、V6はグループのパフォーマンスを楽しんでもらえる距離感を大事にし、敢えてほどよい、ホールやアリーナクラスの会場を選んできました。それだけに、チケット争奪戦はときに他のグループ以上に過酷になってしまうことさえありました。

 また、代々木競技場第一体育館には、ステージから遠いファンのために2階スタンド席前まで続く花道をつくり、彼らのほうからファンに駆けよってくれました。この花道はその後もV6が代々木でコンサートを開くときには度々登場して“Vロード”と呼ばれるようになり、他グループファンの羨望の的になっています。

 瞬間風速でジャニーズのトップに立つ時間はそれほど長くなかったかもしれませんが、安定したファンベースを抱え、アンチがほとんどおらず、独特のペースで輝くV6はうらやましく思える存在でもありました。それだけに「絶妙な立ち位置なのになぜ?」と解散に首をかしげる後輩も多いでしょう。

 しかし私には、V6がジャニーズの後輩たちの最大の悩みに答えようとしているように見えます。現在のジャニーズの若手たちは「これから自分たちはどうなるのだろう? どうやって進んでいけばいいのだろう?」という疑問と向き合っている人も多いはずだからです。

 先輩たちが理想的とは言えない結末を迎える姿を目の当たりにすれば、「自分も最後は切ない結末を迎えるかもしれない」と不安になる人だっているでしょう。 V6はそんな後輩たちのために“美しい幕引きのシークエンス”を見せようとしてくれているのではないでしょうか。

 誠意を持って解散の経緯を包み隠さずファンに伝え、ファンの悲しみを受け止めてともに泣き、最後は笑顔で手を取り合ってゴールを目指す。過去のジャニーズが誰もなしえなかった愛に溢れる丁寧なエンディングを、彼らは見せようとしてくれているのだと思います。

 デビューから誰ひとり欠けることなく25年という歳月を駆け抜けた、理想的なアイドルのフルパッケージ。こんな尊いものをファンと後輩に残そうとしてくれるV6のファンとして生き様を見守る経験は、ファンの胸に誇らしく刻まれるはず。それは過去にほとんどのアイドルが達成できなかった偉業中の偉業であり、ジャニーズ史に燦然と輝く金字塔になるはずです。

「ずっと」っていつまで?

 デビューするとき、アイドルたちは「ずっとついてきてね!」と言います。もちろんずっとついていくけれど、“ずっと”っていつまで? 終わりを迎えたとき、心に空いた喪失感の穴はどう埋められるのか。その答えを、V6が示そうとしているのです。

 SMAPの解散、嵐の活動休止に続き、予期しなかったV6の解散はジャニーズの“サードインパクト”になりかねないものでした。あいつぐ解散やメンバーの脱退に「ジャニーズはもう終わりでは」と言う人さえいますが、私はそうは思いません。

 ジャニーズは死なない。V6の心意気が守るから。

 私には、そんなふうに思えるのです。

(みきーる/Webオリジナル(特集班))

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