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「法律違反だったのは間違いない」フジ日枝久相談役に“外資規制違反”について尋ねると…

文春オンライン / 2021年4月10日 17時0分

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フジテレビ本社 ©AFLO

「今なら大変な騒動になってしまうところでしょうけど、私らの時代、民間の方との夜の会合はあたり前のように頻繁にありました。膝詰めで会い、真意を確かめ合う会合は役所と民間企業との潤滑油のような役割をしてきた。やはり会議室での話ではなかなか通じ合えない。こちらは費用をもつ余裕がないので、会合の設営はお任せになります」

 かつて霞が関で大物事務次官と称された官僚に総務省接待の話題を振ると、本音でそう語ってくれた。

「放送免許を取り消されかねない一大事だ」

 民間の方とはもとより利害関係企業も含まれ、むしろそのほうが多いとも告白する。官民接待は程度の問題といえ、東北新社による総務省接待の本質はそこではない。問題の本質はそこに現職総理大臣の長男が登場していること、そして放送法に基づく企業の許認可が見え隠れしている会合の議題である。

 東北新社ならびにそこに勤める菅義偉首相の長男正剛は、放送法に定められた議決権のある株主の外資規制違反という局面で、総務官僚に接待を繰り返してきた。これが放送事業者にとっていかに重大事であるか。

 そこについて民放テレビ局の幹部に取材すると、「放送免許を取り消されかねない一大事だ」と指摘し、テレビ界の大物、フジ・メディア・ホールディングス(MH)の日枝久相談役も同じく憤ったので、「文藝春秋」5月号に寄稿した記事ではそのように書いた。

 ところが記事が印刷されたあとの今月に入り、そのフジMHが2012年から14年の1年半にわたって外資規制の20%を超えていたという。いったいどういうワケだろうか。改めて日枝に聞いてみるとこう答えた。

総務省と放送事業者の慣れあい

「(取材を受けた)あの時点でうちが違反をしているとわかっていたら、そう話しています。申し訳ありませんが、私は知りませんでした。新聞社からの問い合わせがあって調べると、2014年に議決権のある外資比率が20%より0.00042~0.00083%超えていて、僅かとはいえ法律違反だったのは間違いない。当時の担当常務だった現社長の金光修が総務省に報告していたことも知りました。

 私は相談役ですから表立って発言する立場ではありませんが、(問題の発覚)当初、金光が『正式には総務省に報告していない』と発言していたこともおかしい。だから彼には、『常務が役所に行っているんだから公式の報告だ、すぐに訂正しろ』とアドバイスしました」

 すでに「 文藝春秋digital 」ではフジの外資規制違反について書き足しているが、むろん単純ミスだと許される話ではない。14年時、日枝はフジMHの代表取締役会長でもあった。とすれば、放送局の免許条件に触れる重大事を会長に報告もせず、事実を隠したまま水面下で総務省と結託して難を逃れたことになる。

 その金光から2度の報告を受けた総務省側の窓口は情報流通行政局放送政策課長だったことも判明している。14年12月、課長は局長へも報告し口頭による厳重注意で済ませたというが、その間、何があったのか。法違反を隠ぺいしてきた事実に対するフジ、総務省どちらの責任も免れない。

 東北新社の接待問題は総務省と放送事業者の慣れあいの延長線上にある。(敬称略)

◆ ◆ ◆

 菅首相は、官僚たちの忖度を巧みに利用し、親族に便宜を図ってきた。ノンフィクション作家、森功氏が長男・正剛はじめ家族の問題、接待問題の本質に斬り込んだ「 菅義偉『ファミリー』の研究 」は「文藝春秋」5月号および「文藝春秋digital」に掲載されている。

(森 功/文藝春秋 2021年5月号)

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