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《連続猫殺し疑惑》80匹生息の千葉”捨て猫公園”で何が起きているのか?「液体を吐き、血便や血尿も」証拠写真

文春オンライン / 2021年4月16日 17時0分

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袖ヶ浦公園の猫たち(NPO法人「袖猫パトロール隊」提供)

 東京湾アクアラインの千葉県側に位置する袖ケ浦公園(千葉県袖ケ浦市)は、現在80匹ほどの猫が住みついている知る人ぞ知る公園だ。

 広い園内で、1年を通してさまざまな花を楽しめるのが売りだ。そして園内を少し散歩するとすぐにたくさんの猫が出迎えてくれる。整備された歩道に寝そべる猫、ベンチの上に座る猫、目をこらすと茂みにも猫。至るところに猫がいる。

公園が80匹の猫が住む保護シェルターに

 約10年前から、その広さと24時間自由に出入りできることなどから、周囲一帯の捨て猫スポットと化しており、捨てられた猫がさらに子供を産むなどして約150匹の猫がいた。猫を遺棄した老夫婦が動物愛護法違反で摘発されたこともあった。

 そんな公園で、猫の避妊去勢手術をし里親探しをするなど「一代限りの命」をまっとうさせる活動をしている団体が、NPO法人「袖猫パトロール隊」だ。同法人の代表は大島三郎さん(67)。隊員らで1日1回の餌やりや里親探しなどをしているという。

「最近では猫を捨てるケースは減りましたが、住みやすいのか、周囲から流れてくる猫もいて、現在は80匹ほどがこの公園で暮らしています。すべての猫を里子に出せればいいのですが、なかなか家の中の生活に順応できない猫もいるので、そういう猫には公園で命をまっとうしてもらいたいんです」

「外傷がなく液体を吐いていた」6日間で6匹が不審死

 しかし、桜が咲き多くの花見客が訪れる3月19日以降、ある異変が起きている。猫の不審死が相次ぎ、警察も動き出す事態になっているというのだ。

 最初の“変死体”が見つかったのは3月19日のことだった。

「前日まで異変もなかった推定13歳ほどの公園猫の兄貴分、茶トラのマイケル(同法人のメンバーが命名、以下同)が18日に餌やりの時間になっても姿を現しませんでした。時折現れない猫もいるので、少し探して諦めました。しかし19日にも姿を見せずにこれはおかしいと前日よりも範囲を広げて探すと、外傷もなく死んでいるのが見つかりました。何か吐いたあとがあり毒かなとも思いましたが、年も重ねていたので病死もあるのかなと……」

 しかし、21日から22日にかけて、キナコ(推定7歳、オス)、シシオ(推定3歳、オス)、チョコ(推定5歳、メス)、24日にはバク(推定6歳、オス)と相次ぎ死体が発見されたのだ。

「さすがにおかしいです。毒殺だなと思いました。この子たちに共通していたのが、外傷がないことと液体を吐いていた形跡があることです。血便や血尿が出ていた猫もおり、内臓から出血していたんでしょう。過去にも突然猫が死んでしまうことはありましたが、こんなにまとまった期間に死亡が相次ぐなんて異常なことです」

 22日には衰弱して息も絶え絶えになったポッポ(推定3歳、オス)も見つかった。

「もしかすると助かるかもしれない」

 そう思った大島さんらは、急遽動物病院へ連れて行った。救急診療した「ふー動物病院」(神奈川県相模原市)の亀田博之獣医師(36)が当日のことを振り返る。

「運ばれてきた猫には嘔吐や下痢の症状があり、顔面は痙攣し、よだれも出ていた。かなり深刻な状態でした。しかも、肝臓や腎臓の毒素の数値が非常に高かったんです。腎臓が弱い猫にも同様の症状が出ることがあるのですが、慢性的に症状がある場合はガリガリに痩せてしまいます。しかし運ばれた猫は体格が良かったため、何らかの毒をもられるなどして急変した可能性が非常に高い。一刻を争う状況で、点滴を打つなど手を尽くしました。しかし2日後に死んでしまいました」

ほかにも数匹の猫が行方不明になっている

 大島さんらから、ポッポ以外にも同様の症状を呈して死んでいた猫が複数いることを聞いた亀田獣医師は保健所と警察に通報。千葉県警は猫2匹の死体を調べ、毒物が何なのかを特定するなどして捜査しているという。

 大島さんによると、死亡が確認された猫のほかにも餌やりの時間に出てこず、行方不明となっている猫もほかに数匹いるという。

「死んだ猫もみんな必死に生きていました。キナコは数年前、周囲の人に可愛がられ、あるバスターミナルに居着いていました。しかし猫が好きではない人が10キロ以上離れたところに連れて離してしまいましたが、自ら戻ってきました。さらに別の人に引き取られることになりましたが、うまくいかずに公園に来た経緯があります。人間に翻弄されてしまった生涯の最期がこんな形になるなんて……。

 過去に手術したことにより、片目が釣り上がったバクは愛嬌のある人気者で、来園者の中にはその死を知って涙した公園の常連さんもいます。なぜ突然、みんなの命が奪われることになったのか。何があっても犯人を許せません」

 園内には防犯カメラがないため、大島さんは連日、午前2時や3時まで見回っているという。袖猫パトロール隊は猫の不審死の情報を求める看板なども設置し、不審者に目を光らせる日々が続いている。

 警察庁は3月25日、2020年に全国の警察が動物愛護法違反で検挙した動物虐待の件数が102件だったと発表。そのうち猫が半数以上を占めた。遺棄が多いが、殺傷行為も全体のうち29件を占める。多頭飼育崩壊といった飼育面での虐待の割合も多い。

 大手紙警察担当記者はこう解説する。

「数多くの事件情報が寄せられる中で、動物愛護法違反はどうしても後回しにされやすい。一方で、残虐な事件の被疑者が前段階として動物の虐待に手を出すケースも多く、警察としても地域の治安を脅かす存在として、力を入れているのも事実だ」

 いま、コロナ禍で癒しを求める人の間でペットブームが起きている。しかし一方で飼育放棄も増加しているという。大島さんは肩を落として、こうつぶやいた。

「誰かが毒を盛ったんじゃないかと思えてなりません。残酷な写真を出したくはなかったが、現実を知ってもらいため断腸の思いで死んだ猫たちの写真を提供しました。新たな犠牲が出ないよう、多くの人に公園で起こっている現実を知ってもらいたいです」

(西川 義経/Webオリジナル(特集班))

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