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科学的に証明された“脳汁”の正体…大人気パチンコ・海物語は「演出の信頼度が40%っていうのが絶妙」

文春オンライン / 2021年5月8日 6時0分

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©️iStock.com

「もう一回こないかな~」パチンコ関係者にとって“待望”だった休業要請…とある店長がもらした“本音”とは から続く

 虹保留、激熱演出、フリーズ、リーチ目出現……。パチンコやパチスロをはじめとしたギャンブル全般で、的中を予感したときの恍惚感を「脳汁が出た」と表現することをご存知だろうか。この「脳汁」は、決して抽象的な概念ではなく、すでに脳科学の世界で実在が証明されている。

「脳汁」の存在を証明したのは、自身もパチンコを嗜む脳科学者、篠原菊紀氏だ。ここでは、パチンコに半生を捧げてきた大﨑一万発氏、ヒロシ・ヤング氏の著書『 パチンコ崩壊論 』(扶桑社)の一部を抜粋。両氏が篠原氏に行った取材の模様を紹介する。(全2回の2回目/ 前編 を読む)

◆◆◆

「脳汁」がパチンコ研究の発端

ヤング ガラッと話を変えていいですか。先生今いくつですか?

篠原 61歳。

ヤング オレ、先生に初めて会ったの多分20年くらい前なんですよ。

篠原 パチンコの研究始めたのがそのころだからね。

ヤング 先生がパチンコと出合ったのっていつですか?

篠原 よく覚えてないんだよね。大学生のとき普通にやってたんだろうけど、皆さんほどはドハマリしてないと思う。

ヤング 先生、東大でしょ。

篠原 うん。学生時代はそんなにやってなくて、パチンコの話をちゃんとやったのはいつだろ……。必勝ガイドが脳汁(*1)とか言ってて、脳汁ってエンドルフィン(*2)とかドーパミン(*3)だよねって思って…。で、学者仲間と話してて、じゃあ調べてみる?って話になって、調べて結果が出たから論文書いて……って。

*1 雑誌やネット上で使われる言葉で、ギャンブル特有のゾクゾクした瞬間に溢れ出る脳内麻薬のこと。10年ほど前にテレビ番組『アメトーーク!』の「パチンコ芸人」の回で、ブラックマヨネーズ吉田氏が脳汁について語るも、スタジオにいた芸人がひとりもその言葉自体を知らなかったことを考えると、パチンコメディアに触れていない人の認知度は低い言葉なのかもしれない

*2 脳内で働く神経伝達物質の一種。鎮痛効果や高揚感を得られるため、脳内麻薬と呼ばれている。興奮したりゾクゾクする際に分泌されるため、激アツリーチ中など興奮するタイミングでエンドルフィンが溢れ出ているのだろう。ちなみに、長時間走り続けたときに感じる「ランナーズハイ」はエンドルフィンが関与する現象のひとつ。以前パチンコ遊技中の姿を週刊誌に撮られた高橋尚子さんは、もしかするとエンドルフィン中毒なのかもしれない……

*3 中枢神経系に存在する神経伝達物質の一種で、やる気を生み出してくれる脳内物質。体を動かす、勉強するなど、実際に行動しているときに活性化する。報酬の期待を感じるときにも大量に分泌されるため、こちらもリーチ中や大当り中には、しとどに溢れ出ることが想像できる

ヤング あのね、東大の先生はそもそも必勝ガイド読まないと思うんだけど(笑)。

篠原 そんなことはねえだろ(笑)。だって田山さんだって東大じゃなかったっけ?

ヤング 田山さんも東大ですけど、こう言っちゃなんだけど、田山さんは何ていうか落ちこぼれなんですよ。だけど先生はちゃんと教授になってるじゃん。普通、大学教授は必勝ガイドは読まないよ(笑)。

篠原 いやよくわからないけど、送られてくるから必勝ガイドは毎回読むよ。

ヤング それは今は、でしょう(笑)。そうじゃなくて、その「脳汁」という言葉に出合った頃の話。

篠原 あぁ、そうか。あの頃は普通に連チャン打法(*4)あったじゃん。

*4 連チャン機時代は台によって連チャンが発生する契機が異なっており、特定の打ち方をすることで連チャン発生率を飛躍的に上げることができた。なかには必ず連チャンが発生したり、永久に連チャンする打法もあった。

一同 (笑)

篠原 ガイド読まなきゃわからないし、ボルテックス(*5)の法則とか読んで面白いなと思ったりね。それでズバリ当たってもちっとも得になっていないことに気がつくには時間がかかったとかさ。

*5  90年にSANKYOが発売した、ルーレット型デジパチ機種。オマケチャッカーを搭載しており、大量出玉を獲得できるだけでなく、保留玉で連チャンも期待できた。ルーレットとデジタルが揃い大当りした後、ドットに「大当り スタート」と表示されている間にスタートチャッカーに入賞すると50%で連チャンするという攻略法もあり、トップクラスの人気を誇った

大崎 先生は大学の教授になった後もパチンコずっとしてたんですか?

ヤング 先生がどんな台を打ってたか知りたいわ(笑)。

篠原 ボルテックス好きだったよ。レーザースペーシー(*6)は相当長いこと使われてて、あのパネルって色がついてるじゃん。あれが完全に消えて真っ暗闇の中でやってる状態の台を打ってた(笑)。なぜか当たって玉が出てるみたいな。「ブドウ・ブドウ・黒」で当たった!みたいなさ。あれ面白かったな。

*6 87年に平和工業(現在の平和)が発売したデジパチ機種。デジタル部分に透過光式透明板を採用し、ネオンのような美しい図柄が特徴。オマケチャッカーを搭載しており、見た目の美しさと出玉によって人気を集めた。ただ、長期間の稼働により透過光式透明板が映らなくなり、真っ暗なのに大当り……となることもあった

ヤング ボルテックスは……どこで打ってたんすか?

篠原 ニューアサヒ(*7)だね。

*7 長野県を拠点に現在24店舗を展開するパチンコチェーン。東京都では府中市に1店舗のみ

ヤング あ、長野だから。ガイドの中で「脳汁」って言葉が出てくるのって、おそらく1990年代の話ですよね。大当りの期待感を「脳汁」って名づけた人は天才だと思うけど、立派な科学者が「脳汁」という言葉を聞いて、あ、確かに出てるな、と思って研究したってなんかスゴい。よくわかんないけどイカレとるわ(笑)。

篠原 本当は、確かに出てるというよりも、出るに決まってるじゃんと思った。

一同 (笑)

ヤング じゃあ研究しようと思ったきっかけは、ガイドの「脳汁」って言葉がきっかけ?

篠原 そう。だから「脳汁」のままでいいんだけど、「脳汁」を実際の脳科学用語ではこういう物質ですよとか、その出方はこうなってますよ、とかね。そういうのが理論化できれば面白いなと思って。

大崎 それまで先生は趣味というか稼ぐためにパチンコやってたけど、業界との接点はなかったんでしょう?

篠原 ないよ。でも、その研究をやって発表したら、やたら講演会で話してくれとか言われてさ。そうこうしてたら日遊協の専門委員かなんかが飲酒運転事故を起こして、枠が空いてるから推薦したいって言われて。

ヤング その研究の話をもうちょっと聞きたいんですけど、いわゆる「脳汁」を学者仲間と調べようってなったときに、具体的にはどういう研究をしたんですか?

篠原 基本的には「汁」が出るかを調べるんだけど、「汁」の出方にも差があるとかが議論できたらもっといいじゃない。だからそもそもパチンコやる人がどれくらいハマっているかとか、年中来てるかとかね。そういうのが因子になる可能性があるから、まずは観察する必要がある。だからパチンコ屋に通って、あの人いつも来てるなとか、客の動向を観察しつつ……。

ヤング 確か打ってる人の血液検査とかもしてましたよね?

篠原 それは三法活栓と言って、血管に針を入れて、パチンコ屋に入る前、大当り前、大当りした30分後、そうやって時系列的に採血するの。でも、ベータエンドルフィン(*8)って不安定なものだから、すぐ遠心分離機(*9)にかけなきゃいけないんだよ。だから、パチンコ屋のカウンターの横に遠心分離機を置いといて、血を抜いたらそこまでダッシュして(笑)。それでバーッと遠心分離かけて、分析会社に持っていって。

*8 ヒトには5つのエンドルフィンがあり、そのうちの一つ。がんの鎮痛剤として知られる「モルヒネ」と同じような作用をする物質

*9 遠心力を利用して比重差のあるものを分離させる機器。ちなみにネット通販でも販売されており、レビューには「血液を入れて白血球と赤血球を分けました!」など、日常品レビューではまず目にすることのない内容が並んでいました

大崎 そんなの、パチンコ屋さんがよく協力してくれましたよね。

篠原 常連だもん。

一同 (笑)

篠原 一応、学者としてはドーパミンとかエンドルフィンが出て……という研究をしたいんですって言わなくちゃいけないじゃん。でも、店から「ドーパミンってなんですか?」って聞かれて「覚醒剤みたいなもんです」って言ってもさ、そんなもんオッケーしてくれるわけないからさ。

一同 (笑)

篠原 ずっと断られ続けて、しょうがないからもう常連になるしかないじゃんって話になって(笑)。それで通っていたパチンコ屋に他の研究者の人にも通ってもらって、顔馴染みになって、「こういうのやりたいんだけど」って言ったら「どうぞ」って(笑)。

ヤング 僕が先生の研究室に初めてお邪魔したときは、海物語が置いてあって、頭にプチプチしたものをつけて……。

篠原 ああ、脳の活動調べるやつね。

ヤング そのときに言われたのが「おまえ、さすがパチプロだな。台の前に座っただけで落ち着いちゃってるじゃん」みたいなこと言われたんですよ。何の波形を見たのかわかんないけど。あと、その時に先生が言ってたのは、「あぁ、パチンコ行きたい」って思っただけで「脳汁」は出ると。

篠原 それは関連刺激っていうんだけどさ、例えば「GOGOランプ(*10)」や「パトランプ(*11)」が光ったりすると、ちょっと汁出るじゃない。でも、そのランプの意味を知らないやつは、汁なんか出るわけがない。逆にジャグラーが好きなヤツが、ほかのただのゲーム上のスロットもどきをやっても面白いと感じることはなくて、ドーパミン系も活動するわけない。それをもって依存の脳活動だって言いやがるから。それは嘘だろって話なんだよ。

一同 ふむふむ。

*10 パチスロ機「ジャグラー」の大当りを知らせるランプ。GOGOランプが光ることを「ペカる」と表現することが多い。この注釈で皆さんの知識の足しになるような情報などありません!

*11 パトカーなどの緊急車両に取り付けられている赤いランプのこと。しかしここでは言うまでもなく、パチンコ演出で大当り時に光るランプ演出のことを指している。ちなみに映画泥棒を取り締まるキャラクター「パトランプ男」には公式ツイッターアカウントがあり、スマホゲームとのコラボなどのバリバリ企業案件をこなしているようだ。パチンコユーザーにとっては関係ない話だが……

篠原 なぜそんな言い方ができるかっていうと、ギャンブル障害の人とギャンブル障害じゃない人を連れてきて、キリン柄(*12)を見せるとどうなるか?とかやるわけ。そんなもん差が出るに決まってるじゃん。そこでドーパミン神経系がおかしくなってる……みたいな話になるんだけどさ、それはおかしいんじゃないかって。鬼滅にハマってれば鬼滅に関連したものを見たらそうなるだけの話だから。

*12 Sammy機種の激アツ柄。パチンコユーザーなら、この柄を見るのと同時に効果音を脳内に響き渡らせることができるだろう。テレビの動物番組でキリンを見た際、「あ、激アツ……」と思ったら自身のギャンブル依存症を疑いましょう

ヤング 黒と緑の市松模様を見ただけで……。

篠原 そう、鬼滅にハマってるヤツは市松柄見たら当然「おっ!」ってなるだろって話。問題はそういう状況が長期にわたるのか、生活に支障が出るのかって話。問題を起こしたり、支障が出たりするようになるためには素質が必要で、やたら衝動性が高いとか、協調性がないとかって話になりますよってこと。

大崎 先生の話を聞いてると、パチンコに同情的ってわけでもないですよね。だから逆に信用できる。

演出とドーパミンの問題

ヤング 最近もパチンコ打ってます?

篠原 打ってるよ。機種ごとの演出によってドーパミンの出方がどう違うかっていう研究してるからね。どうしてそんなことをやるかっていうと、射幸性の話で、出玉の出方による影響がないって話をしたでしょ。おそらく次は、演出による「あおり」が問題だって話が出てくる可能性があるのよ。というのは、ガチャ規制問題(*13)とかが出てきて。あれって結局ガチャみたいな演出が問題だって言ってるわけじゃん。いろんな「あおり」があるからだと。実際カジノでも、スロットに関して、先読み的な演出をやってはいけない、みたいな規制がいくつかある。そういうのがこっちに来る可能性もないわけじゃないから。だから、実際に「あおられてる」ときに、ドーパミン量がどれだけ増してるのかを調べてるの。

*13 多くのスマホゲームには、ゲーム内のキャラクターやカードを獲得するために、ガチャガチャの演出を採用している。そのため、確率通りに出ているのかという「景品表示法」における問題や、のめり込みで大量課金してしまう依存症に対する問題などが発生。現在も業界全体で規制する動きがある。オランダやベルギーなど「ガチャはギャンブルである」と認めている国もあるそうで、日本でもそうなればもっと規制が強化されることでしょう

大崎 それは興味深いなあ。じゃあ、どの台が一番ドーパミンが出るかってわかるわけでしょ?

篠原 例えば魚群レベルの演出が出れば、ドーパミン量が2倍になりますとかね。そういう数値を使えば、大工の源さんはどのくらいドーパミン量が出ていて、それは北斗無双3(*14)と比べてどうだとか、そういう比較はできる。ある機種を打っていたときに1年後に依存リスクがどうなるかっていう結果と合わせると、演出に問題があるのかどうかがわかるわけ。

*14 北斗無双シリーズの第3弾『P 真・北斗無双第3章』のこと。導入当初から「とにかく通常時の演出がつまらない」と話題になっており、あっという間に客が飛んでいった機種。初代の『CR真・北斗無双』は演出面・スペック面ともに好評で、導入から5年が経過した今もなお人気を博しているため「初代以外の無双は無双ではない」とネット上で揶揄されている

ヤング でも、演出なんてそもそも機種ごとに違うわけだから、単純比較って難しくないですか?

篠原 パチンコメーカーが信頼度を管理的に演出を作ってくれてればいいんだけどさ、あれってだいたいヒットした作品のプログラムに付け加えていくって形でやってるじゃん。そうすると、当たり前だけど信頼度が変わってくるんだよね。実際には全部シミュレーターで動かしてみて、ログを全部拾って、実際に逆推計(*15)で信頼度出して、この演出がこのくらい出る台だから、これくらいあおってますっていうのを出さなくちゃいけないわけだけど、それが結構大変。

*15 予測での数値ではなく、しっかりと全てのデータに基づいて数値を出すこと。パチンコ演出信頼度を出すための逆推計は、恐ろしいほど地道な作業になるでしょう

大崎 できるんですか、それ……。

篠原 ずっとデータを取っていけば機種ごとの快感度の違いを特定できるから、ちゃんと調べればより面白い台が作れるって話を20年くらい前からしてたんだけど、誰もやらないから不思議だなと思ってた。でもやらないと演出規制の話ってできないから始めたら、誰もやらない理由がわかった(笑)。今言ったような演出の作り方をしてるから、結局、全部で10万回転くらい回して、ログを引っ張り続けなくちゃいけないわけ。

ヤング うわ大変だな、それは。

篠原 今回のはあおり演出に問題があるのかないのかってことだから、各メーカーにデータ出してくれって頼めたし、ある程度の機種を出してもらえたから検討できてるんだけどね。ただ、ログで出てても目には見えてない演出っていっぱいあるじゃん。端っこが光ってるとかさ。やっぱ実際に打たなきゃわかんないからね。だからしょうがないから打ってんだよ。

ヤング それって先生自らが被験者になってやってるってこと?

篠原 演出がどうなってるのかがわかってないと、ログで出てきたレコードの読み解きができないんだよ。例えば、ルパンGOLD(*16)の確変突入率の表はあるんだけど、実際こっちから見えていたときにゴールデンタイムに入るのが何パーセントか、みたいな話って、表だけ見てもわかんないんだよ。打った記憶があるから辛うじて分枝図が作れる。例えば前作の牙狼(*17)は確変突入率が30%で引き戻しを含めると50%だったんだけど、コケたじゃん。最初から50%突入の一種二種混合機はそんなにコケないのにね。それはなんでかっていうと、ドーパミン増幅で計算するとすぐに答えが出るの。そういうことをはっきりさせるためには振り分けとかが必要で、平均出玉じゃ計算できないんだよ。

*16 『CR ルパン三世~LAST GOLD』。電サポ大当りの70%が2400発と、爆発力のある一台だった。しかし、ヘソ大当り時の電サポ回転数に変動があったり、電サポ抜け後に内部確変があったりと、なかなかややこしい一面も

*17 『P 牙狼冴島鋼牙XX』。ST突入率は時短引き戻し込みで51・2%、継続率は約80%、出玉はオール1500発という、スペックだけを聞くと魅力的に見える。ただ、篠原先生のおっしゃる通り、突入率は他の台と大差ないのに、打ち手が辛く感じてしまったこと。そして何より、ST中演出のトロさ(大当りが確定してからもムービーが数分間流れ続けるなど)が、客飛びの要因になったと考えられる。当時、一部のパチンコライター界隈で「三重のオールナイトには向いてるよね~」という発言が飛び交っていた

大崎 純粋に研究でパチンコをしてる人がいるっていうのは、なんだか感慨深いものがありますなあ。

ヤング オレらのほかにも大っぴらに仕事だっていってパチンコ打ってる人がおるなと思って。

篠原 大っぴらかどうかは知らんけど(笑)。けっこう大変だぞ。

ヤング 今、思い出したんだけど、昔、海物語の秘密を解く、みたいなVHSのビデオを出した時に撮影で先生のところに行ったんですよ。そしたら先生が、魚群は右から出るのがポイントなんだって言ってて。動体視力は本能的に右からくるものに反応するようにできてて、さらには信頼度が40%っていうのが絶妙なんだと。

篠原 目は横についているから、横スクロールのほうが追いやすくなるようにできてるって話ね。右の視野から左の視野に動いていった段階で「ちゃんと出てる」って脳が感じられるから、心の中の時間が確保できるっていう意味。しかも左の視野から右の視野にいくよりも確保できる心的時間が長い。

大崎 じゃあ、信頼度40%が絶妙っていうのは?

篠原 それはドーパミンが関係してて、動物実験なんだけど、どのくらいの確率でエサを与えるとドーパミン量がどうなるかって研究結果が出てるの。これはさっき話した、演出によってドーパミン量が違うというのと通じていて、40~50%って確率は絶妙なんだよ。

ヤング そもそも依存ってドーパミンほしさに起こるものなんですか。

篠原 その単純モデルじゃ依存を説明するのは無理だって言ってんの。もともと何かをしたいって思うことには、すべてドーパミン神経系の活動と線条体(*18)の活動がある。これは明白。だけど普通はそうやっても飽きてくる。嫌になったりもするし、痛い目にあうと、もう嫌だってなる。だからドーパミン系だけで説明するのはもともと無理があるというのが一点。それがやめられないくらいになったりとか、家族に迷惑かけてもやる、というレベルになったとしたら、さっきから話している性格的な問題とか遺伝的な問題とか、併存症の問題だとか、もっと広範な何かを背景にもってないとなかなか厳しいね、というのが現状だと思ってる。

*18 運動処理や意思決定に関与する脳の主要部分。脳の中心部に位置し、動機付けや習慣的行動、適応的な意思決定に特化した役割を果たしている。私が本書の文字起こしを行ったのも、この注釈を書いているのも、きっと線条体が役割を果たしているからなのだろう

【前編を読む】 「もう一回こないかな~」パチンコ関係者にとって“待望”だった休業要請…とある店長がもらした“本音”とは

(大崎 一万発,ヒロシ・ヤング)

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