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「しみけんさんの撮影は、F1みたいな感じでした」 “人気AV男優漫画家”が語る みんなの知らない「AV男優」の世界

文春オンライン / 2021年7月8日 11時0分

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蛙野エレファンテさん ©️文藝春秋

 アダルト業界とは無縁だったごく普通のサラリーマンが、会社の倒産、妻との離婚を経て、ひょんなことから次の職業に選んだのは…AV男優! そんな実体験をもとに描かれたエッセイ漫画が、現在「くらげバンチ」で連載中の『 AV男優はじめました 』(新潮社)です。「男優」としての実体験を赤裸々に描いた本作は、業界の内外を問わず多くのファンの心をつかんでいます。作者の蛙野エレファンテさんは、5年間の男優キャリアの中で、出演作品数は250本を超えると言います。そんな蛙野さんが語る、謎多きAV業界の裏側とは?

【漫画】『AV男優はじめました』第1話を読む

◆◆◆

「男優のバイトだったらやらせてあげる」と言われ…

――普通のサラリーマンからAV男優へ、突然の転身ですよね。なぜ男優の仕事を選んだのでしょうか?

蛙野 漫画にも描いているんですけど、最初は友達の友達の紹介でした。たまたま行った飲み会の時にその人から「AVの仕事やってるんや」という話を聞きまして、冗談半分で「え、じゃあちょっと見学させてくださいよ」と言ったら「それはダメだよ」と言われて。ただ、その代わり「男優のバイトだったらやらせてあげるから、この日空いている?」みたいに言われたんです。

 それで「人生の中で一度くらいは、そういうちょっと変わったことをやってもいいんじゃないか…?」という気持ちが出てきてしまって。顔もモザイクで隠してくれるというし、軽い気持ちで現場に行くことになったんです。

――なかなか軽い気持ちで行かなくないですか(笑)。

蛙野 いや、そうなんですけどね。誘われた時は、勤めていた会社が倒産して、妻とも離婚した後でしたし、誘ってくれた友人に「もう1回結婚も経験したし、いまは彼女もいないし、いいじゃん。失うものないやん!」みたいな風に煽られたのもありますね。そう言われると「うーん…そうねぇ」くらいの感じでした。

――最初の撮影はどんな感じだったんですか?

蛙野 「汁男優」と聞いていたので、「ブリーフを穿いた男の人がたくさんいるイメージ」しかなかったんですよね。だから、「撮影には白いブリーフは持っていくのかな? それとも向こうで買うのかな?」とか思いながら、結局、普通のパンツで行ったんです(笑)。特にその辺の説明もなくて、普通に喫茶店で待ち合わせて、そこから現場に行ったので現実感もないし、「これから何が起こるんだろう…」みたいな気分でした。

AVの撮影は「普通」に始まった

――実際に行ってみると…?

蛙野 いきなり女優さんと1対1での撮影だったんですよね。着いたら男優さんがいっぱいいて、談笑しながら「緊張するよね~」みたいな感じだと思っていたんですけど、全然違って。「じゃあここで待っていて」と言われて、お弁当をもらったんですけど、一口も食べられなかったです。いきなり特殊な空間に放り込まれた感じで、あれよあれよという間に人に囲まれて…。「え、AVの撮影ってこんな普通に撮影が始まるの?」みたいになりました。

――いきなり責任重大じゃないですか。

蛙野 そうなんです。実は初めての撮影って最後までイケる人が少ないんです。男ですし、綺麗な人が刺激を与えれば勃つまでは行くんですけど、最後までイクとなると精神的な要素がかなり大きくなる。初めてそんな特殊な状況に飛び込んだ人には難しいんです。ところが、僕はなんかうまくできてしまった(笑)。

 それでついテンションが上がってしまって、2回、3回と続ける話がそこでまとまってしまったんです。それでどんどん深みから抜け出せなくなっていきました。

――…めちゃくちゃ才能があったと。

蛙野 いやいや! 僕の場合、緊張はしましたけど、撮影が始まると体勢の関係で目の前にずっとカメラマンのおじさんのお尻がドアップであったんです(笑)。それで視界が無くなったのが良かったんだと思います。あれがひらけた場所で、周りが全部見えていたら、もしかしたらダメだったかもしれないですね。

 あと、そもそも撮影現場って基本的に怖い人が少ない。バーッと指示がくることもあるんですけど、怒鳴ったり怒ったりして委縮させちゃうと、勃たなくなっちゃうんで基本、みんな優しいんです。全部撮影が終わった後の反省会は怖かったりするんですけどね。だから、そういう雰囲気もあって続けられた感じです。

カメラにきれいに映ってかつエロく、しかも面白い「おっぱいの揉み方」とは?

――男優さんにも「演技指導」みたいなものがあるんですか?

蛙野 最初の撮影ではほとんどなかったですね。「もしイケなかったらイケないで良いです」というくらいです。「疑似精液とかもありますし、ダメならダメで」と。「あれをやれ」とか「これはダメだ」と言われるようになるのは、やっぱり経験を積んで、実際に女優さんと絡みをするようになってからです。

 印象に残っているのは、おっぱいの揉み方ですね。普通に揉みたいじゃないですか。でも、それだとカメラに良いところが映らないし、見ていて面白くないんです。カメラにきれいに映ってかつエロく、しかも面白くみたいな。ずっと揉んでいるだけって5分も見ていれば飽きるじゃないですか。でも、それで尺を10分持たせないといけない。だから、震わせたりとか、離したりとかいろんなことをやるんですけど、そんなこと普通したことないですよね(笑)。だからバリエーションがすぐ尽きるんです。結局、同じことを何回も繰り返しちゃうんで、「それじゃつまらん!」とかよく言われました。他のAVを見て研究するしかないんですけど…。

――どのくらいの時間、どんな動きをするかとかは事前にいわれるんですか?

蛙野 そうですね。台本に「このシーンは15分なので、25分撮ります」とかかいてあります。だから、撮影前には「何とか持たせないとなぁ」とか考えますよ。時計も置いてあるので、それを見ながら「あ、5分経ったな」とか思ったら動きを変えたりして。

――めちゃくちゃ冷静になっちゃいそうな気もしますが…。

蛙野 まぁでも、普段のセックスでも男ってどこかしら冷静な部分があるじゃないですか。テレビがついていたら、テレビの音が聞こえたりとか。その延長上だと思います。いやらしい気持ちがあっても、半分は冷静で。

――プロっぽい発言です。

「しみけんさんの動きは目の前でみたらF1みたい」

蛙野 いやいや。でも、やっぱり男優もトップ級は全然違いますよ。本当にプロというか、もう動きが全然違う。当たり前ですけど、普通AV以外で人のセックスを目の前で見ることってないじゃないですか。だから、自分が実際どんな動きをしているかってあまり見ることがないし、考えることもないですよね。そうすると自分ではすごく動いているつもりでも、実は傍目で見ると全然、動きが遅いんです。もし実際に自分の動きを見たら「AVで見ている動きと全然、違う!」と感じると思います。

 AVぐらい動こうと思ったら、本当に全身使って全力で動くつもりでやらないと、全然違う感じになっちゃうんです。だからしみけんさんの動きなんて、目の前でみたらF1みたいなもんですよね(笑)。F1ってテレビで見るのと、実際に見に行ったのでは臨場感が全く違うじゃないですか。現地で見ると目の前をブオオーンってすごい速さで車が駆け抜けていく――しみけんさんは本当にあの感じです。迫力がもう全然、違う。ああいう動きをしようと思ったら、「そりゃああいう体になるくらいのトレーニングしないとダメだよなぁ…」という気がします。

――レジェンドはすごいんですね…。稼ぎもすごそうです。

蛙野 ギャラは汁男優だとだいたい1回で5000円から1万2000円くらいですかね。絡みをやりだすと1万円から3万円くらい。有名男優になれば5万円とかの人もいます。値幅はその日にやる撮影の内容次第ですね。「絡みが今日は3回あるから2万円です」とか、「1日拘束されるから3万円で」とかそんな感じで。僕とかだと、結構その場の役どころによって金額は変わっていましたね。

男優を続けるモチベーションは…

――なるほど。蛙野さんはもともとアダルト業界への興味はあったんですか?

蛙野 もともとAVは大好きでしたけど、普通のエロい男子という程度で、風俗も数えるくらいしか行ったことなかったです。本当に前述した些細なきっかけがなければ絶対、やっていないと思います(笑)。だから「なんで男優続けているの?」というのはよく言われますね。

――…なんでですか?

蛙野 う~ん、そうですね…結構何年も出演していてもいつも思うのは「あ、いま自分がAVに出ている」っていう高揚感はありますよね。カメラがあって、スタッフがいて、そういう「『AVという娯楽』の中の世界にいるんだ」みたいな感じはあります。自分のすごく好きだったものの中にいると感じられるのは、いつも楽しいですね。

――ファンだった女優さんが来るとテンション上がるとか?

蛙野 それがファンだった女優さんってあまり会えてないんですよ。やっぱり女優さんも何千人といるので、そこで会えるのは本当に運です。僕が仕事をはじめる前に一番好きだったのがRioさんだったんですけど、仕事を始めてから1年くらいで引退しちゃったんですよね。その時の落胆ぶりはひどかったですね。「もう、やる気なくなった…」って。でも、憧れの女優さんに会えるというのも、確かにモチベーションのひとつにはありましたね。

AV業界は意外と普通で「面白い場所」だと知ってほしい

――ちなみにAV男優の仕事を漫画の形で伝えようと思ったのはどういう経緯からだったんですか?

蛙野 最初は「仕事で今日こんなことがあって~」というのを、友達向けにミクシィの中で描いていたんですよ。そのうち友達のひとりが、当時、峰なゆかさんの『アラサーちゃん』が結構売れていたので、あんな感じで「『男優ちゃん』があったら俺、買うわ」と言ってくれて。「じゃあ俺、描くわ!」みたいな軽いやり取りから、ツイッターに描いたのを上げたんです。そしたらそれがバズって、何となく毎日描かないといけない感じになって。ストックもないので、本当に毎日、描いては載せ、描いては載せとやっていたので、それをまとめて同人誌にして、夏のコミックマーケットに出したんです。そしたらそれを編集さんが見つけてくれて、「連載で」という話になりました。

――なるほど。漫画では読者にどんなことを伝えたいですか。

蛙野 AV業界って意外と普通というか、「面白い場所」だと知ってほしいです。「怖いところじゃないよ」と。スタッフには普通の映像作品と同じようにアーティスト気質の人もいれば、サラリーマンっぽい人もいる。

 業界的にはアウトローな人がアウトローなことをしていると思われがちなんですけど、実態は真面目な人たちが真面目に作っていると。男優も基本的には個人事業主で、自分で仕事を取らないといけないので、結局生き残るのは真面目な人なんですよね。

――ところで、プライベートでも仕事で学んだ技術は活きるんですか。

蛙野 ほぼ活きないですね(笑)。AVだとだいたい3つか4つは体位を入れないといけないんですけど、普通はそんなこと絶対しないので!

撮影=杉山ヒデキ/文藝春秋

 

普通のサラリーマンがひょんなことからAV男優に! 初めて向かった撮影で起こった驚きの出来事とは…? へ続く

(蛙野 エレファンテ)

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