1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

「N先生に連れられ戻ってきた時、涙でビショビショに…」横浜市教諭が小4女児に行った、陰湿イジメの全貌

文春オンライン / 2021年7月8日 17時0分

写真

※写真はイメージ ©iStock.com

 横浜市のM小学校4年生の担任だった40代の男性N教諭が、特定の児童に対して「配布物を渡さない」「行事で役割を与えない」「給食を少なく盛る」など執拗ないじめを繰り返し、不登校に追い込んでいた。

 いじめを受けたその山本美咲さん(仮名=当時9歳)がこれらのことを両親に打ち明けはじめたのは、4年生になって約10カ月過ぎた今年2月のこと。両親はすぐに学校に話したが、学校の対応は二転三転。

 他の児童へのいじめの疑惑も浮上しているが、N教諭に「異動」などの処分は下されていない。美咲さんの両親に話を聞いた。(前後編の前編/ 後編 を読む)

朝起こそうとすると抵抗し、登校を渋るように

 昨年4月、横浜市のM小学校4年生に進級した山本美咲さん(仮名=当時9歳)は、1年生から3年生までほぼ無欠席で、通知表では「はつらつ」と書かれ、学級活動などでの積極性や発言力を評価する所見が書かれていた。しかしコロナ禍による休校の後、5月に分散登校をはじめてしばらくすると様子が変わりはじめた。美咲さんの父親が振り返る。

「それまでの明るさが次第に消え、わざと音を立ててドアを開け閉めするなど、家の中では反抗的になりました」

 6月に入ると、担任であるN教諭について「厳しい」「怖い」「宿題を出さないとやばい」と言い出した。

 次第に、美咲さんは朝起こそうとすると体に力を入れて抵抗し、登校を渋るようになった。登校しても保健室へ行くようになり、学校から母親に「体調が悪いので迎えに来て下さい」と連絡が来るようになる。

「分散登校もあり、情緒不安定になっているとは思っていました。後に、N教諭はわざと美咲に配布物を渡していなかったことが分かるのですが、この時は知らず、美咲が『プリント(配布物)が無い』と言っていた時は、『失くしたんじゃないのか?』と怒っていたぐらいで……。

『先生が怖い』と言い出した時は、厳しい先生もいると思っていたのです。N先生は、上半身が少しがっちりしていて、目つきが少し鋭いくらいで、特に印象の残らない、普通の人。まさか、その先生にいじめられているなんて想像したこともありませんでした」(父親)

 美咲さんが耐えられなくなり、両親に打ち明けたのは進級して10カ月後、年が明けた2月のことだった。

「帰宅して、『ママ、助けて。もう学校に行けない』と言い出し、N先生にいじめられていることを初めて打ち明けたのです。少しずつ話した内容は信じられないものばかりでした」(母親)

“配布物飛ばし”、給食のおかずは二口程度しか盛られない……

 1つは、「M小通信」「学年だより」「時間割」などの配布物を、N教諭が美咲さんに渡さないことだった。美咲さんの席は最前列だったが、N教諭は配布物を配る際に、美咲さんを飛ばして2列目の児童に渡し、3列目、4列目の児童……と配っていた。

 こうした配布物飛ばしは繰り返されていたが、美咲さんはN教諭への恐怖心から「(配布物を)ください」と声を挙げることができなかったという。

 他にも、授業で使う備品を他の児童には貸し出すが美咲さんには貸し出さないことや、パソコンを使う授業で常に「山本(美咲)さんの分はありません」と言われ、パソコンが割り当てられなかったこと、そして給食を少なく盛られていたことなどが、美咲さんの話や別の児童の親づてに聞いた話で判明したという。

「給食は主に当番の子が盛っていたようですが、N教諭が『山本(美咲)さんは少なくして』と言うため、少量しかおかずが盛られなかったようです。美咲に『どのくらい?』と聞くと、本当にわずか一口、二口程度の量を手で示しました」(父親)

 いじめは、行事の準備の際にも起きた。年度末に行われる「6年生を送る会」の準備では、6年生に花束を作る、模造紙に送る言葉を書いて飾りつけをするなどの作業があり、N教諭は希望者を教室の前に集めた。美咲さんも手を挙げて作業に参加することを希望したが、美咲さんだけ割り当てられなかった。

 この時、美咲さんは勇気を出してその理由を聞こうとしたが、N教諭は「コピーを取って来ます」と言ってさっさと教室を出て行ったという。6年生を送る会が行われた3月17日、美咲さんは泣き出して学校へ行くことができなかった。

「探しなさい」一人だけテストを受けさせてもらえず……

 決定打となったのは3月4日の出来事だ。

 美咲さんはこの頃不登校気味になっており、この日は給食の時間が終わった後に登校した。5時限目は理科と社会のテストの予定だったが、N教諭は、美咲さんが漢字テストの直しを提出していないとして「探しなさい」と指示した。

 クラスでは漢字テストを行った翌日、書けなかった漢字を書き入れた直しを回収カゴに入れることになっていた。

 回収カゴになければ机の中、後ろのロッカーの中ぐらいしかない。美咲さんは回収カゴに入れたと思っていたが、N教諭に反論することができず、他の児童がテストを受けている間、ウロウロして探すふりを続けたという。その間、N教諭が美咲さんに声をかけることはなかった。5時限目が終わると、美咲さんに「いつまで探しているんですか!」と言い放ったという。

「その日、美咲は『(漢字テストの)直しを出さないと怒られる』と言って、遅刻したけれど学校に行ったのです。直しは出したと言っています。仮に提出していなかったとしても、1人だけテストを受けさせないほどのことなのでしょうか」(父親)

 この日以降、美咲さんはN教諭への恐怖心から、登校しても教室に入ることができなくなった。

 3月8日、両親が美咲さんを心療内科に連れて行ったところ、「傷病名:適応障害。抑うつ気分、意欲低下等のうつ症状が出現しているため、当面のところ保健室登校もしくは自宅療養が望ましい」と診断された。話を聞いた医師は「N教諭とはもう関わりを持たせない方が良い」と助言した。

 N教諭の執拗ないじめについてはその後両親の追及により、6月に緊急保護者説明会が開かれることになる。ここで初めて事態を知った他の親が子どもに聞き、新たな話が美咲さんの両親に次々と伝わって来た。

N教諭に連れられ戻ってきた美咲さんは、涙でびしょびしょに

 たとえば昨年夏ごろ、N教諭が美咲さんを廊下に連れ出し、外から教室の窓をすべて閉め、ドアにカギを掛けて教室にいる児童が外に出られないようにしたという。このことを親に話した児童は恐怖でお腹が痛くなり、トイレに行けずに困った児童も出た。

 N教諭が美咲さんをどこに連れて行ったのか分からなかった。しばらくしてN教諭に連れられて戻って来た美咲さんは、涙で服がびしょびしょに濡れていた。この児童は「どのくらい泣いたんだろう」「どのくらい怒られたんだろう」と思ったという。N教諭は何も言わず、「授業をするぞ」と言った。この児童は親に「N先生が怖くて話せなかった」と打ち明けた。

 美咲さんには、授業で使うプリントも長期間渡されていなかった可能性が出ている。

「学校に行くのは死にに行くようなもの」

 6月末になり、美咲さんは「これが証拠」と言って両親にノートを見せた。昨年11月24日付けのページに授業で使ったと見られるプリントが貼られていた。以降のページにはプリントが貼られていなかった。

「授業で必要なものも渡されず、実質、授業を受けられなかったことが数多くあったようです。美咲は『どうせボケッとしているだけ』と漏らしたことがありましたが、授業を受けられなかったことを指していたのです」(父親)

 美咲さんは「学校に行くのは死にに行くようなもの」とも言っていたという。

 そして最近になり、学校のトイレでよく泣いていたこと、机の下で自分の腕をつねり、我慢していたことを打ち明けた。

 3月頃、美咲さんの母親は同じクラスの女児に、N先生のクラスでは「行動が遅いとプリントをもらえない」と聞いていた。しかし、小学校3年生まで美咲さんの行動が遅いと指摘されたことはなかった。

 6月に開かれた緊急保護者説明会では、美咲さんに対してだけでなく、他の児童に対してもいじめがあったことが明らかになった。後編では、学校側の対応の経緯と、緊急保護者説明会の様子を詳述する。

※美咲さんの両親の要望により、記事中の一部記述と画像を変更しました(2021/7/10 14:23)。

【続きを読む】  《横浜市教諭が小4女児に壮絶イジメ》「教師はイジメに問えない」「異動は人事上不可能」…校長らが両親に告げた言葉

《横浜市教諭が小4女児に陰湿イジメ》「教師はイジメに問えない」「異動は人事上不可能」…校長らが両親に告げた言葉 へ続く

(坂田 拓也)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング