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「家の中にあるはずなのに、見つからない…」“片づけられない人”が知らない「たった一つの原則」

文春オンライン / 2021年7月13日 11時0分

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©️iStock.com

「昨日の夜まで覚えてたのに…」うっかり忘れものを防ぐ、プロが教える3つの“ちょっとしたコツ” から続く

 部屋は散らかり放題、探しているモノは見つからない――。発達障害を持つ人も持たない人も、頭を悩ます「片づけ」。

『 ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に暮らすための本 』(翔泳社)より、発達障害の当事者が教える、片づけられるようになる「ちょっとしたコツ」を抜粋します。(全2回の1回目/ 後編 を読む)

事例―「物をどこに置いたかがわからない」

家の中にあるのはわかっているんだけど……

 友人から「とてもいい海外旅行のプランを見付けたから一緒に行かないか?」と誘われたので、早速日程を合わせて申し込むことになった。「じゃあ、申込書を準備するね。パスポートの番号と有効期限が必要だから調べておいて」と言われたが、そのときになって「あれ? パスポート、どこにしまったっけ?」と困惑してしまった。

 引き出しの中を開けてみたが、書類がグチャグチャに入っていてどこに何があるかさっぱりわからない。「もしかしたら本棚にあるファイルの中かも」と思って出そうとしたら、本と書類が雪崩を打って床に崩れ落ちてしまった。

 以前にも、海外旅行に行く際にパスポートが見付からず、結局旅行に使ったかばんの底からクシャクシャになって出てきたことがあったので、それに懲りて「大事なものだから」とかばんから出して別のところへしまったのだが、そのことがかえって裏目に出てしまった。

 子どもの頃から片付けは大の苦手で、よく失くし物をしていたが、今回ばかりはさすがにイライラして、「ああ、もう!」と思わず自分に向かって怒鳴りたくなってしまった。

原因―どうして物をどこに置いたかがわからなくなってしまうのか?

置き場所を決めていない、決めてもしまう習慣がない

 こんなことを書くと「当たり前じゃないか」と言われそうだが、物は、基本的には自分からは動かない。裏を返せば、物は最後に使った人が使い終えた場所に置いてあるはずだ。しかし、日常生活を送る中で多くの情報に接していると、使ったものの場所をその都度覚えておくのは難しい。だからこそ、「置き場所を決める」「使い終わったら決めた場所へ戻す」 というルールが必要になる。

 大半の人は、そのことを感覚的に理解して自然に物を片付ける習慣を身に付けるが、発達障害の傾向が強い人は、この原則を体得するのがとても困難だ。それは、空間や物への捉え方が感覚的に大半の人と異なることも理由にある。

 ADHD傾向が強い人は、興味・関心、特に新しい刺激に惹かれやすいことに加えて、一度に覚えていられる記憶の容量がとても少ない。すると、興味深い事柄が目の前に現れると、今まで手に持っていたものや使っていたものの存在が頭の中から消えてしまい、無意識のうちに意図しない場所に物を置いてしまう。あるいは気を付けて決められた場所にしまったとしても、その場所を覚えていられず、どこへしまったのか忘れてしまう。

 ASD傾向が強い人で片付けが苦手な場合は、そもそも片付けの意味や必要性を認識していない。このタイプは、多少散らかっていても、物がどこにあるか覚えていられる。そのため、たとえ散らかっていても本人はそれが困ったことだと感じることができない、あるいは本人が散らかっている状況に耐えきれなくなるまで散らかしてしまう。

 また、片付けができたとしても、それは「どこに何があるかを覚える」「決めた場所へ戻す」という1対1パターン行動なので、引越しなどでしまう場所が変わってしまうと、混乱して片付けられなくなる場合もある。つまり、取っている行動は片付けでも、片付けの意味や理由を抽出して他の場面に応用できないのだ。

 片付けを習慣付けるには、日常生活で行う動作と結び付いた場所に物をどう配置するかにかかっている。それには自分が普段どんな行動をしているのか、その行動はどこでしているのか、そして限られた空間に何を優先させて物を置くのか、といった観点から物を配置することが必要だ。つまり、物、空間、動作を関係付けるということだ。

解決法1―使い終わる場所の近くにしまう場所を作る

 ADHD傾向が強い人は、使うときに多少離れた場所に置いてあっても、そのものに必要性があるのでわざわざ遠くから物を取って来るが、使い終わった途端にそのものは頭の中から消え去ってしまうことが多い。

 この特性にかなうには、使い終わる場所の近くに収納場所を作るのが適切だといえる。逆に考えれば、散らかるのは物の住所が適切ではないということなのだ。

 実際、散らかっている人の部屋は、座っている場所から手の届く範囲に物が半円状に散らかっていることがよくある。だとしたら、そこがその人にとっての「適切な収納場所」と考え、そこにごみ箱と収納棚もしくは箱などを置いて、そこに片付けるという習慣から始めてみよう。

 実は、ソファーやこたつといったくつろいで座るスペースの近くに物は集まりやすい。人は、くつろぐことでそれまで張り詰めていた意識を緩める。すると、それまでやっていたことから休むほうへ意識が移ってしまい、無意識のうちにその場所に物を置いてしまう。

 結果、それが繰り返されることで周辺に物が散乱してしまう。また、座って何か作業をしたあとでは、片付けるためにわざわざ立ち上がるという動作はとても億劫に感じる。

 そこで、くつろぐ場所の近くに収納スペースを作る、もしくは一時置きの箱を置いてそこに片付け、席を外すときに持っていく、あるいは掃除や洗濯をする際に中身を点検するというルールを設定していけば、物は定位置に収まってくる。

くつろぐスペースに一時置きの箱を設置する

席を外すときに元の場所に持っていく

 

ルール1 一時置きの箱は1つの場所に1つだけ

ルール2 あくまでも「一時的」な収納場所と考え、定期的に箱の中を空にする

 手を放すことすら意識していない場合でも、「ここに入れる」と片付ける場所が決まることで、少しずつ箱へ入れる習慣が付いていく。すると、「どこへしまったかな?」と思ったらその箱を見ればいいだけになる。

 ここで注意したいのが、一時置きの箱は必ずその場所に1つ(もしくは一人1つ)だけにするのを厳守することだ。

 よく片付けの本などにも「一時置きのかごを作りましょう」と書いてあるが、片付けが苦手な人はこれを言葉通り受け取って次々と一時置きのかごを増やしてしまい、結局どこに何があるのかわからなくなってしまう。また、一時置きのかごや箱はあくまでも「一時的」な場所なので、定期的に中を空にしないと意味がなくなる。

 特にASD傾向が強い人にとっては箱の「ルール(意味)」を理解していないと、何でもしまっておける場所というのはかえって混乱を招くことになる。導入する場合は、この2つのルールを徹底させることが重要だ。

【続きを読む】 「どこにしまったのか分からない」…“片づけられない人”が今すぐ部屋からなくすべきモノ に続く

「どこにしまったのか分からない」…“片づけられない人”が今すぐ部屋からなくすべきモノ へ続く

(村上 由美)

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