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年間270泊する私がグッときた、ホテルの「ちょっとした気遣い」10選

文春オンライン / 2021年8月1日 11時0分

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福山ニューキャッスルホテル ハイフロアからは福山城と新幹線が見える

 ホテルにとって、快適に滞在してもらうことは最も重要なテーマだろう。広い客室や上質な家具、素敵なデザインや大胆なアートにももちろん感動する。だが、今回注目するのは“ちょっとした気遣い”だ。ちょっとした気遣いや何気ないゲスト目線で、思いがけずスムーズに過ごすことができることもある。ホテルの奥深い魅力はそんなところにもあるのかもしれない。

 コロナ禍以前はホテルに年間270泊していた筆者は、いつもホテルそのものをレポートしているが、今回はホテルの“ちょっとしたサービスや設え”に注目。感心したり思わず唸った体験を紹介したい。

◆ ◆ ◆

福山ニューキャッスルホテル(広島県福山市)“ブッフェボードの穴”

 広島県福山市随一のシティホテルである「福山ニューキャッスルホテル」は、JR福山駅から徒歩1分という最高立地でもあり、ハイフロアからの福山城&新幹線ビューはなかなかの光景。ロビーの生花に迎えられ、スタッフのホスピタリティマインドにも癒やされる。

 グルメなホテルでもあり和洋中ともホテルクオリティの料理を堪能出来るが、そんなホテルのブッフェ朝食で感心したのが汁物のセッティングだ。ブッフェボードで味噌汁などの入った大きなスープジャーを見かけるが、時に高すぎてお椀に注ぎにくいことも。こちらではボードに穴が空いており低いポジションで難なく注げた。

ふふ熱海 別邸「木の間の月」(静岡県熱海市)“ソファのわずかな傾斜”

 熱海、奈良、京都、日光といった人気観光地に展開する「ふふ」といえば、日本のスモールラグジュアリーシーンを牽引するブランドであるが、1号店である「ふふ熱海」に別邸「木の間の月」が誕生した。アメニティ類や備品のセレクトは言わずもがな。スイッチ類のポジションやタッチの感触、計算し尽くされた照明にもラグジュアリーを感じる。

 中でも感心したのが大きなソファ座面片側の微妙な傾斜。枕を置いたほどの高さではない。少しだけ傾斜しているのだ。傾斜の理由をホテルの人に聞いてみると“ソファに寝転がって中庭を望むための最適な角度”という。そんなことにまで気遣う宿に、人生の大切な何かを教えてもらったような気分になった。

クインテッサホテル福岡天神Comic&Books(福岡市中央区)“無料夕食&楕円形テーブル”

 福岡・天神の中心部にあり、ホテル名に「Comic&Books」とあるとおり7000冊のコミックが圧巻の宿泊特化型ホテル。朝食の提供はあるが、夕食は自身で調達するか外食というのがこうした宿泊特化タイプホテルの常識。一方、こちらで驚いたのは17時~21時に催される夜のブッフェがなんと宿泊者無料だったこと(期間限定。現在は終了)。ホテルでは控えめに軽食と表しているが、主食に焼き物、揚げ物、各種おかず、サラダからデザート、ドリンクバーまで揃った立派な内容。

 客室へのテイクアウト可というのも嬉しい配慮。宿泊した客室にはデスクはなかったが楕円形のテーブルが備えられており、ノートパソコンにマウスを置いてもストレスなく作業できたが、夕食を持ち込んだ際にも飲み物を横に置けたのは意外な発見だった。

ベッセルホテルカンパーナ名古屋(名古屋市中村区)“壁のHDMI入力&折りたたみ台”

 名古屋駅周辺ホテルの中では、平面駐車場の台数が充実。さらにサウナや冷たい水風呂の大浴場もある。ホテル旅をしていると客室で仕事をすることは多い。資料と格闘して書くわけだが、時には客室のテレビに再生機器をつないで資料映像を映すこともある。

 ただひとつ問題が。再生機器をテレビのHDMIと接続する際、最近よく見かける壁付けテレビの場合、可動式でないとテレビの横や背面にある端子にケーブルを挿入できないのだ。こちらは固定されており、う~む残念……と下を見るとなんと壁に入力端子が。しかも機器を設置できる折りたたみ台まで設えてあった。

ベッセルイン栄駅前(名古屋市中区)“冷蔵庫の取っ手”

 同じく名古屋の他のベッセルホテルでも「おっ、いいなぁ~」という光景を見た。前記の「ベッセルホテルカンパーナ名古屋」はアッパーなブランドであるが、少しリーズナブルな「ベッセルイン栄駅前」でのこと。カンパーナに比べると客室面積も限られているので、動線というほどではないが、体の向きや体勢にも気を遣う。

 広くないビジネスホテルではベッドかデスクチェアにいることになるのが常であるが、冷蔵庫のポジションも気になるところ。よく見かけるのがデスクの右下か左下というケース。腰をかがめて開閉することになるが、デスクのボードギリギリのサイズで冷蔵庫が収納されていることもよくあり、冷蔵庫の取っ手を掴みにくいこともしばしば。しかしこちらはなんと、扉の表面に取っ手がついていた。これを考えた担当者は、きっと同じ不便さを感じたことで思いついたのだろう。

御宿 野乃 京都七条(京都市下京区)“冷蔵庫の矢印マーク”

 ドーミーインといえば大浴場で知られる宿泊特化タイプのホテルであるが、サブブランドにして和をコンセプトにした「御宿 野乃の京都七条」へ。大浴場があるため、客室はシャワーブースのみだが、リファブランドのシャワーヘッドが備えられていた(ドライヤーもリファ)。手を抜かないところに好感が持てる。

 また、ホテルの客室冷蔵庫のジレンマのひとつが、扉を左右どちらから開ければよいのか一瞬わからないこと。ホテルの冷蔵庫は、小型かつボードの下部などに設置されていることもあり、どこを持って開けたら良いのかわかりにくい。しかしこちらでは一目でわかる矢印マークが付けられていた。コストの掛からないちょっとした工夫でも、ゲストにスムーズな滞在の時間を提供することができるという好例だ。

ラビスタ富良野ヒルズ(北海道富良野市)“座れるシャワーブース”

「ラビスタ富良野ヒルズ」で感心したのはシャワーブースの設え。富良野は郊外に素敵なホテルはあるものの、駅周辺にはあまりなかったので、大浴場やサウナも備えるこのホテルの進出は嬉しい限り。ドーミーインと同じ運営会社ということで大浴場はさすがの安定感で、露天風呂、サウナ、冷水浴など充実の設備。

 というわけで客室にお風呂はなくシャワーブースが設置されている。こちらでは着座タイプを採用。座るだけでなく何かを置く場所としても助かる。筆者の場合は、シャワーブースに眼鏡を置くスペースがなく困ることは多いので、この気遣いは嬉しい。

ホテル グランビュー高崎(群馬県高崎市)“全室の無料カップラーメン”

「ホテル グランビュー高崎」は、柳川町の柳通り沿いに立地。ロビーと客室部分のリニューアルが実現したことでハイセンスなホテルへと生まれ変わった。客室はシングルルームからツイン、スイートまで多彩。いずれの客室もハイセンスで洗練されており、ビジネスからファミリーの利用までフレキシブルに対応できるホテルと言える。

 そんなホテルでアッと驚いたのがテーブルやデスクに置かれたカップラーメン。なんと全室対象という無料サービスの一品。シティホテルなどで有料サービスの品としては見かけたことはあるが、無料とは珍しい。飲み屋が集うエリアなので夜食にも、小腹が空いたときにも、あったら嬉しい気遣いだ。

レムプラス神戸三宮(神戸市中央区)“ちょうどよいシャンプーボトル”

「レムプラス神戸三宮」は2021年4月26日、阪急電鉄が建て替えを進めている神戸三宮阪急ビル内に開業。遠くから望むその佇まいにも驚くが、近くで見ると旧ビルの意匠を受け継いだ復元度がすごい。阪急神戸三宮駅の眺めを一変させる圧倒的な存在感だが、ホテルは18~28 階の209 室で1~2階はホテルエントランス、17階がフロント・ロビー。2 階で三宮駅東改札口に直結しているあたりがさすが阪急だ。

 レムブランドといえば、眠りをデザインするというコンセプトで、客室には快眠へ誘う仕掛けがたくさん。マッサージチェアや快眠必至のベッドはマストアイテムとして、感激したのがシャワーブースに置かれたシャンプー・コンディショナー・ボディソープ。香りや質も納得だったが、何よりそのボトルサイズに感心した。時に重くて出にくいボトルを見かけるが、こちら片手で持ってプッシュできる。省スペースにも資するサイズだ。

ゼンティス大阪(大阪市北区)“靴磨き”

「ゼンティス大阪」は北新地の繁華街に位置しつつ、街の喧噪とは別世界と感じられるホテル。客室面積の数字以上に広く感じるのは、インテリアが落ち着いたトーンだからか。ランドリーやアイロンが置かれたパブリックスペースもホテルのイメージと同様、上質でオシャレな雰囲気を醸し出している。

 そんなスペースの一角になんと靴磨きのコーナーが。シューシャインといえば、ラグジュアリーホテルなどでも見かけるが、預けて翌朝仕上がりといったシステムだ。こちらはなんとその場でやってもらえる靴磨きコーナーである(時間外は預けることも可能)。アメリカ最大の靴磨き集団「THE SHOESHINE GUILD」で修業し、のれん分けされ独立したという関西を代表する靴磨き職人が手がける(7時30分~10時30分/一足2000円)。

◆ ◆ ◆

 以上、最近感心した「ちょっとした気遣い」を紹介したが、まだまだ紹介しきれないものも多い。ゲストのちょっとした声を実現したり、現場スタッフの何気ない気づきで採用されたものなど、ホテルには目立たないゲスト目線に溢れている。こうした部分にもフォーカスしつつまた紹介したい。

 尚、紹介したサービスや設えなどは取材時のもので、現在提供されていない場合もあるのでご注意を。

(瀧澤 信秋)

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