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「モチベーションは下がる一方です」 "ワクチン会場を巡るドタバタ”、“財政を悪化させた隠れ浪費”…小池百合子の「七つの大罪」

文春オンライン / 2021年7月10日 11時0分

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©iStock.com

 最近、小池知事の周辺で業務に当たる管理職から私あてにメールが届いた。そこにはこんな悲痛な言葉が綴られていた。

「職員がもう死にそうです」

 都庁は今、リバウンドが顕著になってきたコロナ対応に加え、オリンピックを目前に控えて新たな大量動員の指令が発せられるなど、管理職のみならず一般職員までが戦々恐々として身構えている。

 もちろん、こうした業務量の急激な増大や本務とは別の業務に当たる困難さは、都民の命を守るため、あるいは五輪開催都市としての責任を全うするために避けて通ることができない。だから、それだけを理由にして件の管理職が「死にそうです」とSOSを発信した訳ではない。

小池都政5年間が都庁を萎縮させた

 もうひとつ、別の管理職から送られてきたLINEも紹介しよう。

「モチベーションは下がる一方です。言われたことだけを最低限、しかも表面を整えて適当にやっておけばいいや、そんな空気が都庁内に蔓延しています」

 この空気感を作り出した張本人こそ、誰あろう小池百合子東京都知事その人である。外から見ただけでは、都庁の萎縮ぶりはなかなか理解できない。小池知事は意外と頑張っていると評価する人も少なくない。支持率も60%前後と高水準だ。しかし、小池氏が都知事に就任して以降、都庁は確実に萎縮し機能低下に陥り、職員も確実に疲弊しているのだ。

 私はその理由を最新作『 ハダカの東京都庁 』(文藝春秋)の巻末に「小池知事7つの大罪」としてまとめた。曰く、恐怖政治による人心掌握、繰り返される情報操作、都財政を悪化させた隠れ浪費などなど。この5年間、都庁職員は小池知事の自分勝手な振る舞いに振り回されてきたのだ。

 併せて、小池知事の本質は、報道ニュースのメインキャスター時代から変わっていないとも指摘させていただいた。換言すれば、当意即妙の受け答えでその場を仕切ることは得意だが中身のほどは…、ということである。

のし上がることが自己目的化

 さて、問題はここからだ。メディア映えだけが小池知事の関心事なのは周知の事実だが、ではなぜメディアに映る自分の姿を気にするかといえば、自己のイメージを操ることで政治家としてのステイタスを最大化しようとしているからに他ならない。

 小池知事には、政治を通じてこの社会を良くしたいという具体的な目標がまったくない(行政の世界で、満員電車ゼロを具体的な目標とは言わない)。あるのは、自身の政治家としての価値の飽くなき肥大化だけである。つまり、のし上がることが自己目的化してしまっているのだ。

 のし上がるためなら使えるモノは何でも利用する、これが小池知事の流儀である。過去5年間を振り返れば、築地市場しかり、使い捨てられた女性管理職しかり、都民ファーストの会しかり。大小様々な屍が彼女の後ろに積み上げられている。そして都庁そのものもまた、小池知事に食い尽くされつつあるのである。

すべては「百合子のために」

 都庁職員は、曲がりなりにも「都民のために」働いている。それがいつのまにか「百合子のために」にすり替えられ、渋々働かされる状況に追い込まれている。だからこそ、職員は死にそうになり、モチベーションはダダ下がりなのである。

 ワクチンの大規模接種会場を巡るドタバタが良い例だ。当初、小池知事は国からの呼びかけにノーと突き返した。もし「都民のため」と考えるなら、都として大規模接種の青写真を準備してしかるべきだ。しかし、小池知事の頭には、国との対立軸を演出して自分を目立たせることしかなかった。

 ところが、他の自治体が次々と手を挙げるに至り、突如として方針転換、唐突にも築地市場跡地を会場とすると発表した。当然、担当部署は何一つ聞かされていない。さらに、7月以降は代々木公園内のライブサイト会場を転用すると言い出す始末。これまた職員は寝耳に水だ。代々木公園の一件は、会場整備のために貴重な樹木が剪定されることへの批判をかわす意味合いが隠されていたのは明白である。

無意味なマスコミ受けに右往左往

「百合子のために」は、これだけでは終わらない。次は、都庁第一本庁舎45階の展望室でワクチン接種を実施すると小池知事が得意げに公表。なぜ展望室? 都職員の誰もが首をかしげた。45階には専用エレベーターで行くしかない。密な空間で気圧の変化も生じる。果たして接種会場に適しているのか。マスコミ受けを狙った場所の設定であることを疑わない職員は一人もいなかった。

 ああ、すべては「百合子のために」。こんな無意味な右往左往に付き合わされる都庁職員はたまったものではない。一体何のために働いているのかわからなくなっても不思議ではないのである。

 私だったらとっくに辞めているだろうが(いや実際は、小池知事に辞めさせられたわけだが……)、それはともかく、現役の職員にとっては生き残りのための処世術が必要だ。小池知事から自分本位で身勝手な指示が降ってきても、全力で対応してはいけない。必要最小限のエネルギーでそこそこ体裁を整えて対応し、あとはじっとしているに限る。そうでなければ、心身共に疲弊し切ってしまうだろう。

つべこべ言わずにさっさとやれ

 ポピュリストの恐ろしいところは、こうした人気取り政策や批判回避政策に際限がないことである。次から次にマスコミ受けする動きを演出し続けなければ、自転車操業よろしく、小池知事自身が転倒してしまうからだ。この悪夢のような政治的な手法により、都庁職員は雨あられの指示に対して応え続けなければならないという無限ループに飲み込まれてしまうのである。

 現在、小池知事直属の都庁官僚たちの多くは、財務局主計部出身者、つまり予算を通じて都政をコントロールする術に長けた人材で固められている。そんな彼らのモットーは「つべこべ言わずにさっさとやれ」である。チームワークによる共同作業とかディスカッションを通じての問題意識の共有とか、そんなものは一切関係ない。有無を言わさぬ強圧的な姿勢だけが、女帝のオーダーに応える唯一の道なのである。

依怙贔屓を横目に口を閉ざす都庁職員

 こうした無神経な振る舞いができる人間だけが重用され出世していくのが、今の都庁だ。大多数の職員は小池知事によるそんな依怙贔屓を横目で見ながら、唯ひたすら口を閉ざしている。だが内心では、都庁のトップに君臨するこの壊し屋が一日も早くいなくなるのを待ち焦がれているのである。

 7月4日の都議選の結果、都議会の勢力分布が激変した。自民33、都ファ31(その後、除名1名で30)、公明23、共産19、立民15。勝者なきドングリの背比べの中、際立ったのは小池人気の根強さである。ご本人も「これは行けるっ」と確信したに違いない。

 小池さんには是非、この抜群の人気と卓越した選挙戦術を、都庁とは別の場所で存分に活かしていただきたいものだ。それが、都庁職員の切なる声に応える最良の方法である。

(澤 章)

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