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性能はほとんど変わらない!? それでも任天堂が新型Switchを発表した“納得の理由”

文春オンライン / 2021年7月9日 6時0分

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画像は任天堂公式サイトより

 2021年7月6日、任天堂は新型のニンテンドースイッチとなる有機ELモデルを発表した。新型モデルについてはかねてから噂になっており、4K解像度対応などよりハイエンド(高性能)なものになるのではと言われていたものの、実際に登場したのは従来のマイナーバージョンアップとなるものであった。

 この発表に落胆している人も少なくない。ニンテンドースイッチをTVに繋いで遊んでいる人にとって有機ELモデルはほとんど恩恵がなく、わざわざ買う必要がないからだ。あくまで有機ELモデルはまだニンテンドースイッチを持っていない人、あるいはもう1台欲しい人の選択肢として登場したといえる。

 よりコアなゲーマーはハイエンドモデルが欲しいわけだが、一方で筆者はそれが発表されなくて安心している側面もある。確かによりよいニンテンドースイッチが欲しいのは事実なのだが、少なくともいまこのタイミングではないのだ。

残念ながら、新型スイッチはCPU・メモリなどは変化していない

 改めて、新型となる有機ELモデルの特徴をまとめよう。このモデルはTVに接続することもでき、携帯ゲーム機としても使える、従来型と同じハイブリッド形式になっている。さらに有機ELディスプレイが採用されており、より明暗差がはっきりとした色鮮やかな映像が楽しめるようになっている。本体の画面サイズは6.2インチから7インチになった。

 このほかにも細かい改善点が多数ある。スタンドがフリーストップ式になって自由な角度で置きやすくなったり、TVに接続する際に使うドックが有線LANに対応、本体保存メモリが32GBから64GBに増加、スピーカーも新しくなっている。

事前の“噂”に比べると地味な新型

 海外メディアThe Vergeによると、有機ELモデルでは新しいCPUが搭載されたり、メモリが増えたりはしていないという。任天堂公式サイトの記述を見ても、TVに接続した状態の解像度は1920×1080ピクセル、携帯モードで1280×720ピクセルと従来と変わらず、バッテリー持続時間もほぼ差がない。つまり、性能はあまり変わらないわけだ。

 発表される前の噂では、「新型は4K解像度に対応するハイエンド機ではないか」と言われていたため、それと比較すると魅力に乏しいのは事実である。6月に開催された世界最大級のゲーム見本市「E3」で新型ニンテンドースイッチに関する情報の発表を行わず、あえて7月に入ってからゲリラ的に公表したのも当然なくらい、地味な新型といえるわけだ。

ハイエンド機が求められてはいるが、手に入るかは別

 そもそもなぜニンテンドースイッチにハイエンド機が求められていたのかというと、やはりこのゲーム機は性能が足りていないからである。現在はいろいろな作品が複数のゲーム機で展開されるのが当たり前なわけだが、ニンテンドースイッチに移植されるとスペックの問題で一部機能が削られたり、解像度が非常に落ちてしまうなんてケースもしばしばある。スペックの関係上、ニンテンドースイッチでは発売されていないが、もし登場すればものすごく売れるであろう作品も存在するわけだ。

 ゆえに、特にコアなユーザーはハイエンド機を望むわけだが、かといって、いまハイエンドモデルが出たとしても喜べるかは微妙なところである。現在は世界的な半導体不足に陥っており、ソニーのPlayStation 5もマイクロソフトのXbox Series X・Sすら日本では未だに買いづらいのが現状だ。さすがに発売から時間が経つとだいぶ落ち着いてくるが、それでも気楽に買える状況とは言い難い。

 もし、いま魅力あふれる新型ニンテンドースイッチが出てしまった場合、想像以上に手に入りづらい状況になってしまうだろう。おまけにただでさえ買いづらい状況なのに、転売するための商品としても押さえられてしまう環境なわけで、欲しい人の手に渡るまでには多大な時間がかかる。

 さらに、ハイエンドなニンテンドースイッチが発売された場合はソフトもそれらに対応しなければならないわけだが、うまくユーザーに行き渡らない環境ではそれを開発するのもリスクを孕む。そのため現状を鑑みると、「新型を出してニンテンドースイッチの勢いをつけつつも、極端に需要の高すぎる製品にはしない」という落とし所が現実的といえる。あるいは、そうせざるを得なかったのかもしれないが。

任天堂は必ずしも上位機種を出すわけではない

 そもそも任天堂のゲーム機は、他のハードに比べると性能は劣るケースが多い。また、新型を出す場合でもスペックアップを重視していないことがありうる。

 たとえばPlayStation 4の場合、発売されたあとに軽量化が行われ、その後また上位版となるPlayStation 4 Proが発売された。Xbox Oneも同様で、小型化と高性能化が行われたあとXbox One Xという(当時の)最上位機種が登場している。

 一方、任天堂の直近の据置機であるWiiとWii Uは上位版が発売されていない(Wiiに関しては、むしろ海外向けにWii Miniという要素を削ったものが販売された)。ニンテンドースイッチが据置機であると考えると、スペックアップしない流れはなんらおかしくないのだ。

 とはいえ、携帯ゲーム機の場合は少し事情が異なる。たとえばニンテンドーDSの場合はスペックが上がったニンテンドーDS iが発売されたり、ニンテンドー3DSの場合ものちのちより高性能なNewニンテンドー3DSが登場している。

 もっとも、携帯ゲーム機でもスペックアップを極端に重視しているわけではない。Newニンテンドー3DSはスペックがあがった結果として専用タイトルがいくつか発売されたものの、『ゼノブレイド』や『Minecraft: New Nintendo 3DS Edition』など数える程度しか出ていないのだから。

 ニンテンドースイッチにスペックアップが求められているのは事実だが、かといってPlayStationやXboxのようにひたすらハイエンドなゲーム機を目指しているわけでもないのも事実といえるだろう。やはり任天堂は独自路線なのである。

そもそも、何もしなくても2022年までニンテンドースイッチは盛り上がる

 ニンテンドースイッチの有機ELモデルは4K対応の噂が流れていただけに失望の声も多いが、半導体が手に入りづらい現状、そもそもの任天堂の方針を考えるとマイナーバージョンアップでもおかしくはない。何より、今後はソフトラインナップが非常に豊富なのである。

 有機ELモデルの発表映像にはたくさんの新作ソフトの様子も収録されている。今後は、35周年を迎える人気シリーズの新作『メトロイド ドレッド』、世界的な人気を誇る『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』続編、日本に対戦シューターというジャンルを広めた『スプラトゥーン3』、ポケモン最新作『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』と、魅力的なゲームが続々と発売される予定だ。

 ゲーム機はそのものも重要だが、やはりソフトがなければ意味がない。これらタイトルを現状のニンテンドースイッチで遊べるのは喜ばしいことだし、すでにゲーム機もソフトラインナップも非常に勢いがあることを考えると、大きく舵を切る必要もないのかもしれない。いま発表されているゲームがそのまま発売されるだけで、ニンテンドースイッチはさらに盛り上がるだろうから。

 ニンテンドースイッチのスペックを向上させた次世代機はいずれ必要になるが、少なくともいまこのタイミングで出す必要はないということなのだろう。今回の発表がいまいちだったという意味では私も落胆しているのだが、かといってまともに買えない状況で、絶対的な必要もないのに、魅力的すぎるゲーム機を出すのも酷というものである。
 

(渡邉 卓也)

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