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五輪バイトが証言するオリンピックの杜撰な実態「ホテル合コン、身元偽装、学生ノリ…」《レイプ事件は起こるべくして起きた》

文春オンライン / 2021年7月25日 6時0分

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五輪バイトのために集まった ©️文藝春秋

 23日にようやく開会式を迎えた東京オリンピック・パラリンピック。ここへの道程は混迷の極みだった。

 大会組織委員会の森喜朗前会長に始まり、佐々木宏氏、小山田圭吾氏、のぶみ氏、小林賢太郎氏と、主要関係者の不祥事や過去の不適切発言が次々と明るみに出て、辞任や解任が相次いだ。コロナ禍も日を追うごとに加速度的に拡大し、開会式を迎えた23日には感染者は4225人に。こうした状況下での開催に、SNSなどではいまだ多くの人が抗議の声を上げ続けている。

 こうした状況も手伝ってか、大会スタッフとして活動するはずだった約11万人のボランティアから辞退が相次いだ。スタッフ確保のため、求人サイトなどで始まったのが五輪バイトの募集だ。

口コミで集まった「大学生バイト」

 しかしそれでもスタッフは足りなかったようだ。穴埋めをする形で、口コミで集まった「大学生五輪バイト」が会場の至るところに大量に流入しているという。実際に五輪バイトをしているという大学生が証言する。

「五輪バイトは人材派遣会社で働くあるサークルの卒業生が、『人が足りないので学生を集めてほしい』と、人脈の広い後輩の大学生に声をかけたのがきっかけで、学生の間に広まりました。ギャラがよくて、学生の間では“オイシイ”と話題になっています。僕の職場では朝7時から夜11時までのフルタイムで働くと日給2万6000円。拘束時間は長いですが、普通のバイトと比べて1日で効率よく稼げるんです」

 彼らの業務内容は競技場に出入りする人々への検温や消毒だが、ほとんどの競技が無観客になったことで実働時間は激減。「いるだけで金が入る楽なバイト」(同前)なのだという。

「フルタイムで働く場合は、炎天下も含めて1日16時間、競技場に出入りする人の検温をします。大変に思うかもしれませんが、実は実働時間はその3分の1ほどなんです。出入りする関係者も僅かで、検温する人自体がほとんどいない。無観客が決定してもバイトの人数は変わらなかったので、人余りで30分働いて1時間休憩、なんて持ち場もあるようです。

 社員さんが休みを決める場合もあれば、バイトに休憩の取り方を任せてくれる人もいます。僕の場合だと、働いたのは拘束時間の半分くらい(笑)。特にサーモグラフィーで検温するバイトは座っているだけ。暇すぎてバイト中に簿記3級のテキストを読み切ったと自慢している人もいました」

人気現場はじゃんけん交換、ワクチン接種も優先的に

 そうなると当然、バイト希望者は激増する。学生の間ではシフトの取り合いになっているという。

「毎日、勤務開始時に仕事が割り振られ、誰がどこの持ち場へ行くかは個人IDで管理されます。ですがサーモグラフィーが設置されている場所など、楽で人気のある現場は、学生同士でじゃんけんをしたり『今度飯奢るから』と交渉して、IDカードを交換しています。現場はまさに“学生ノリ”で回っています」(別の大学生バイト)

 そのうえ、五輪バイトには魅力的な“おまけ”もついてくる。選手村で働く学生バイトは「関係者枠」で、ワクチンを優先的に接種できるのだという。

「学生だと自治体のワクチン接種はいつになるかわからないし、社会人みたいに職域接種を受けられるわけでもない。だから関係者枠はすごくありがたいんです。遠方に住んでいると接種会場までの往復航空券代やホテル代は派遣会社が負担してくれますし。しかもワクチンを受けた日は1時間分の時給がもらえるそうです。東京観光もできるし、楽に稼げるし、ワクチン接種もできる。まさに一石三鳥なんですよ」(同前)

 そして、彼らの楽しみとなっているものがほかにもある。別の学生バイトは「五輪バイト終わりに開かれる夜の“ホテル合コン”が楽しみで……」と声を潜めた。

「久しぶりに“ワンナイトラブ”ができた」

「遠方に住んでいる人は、持ち場近くのホテルに宿泊しています。ホテルへの出入りを警備員が確認してはいますが、館内は自由でやりたい放題。五輪バイトの帰宅途中にコンビニで大量の酒を買い込み、バイトで知り合った男女4~5人で部屋に集まって“ホテル飲み会”をしたこともあります。なかには『久しぶりに“ワンナイトラブ”ができた』なんて言いふらしている奴もいました。コロナ禍での自粛疲れもあり、旅行気分で男女の出会いを求めてくる大学生も多いんです。

 人材派遣会社がほとんどの登録者に五輪バイトの募集をかけているので、普段はイベントコンパニオンをしている可愛い女の子も参加しているんです。テンションが上がり過ぎて羽目を外す大学生も多い(笑)。五輪バイト内でクラスターが起きてもおかしくないでしょうね」

20代女性の強制性交 加害者は学生バイト

 こうした規律の緩みが一因なのか、開会式を目前にして、大学生バイトによる事件も起きている。7月18日、警視庁組織犯罪対策2課は、ウズベキスタン国籍の大学生ダヴロンベク・ラフマトゥッラエフ容疑者(30)を強制性交の疑いで逮捕した。閉会式のリハーサル後、当日知り合った20代の女性相手に犯行に及んだという。

「容疑者は都内のホテルに宿泊しながら、会場内のプレスセンターで食事を提供するアルバイトをしていました。愛知県内の大学を休学していましたが、10月までの在留資格を持っていたようです。ただ警察発表時には、愛知県の住所も確認が取れていませんでしたし、いつから都内にいたかもわかっていなかった。そんな素性もよくわからない『大学生バイト』を関係者として会場に入れていたわけです。管理体制が甘いと言わざるをえません」(全国紙社会部記者)

「自宅住所なんて簡単に誤魔化せる」

 別の大学生バイトは、「事件は起こるべくして起きた」と語る。

「先輩から紹介されて、バイトへの参加を決めました。コロナ禍ということもあって説明会すらなく、社員と顔を合わせたこともありません。自分の場合は、事前に派遣会社に自宅住所を伝えるように言われましたが、メールで申告するだけですし、住所なんて簡単に誤魔化せます。

「自分が担当している現場だと、千葉や埼玉、群馬に住んでいると申告すれば、早朝シフトが入った場合には、会場近くのホテルに無料で宿泊できます。『ホテル暮らしを楽しみたい』と住所を偽って記入した大学生の知り合いもいます。

 給料にしても受け取り時に明細が発行されることもなく、雑に名前が書かれた茶封筒に現金が入っていました。管理なんて本当に適当ですよ」

 五輪招致の際に世界にアピールした「おもてなし」の杜撰な実態が今回明らかになった。無事に「感動のフィナーレ」を迎えることはできるのだろうか。

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

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