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三頭身キャラクターたちと顔の判別できない遺体…南の珊瑚礁の島でおこった“あまりにリアルすぎる死闘”

文春オンライン / 2021年9月11日 17時0分

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『ペリリュー 楽園のゲルニカ』(白泉社)第1話より

 総務省の人口推計によると、2019年10月1日時点で戦後生まれの人口は1億655万人と日本の人口の84.5%を占める。戦前生まれは1962万人。終戦から76年がたち、戦争を知らない世代が圧倒的多数になって久しい。

 その一端は、政治家の言動にも表れている。8月6日の広島原爆慰霊式では、菅義偉総理大臣が演説を読み飛ばし、また、安倍晋三前首相の演説とほぼ同じ内容だったことが報じられた。モノクロフィルムの時代、記録を遡るにも限界が生まれつつある。

 そんな中、異色のマンガが存在感を放っている。太平洋戦争時の南洋パラオ・ペリリュー島での日米の激戦が、三頭身のデフォルメされたキャラクターによって描かれていく、「 ペリリュー 楽園のゲルニカ 」(白泉社)だ。

ペリリュー島の戦いとは

 ペリリュー島は、南太平洋に浮かぶパラオ諸島にある、熱帯雨林に覆われた隆起サンゴ礁の島だ。77年前、この南国の島では太平洋戦争の激戦が繰り広げられていた。

 大型飛行機が離着陸できる滑走路が建設され戦略的な要地とされたことで、約1万1000名の日本軍によって守備されていた。太平洋戦争末期になるとアメリカ軍約4万人の上陸を受け、洞窟や塹壕を利用したゲリラ戦で抵抗する日本兵との間で死闘となった。

 激戦の末、日本軍はほぼ玉砕。日本兵の戦死者は約1万人、アメリカ軍も約1700人の戦死者を出したばかりでなく、島にあった5つの村も、この戦闘ですべて破壊されたという。戦後70年を迎えた2015年4月時点でも約2600人分の遺骨は見つかっていなかった。同月には、当時の天皇皇后両陛下が同島を初めて訪問し、日米の慰霊碑に供花して犠牲者を追悼したことが大きく報じられている。

三頭身のキャラクターと、あまりに壮絶な戦闘

 漫画「ペリリュー 楽園のゲルニカ」は、そんなペリリュー島での壮絶な戦いの様子を、戦死者の最期を手紙に書いて遺族に送る「功績係」で、マンガ家志望の1等兵の視点で描いた作品だ。

 連載のきっかけは、その2015年の天皇皇后両陛下による訪問だったという。2016年2月から2021年4月まで青年漫画誌「ヤングアニマル」(白泉社)で連載され、7月に最終巻が出版された。単行本累計は約80万部と「戦争もの」としては異例のヒットとなり、アニメ化も決まっている。

 特徴の一つは、三頭身のやわらかい印象のキャラクターたちと、顔の判別できない遺体や飢えとケガに苦しむ描写といった、壮絶な戦闘のギャップ。作者である武田一義氏は、「逆に絵柄がリアルだと手加減した描写になる。それは本意ではなく、起こっている残酷なことはリアルに描きたかった」(朝日新聞インタビューより)と語る。

戦争終結に気づきながら、やめられない戦闘

 物語終盤、主人公たちは戦争が終わっているのにうすうす気付いているのに、戦いをやめたくてもやめられないという状況が続く。動き始めた歯車がおかしいと気づきながら、歯止めがきかない日々……。それは決して、過去のことではない。

 その意味でも、戦った人々はあくまで“ごく普通の人たち”だった。死闘を描いた「ペリリュー 楽園のゲルニカ」について、その第1話をここに公開する。

参考文献:朝日新聞デジタル「悲惨さは、デフォルメしない マンガ『ペリリュー』完結」2021年8月14日配信

「あっ、足だーっ!!」「君はこの島から生きて帰れると思ってるの?」ひとりの兵士からみた“壊れていく日本軍の日常” へ続く

(「文春オンライン」編集部)

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