1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 芸能総合

多様な女の子のロールモデルを発掘する“ミスiD”で、男性初のファイナリストに… 自らを“DIVA”と名乗る「ゆっきゅん」って何者?

文春オンライン / 2021年9月9日 11時0分

写真

 多様な女の子のロールモデルを発掘するというオーディション「ミスiD2017」で、男性初のファイナリストとして注目を浴びたゆっきゅんが、2021年5月に待望のソロ音楽プロジェクトを開始。その名も「DIVA Project」。あるがままの姿を貫き、自分の感情を卑下しない彼の姿は、ファンを惹きつけ、奮い立たせてやまない。新世代「DIVA」の、強烈なきらめきを全身に浴びるインタビュー。(全2回の1回目/ 後編 を読む)

「もっと面白い人に会いたい」がきっかけだった

――2014年、上京と同時にアイドル活動を始められたとお聞きしました。

 私は地方出身なので、もっと好きな映画やミュージシャン、「DIVA」に直接触れたいという気持ちで上京したんですね。そもそも東京に来たら、アーティストに限らず、すごく面白い人がいて打ちのめされる、自分じゃ駄目だと思い知らされるだろう、と思っていたんです。でも少なくとも、大学はそういう場所じゃなかった。もっと面白い人に会いたい、そのためには大学の外に出なくてはと思って、アイドル活動を始めました。

――そこでなぜ、アイドルになろうと思われたのでしょうか?

 アイドルは中学生のころから好きだったんです。アイドルという存在を好きになった最初はモーニング娘。ですね。中学2年生の時に、「泣いちゃうかも」という曲の、サビの亀井絵里さんが可愛すぎてハマりました。それがAKB48が流行り始めた頃です。そのあと、いわゆるアイドル戦国時代と言われるような時期がやってきた。

 14年はそんな風にアイドルが大流行した後で、「誰でもアイドルになれる」空気があったんです。「自分はアイドルだ」と言うことでアイドルになれるような。もちろん、“誰でも”ではなくて、向き不向きはあるんですけどね。私のアイドル活動も、そんな空気の中で「私はアイドルです、ゆっきゅんです」ってTwitterで言ったことから始まった気がします。女の子たちのグループに入ることはできなかったし、だからといって、かっこいい男の子のグループに入りたいわけでもなかった。だから自分の道を行こうと決めました。

 特に最初の頃は人から貰うお仕事はほとんどありませんでした。誘ってもらってライブもしたけれど、友人に写真を撮ってもらって個展をしたり、ZINEを作ったりと、自分から発信して「現場」を作るようにしていました。やりたいことと出来ることをひとつずつ試してきたのだろうと思います。似たような人があまりいない分、「絶対にゆっきゅんに出てほしい」という依頼だけが来るのは、活動を始めた頃からの強みだと思います。

――その後、ルックスに限らず、多様な女の子のロールモデルを発掘するという講談社のオーディション「ミスiD2017」に出場して、注目を集めます。

 2年間、自分なりに活動はやってきたし、尊敬している人達にも少しずつ存在は知られてきていた。でも、これからどうしたらいいんだろう、ってその頃ちょっと悩んでいて。そんな中で「ミスiD」を受けたのは、選考委員が自分の好きな人達で、その方々の選評が読みたかったからです。歌手の大森靖子さん、デザイナーの東佳苗さん、映画監督の山戸結希さん、劇作家の根本宗子さんがいました。

好きなことで人が元気になってくれるって最高

――そして今年5月、「DIVA ME」「片想いフラペチーノ」の2曲をリリースして、ソロ活動を開始されます。

 16年に「電影と少年CQ」という音楽ユニットの活動を始めてからも、ソロでの活動は自由に少しずつやってはいましたし、いつかソロでの音楽活動を大々的にやりたいとは思っていました。ただ、大学を卒業して大学院に進学したこともあって、ユニットと学業とソロプロジェクトはまだ同時には抱えきれないと感じていました。でも20年になって、来年はもう大学院を修了するんだって考えた時に、じゃあ、やりたかったことは恥ずかしがらずに全部やっちゃおうと。

 それまでは、自分の中で何かが熟してなかったんだと思います。何かやりたい気持ちはあっても、イメージが定まってなかった。去年の秋になって、心の準備も整った、周りにはお願いしたい人もいる、自分のやりたいことがはっきりとわかった、という状態になりました。

「DIVA ME」では、今まで折々に言ってきたことを、そのまま詰め込んで歌っています。自分のままで生きるということを、肯定して、鼓舞して、何もできない時もあるけど頑張りたいよね、と。歌詞で書いていることは本当に今までのツイートと一緒なんですが、こうやって音楽にすることで、さらに多くの人に届くんだと思って、うれしいです。

 私は、人間、それぞれやりたいように自由にやればいいと思っています。だから「DIVA ME」という曲も、「私はこういう感じで勝手にやらせてもらいます」という態度になっている気がします。誰にも頼まれていなくても、それでも大きな使命感を持って、全力で自分を奮い立たせに行く姿勢です。でも私が好きなことを表現したり理想の自分を体現したりすることで、結果的に聴いている人が元気を出してくれたり、「これでいいんだ」って思ってくれたりするのは、奇跡みたいにありがたいことだなといつも思います。

「DIVA ME」は「みんなDIVAになろう!」という曲ではないんです。全人類「DIVA」化計画ではない。この曲で歌われるような「DIVA」の精神性を少なからず持っている、あるいは、そのようにありたいと思っている人に「私ってDIVAだったんだ」と気づいてほしかったんです。「DIVA」であることを自覚して、せめてこの曲を聴いている間は心の中だけでも強く自分を信じられるような、そんな曲にしたかった。 

今度は私が「DIVA」になる番

――自分自身を奮い立たせる姿が、結果として聴く人を元気にしてくれるんですね。

 そうですね。でもだからといって、「DIVA ME」を聴いているファンの方を、「悩める子羊」だと限定したい気持ちは本当にないんです。のびのびと生きている私でも、「DIVA ME DIVA ME」って自分に言い聞かせて頑張る時がある。だからきっと、誰にだって届くはずだと思っています。私もずっと音楽に助けられてきたし、今でもそうなんです。

――どんな「DIVA」の音楽を聴いてきたんでしょう。

 好きな「DIVA」の名前を挙げたらきりがないですね。大森靖子さん、浜崎あゆみさん、椎名林檎さん、宇多田ヒカルさん、aikoさんも、安藤裕子さん、YUKIさん、Charaさん、Tommy february6さんも大好きです。彼女たちの音楽にずっと救われてきたので、今度は私が「DIVA」になる番かなって思っています。

 私の中で、「DIVA」や、女性歌手、歌姫が好きっていうのは、「好きな食べ物は何?」って訊かれて「白いご飯」って答えるみたいなものなんですよ。そもそも数年前まで、みんな自分と同じくらい「DIVA」が好きだと、当然のように思ってたんです。でも私の「DIVA」好きは当然ってレベルじゃなかったみたいです(笑)。

自分を飾らないアイドル

――ゆっきゅんさん自身が「DIVA Project」を心から楽しんでいることが伝わってきます。

 今までの活動で、私がずっと貫いているのが、「本当にやりたいことをやること」なんです。初めの頃は不安もありましたが、そうすることで、「私も自由に生きようと思いました」「救われました」と言ってもらえて、私が自分のままで生き続けることが、人の心を自由にすることがあるのだと、少しずつ自信が持てました。

「DIVA Project」でも、自由に選択することに対して抑圧を感じているような人を、少しでも楽にしたい、これでいいんだよなって思ってもらいたい。人の目が気になったり、着たい服を着ることにすごく抵抗があったりする方は多いですよね。今の社会では当然だと思います。でも、自分のままで生きられる道を探すのか、自分らしさを削られてでもその道でいくのか迷った時に、前者を選べたら、人生もっと楽しいんじゃないかなと思うんです。

――ゆっきゅんさんのその生き方に影響を与えた人や物はあったのでしょうか?

 家族の存在でしょうか。家を出てから、両親は私のことを否定したことがない、と気づきましたね。私は少女漫画しか読まなかったし、女の子の友達しかいなくて、ずっと歌姫のものまねをしていました。両親にとって予想外であったかもしれない私の趣味嗜好や感性について、思い返してみると、否定されたことはなかったんです。本当にありがたいことだったと感じています。

「こっちの方がDIVAだね」

――「DIVA Project」はプロジェクト名がとても印象的ですよね。

 20年10月に初めて打ち合わせをした時の資料に、すでに「DIVA Project」って書いてあるんですよ。「DIVA」という基準ができたのは自分の中でも大きな変化でした。この数カ月間、「こっちの方がDIVAだね」という基準で、色々なものを選んできました。

――ゆっきゅんさんにとっての「DIVA」とは何なのでしょうね。

 私にとっての「DIVA」は、歌や服装で規定されるものというよりは、精神性だと思っています。あくまで私にとっての「DIVA」ですが、すごく不遜で、自由で、自分自身に誇りをもっていて、わがままで自意識過剰。そして何より、頑張っているんです。「DIVA」は「自分の体よりも大きな態度で挑める勇気をくれる者」なんですよね。「DIVA」そのものになりたいっていうより、ビヨンセのつもりで出勤するとか、「心にDIVA」なんです。

「DIVA」は心の中にいる

――「心にDIVA」、ぐっとくる言葉ですね。

 だから、「DIVA」は歌手だけをさす言葉ではないんです。曲を聴いて、これは自分のことだと感じてくださった方はたくさんいると思います。どんな職業、どんな場所にも「DIVA」がいるんですよ。さらに、「DIVA」は動詞にもなるし、形容詞にもなる。「今日の格好、DIVAだな」とか、「その発言かなりDIVAだね」とか。「DIVA」はいろんな使い方ができる言葉だと思っています。

――ゆっきゅんさん以外にも、男性の「DIVA」がいる可能性もあるんですね。

 藤井隆さんは「DIVA」だなって思いますね。無自覚なこと、自意識がないことが魅力になることもあるとは思うんですが、体のすべての部位を自覚して、セクシーな理想像を追求している人がいますよね。私はそういう人こそ「DIVA」だと感じます。例えば、西川貴教さんとか、岡村靖幸さん、及川光博さんとか。これからの男性たちは、社会構造にも、そして、自分自身にも向き合わざるを得ない。そのとき、「DIVA」的な存在も増えていくのではないでしょうか。

 みんなキラキラしたらいいのに、と思っているわけではないんです。でも、キラキラしたいのに出来ないのは、社会がおかしい。そうありたい自分でいられる場所や時間が、少しずつ増やせたらいいのになと思います。「かわいい服買ったけど似合うか不安」って言われたら、私はいつも、「じゃあゆっきゅんのライブに来る時だけでいいから着てみて」って返しています。

【続きを読む 「大げさは誇張じゃなくて、その人には重大ってこと」「もっとみんな喜んでいい、悲しんでいい」“引き算のできない表現者”ゆっきゅんが目指す“DIVA”の姿】

(撮影=平松市聖/文藝春秋)

「大げさは誇張じゃなくて、その人には重大ってこと」「もっとみんな喜んでいい、悲しんでいい」“引き算のできない表現者”ゆっきゅんが目指す“DIVA”の姿 へ続く

(ゆっきゅん/別冊文藝春秋)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング