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「熱湯を浴びた後に『ぎゃあーっ』と2度の悲鳴が…」大阪3歳児殺害“届かなかったSOS”と3カ月前にあった“事件の前兆”

文春オンライン / 2021年9月23日 21時0分

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事件現場となった摂津市のマンション ©文藝春秋

 8月31日、大阪府摂津市の築34年の古ぼけたマンションの一室で、この家に住むまだ3歳の男の子、新村桜利斗(おりと)ちゃんが、母親の交際相手の男に長時間熱湯を浴びせられた末に、病院に搬送され、息を引き取った。桜利斗ちゃんの死因は熱傷性ショックで、搬送時は皮膚がただれ、目も当てられない状態だったという。

 大阪府警は9月22日夜、桜利斗ちゃん殺害の容疑で、母親(23)の交際相手である松原拓海容疑者(23)を逮捕した。全国紙社会部記者が語る。

「松原容疑者は取り調べに対して、『自宅の浴槽でシャワーの温度を徐々に上げていく“遊び”をしていた。たばこを吸いに行って目を離した隙に、桜利斗ちゃんが亡くなった。温度は60度まで上げたが、わざとやったわけではない』などと供述しています。しかし、司法解剖の結果、桜利斗ちゃんは10分近くもの間、熱湯を浴びていた可能性があることがわかったのです。しかも、桜利斗ちゃんの遺体には、熱湯をよけようとした形跡もなかった。たばこを吸いに目を離した隙に起きる出来事では到底ありえず、警察は、松原容疑者が桜利斗ちゃんの全身に執拗に湯をかけ続けて死亡させた、強い殺意があったとみて捜査を続けています」

痛みから出ざるをえないような大きな「叫び声」が聞こえた…

 事件発生時、同居する母親は不在だった。松原容疑者は「3歳の男の子が浴室内で倒れていて、意識も呼吸もないと、自分で119番通報した」(消防関係者)という。通報から10分弱で救急隊員が現場に駆け付けたが、桜利斗ちゃんはリビングに全裸で横たわっており、既に心肺停止状態だったという。その後、搬送先の大阪府吹田市内の病院で死亡が確認された。

 搬送の様子を見ていた近隣住民が語る。

「救急車が来る30分前ぐらいに『ぎゃあーっ』という声が2回ぐらい聞こえました。それまでも母親が叱るような声は聞いたことがありましたが、あの時の声はそれとは全然違った。驚いたとか怒られた時のような声ではなくて、痛みから出ざるをえないような、大きな“叫び声”だったんです。

 何が起きたのか不思議に思っていたら、救急隊員が来て、家から桜利斗ちゃんを運び出していったんです。全身が真っ赤に腫れあがり、小さな体なのに心臓マッサージをされていて、可哀そうで見てられませんでした。ところが救急隊員の横にいた松原容疑者は妙に落ち着いた様子でした。それが印象的でした。松原容疑者は、桜利斗ちゃんが搬送された後、警察に部屋で話を聞かれていました。

 桜利斗ちゃんは抱っこ紐でお母さんにおぶわれていた頃から知っていました。今年の5月ごろ、昼間に頭に包帯を巻いて歩いていたことがあったり、夜中の10時ぐらいにベランダに出されて、『開けて! 開けて!』と泣き叫ぶ声が聞こえたこともあったので、心配はしていたんです。お母さんがエレベーターに乗りながらスマホをいじっている間、目を合わせると手を振ってくれる。本当に元気で可愛い子でしたよ」

松原容疑者の部屋からうちわや冊子、木製の板が降ってきた

 あまりにも凄惨な“虐待死”。だが、その前兆は、事件前からあったようだ。別の近隣住民が語る。

「今年の5月末、夜中の12時ごろに寝ていたら、ベランダに物が落ちる音が聞こえたんです。なんだろうと思って、外に出てみると、うちわや冊子のようなものがいくつか落ちていました。どこから降ってきたのだろうと不思議に思っていたら、今度は木製の板が上から落ちてきて、私の肩をかすめたんです。私の部屋は上の階に住む松原容疑者の部屋よりもベランダがせり出しているから、すぐに松原容疑者の部屋から飛んできたのだとわかりました。

  何かただならぬことが起きていると思い、警察を呼び、松原容疑者の部屋に行ってもらいましたが、松原容疑者は全然出てこなくて……。後になって『子供が全部投げた』と言っていると警察から聞きました。子供の腕力でそんなにいろんなものを投げられるものだろうか、と疑問に思ったのですが、警察もそれ以上は何もできなかったようです。8月にも子供の靴下が私の部屋のベランダに落ちてきましたが、もういいやと思ってそれは捨ててしまいました」

母親は昨年10月に出会い系アプリで容疑者と出会った

 行政機関にも事件が発生するかなり前から、虐待を懸念する通報が届いていたという。市役所の関係者が話す。

「2018年10月に母親が大阪府泉南市から現在の摂津市のアパートに引っ越してきた時から0歳児の子供を抱え、他に頼る人もいない状態だったので、摂津市と大阪府吹田子ども家庭センターで話し合い、市の判断で見守りをしていました。月に1~2回のペースで母親と市職員が面会をしていた時期もあります」

 昨年10月、母親は松原容疑者と出会い系アプリで出会い、交際をスタートさせた。桜利斗ちゃんと3人で同居を始めたのは今年の5月になってからだ。松原容疑者による“虐待”は同居後、一気にエスカレートしたようだ。

「市役所に虐待の通報があったのは全部で3回です。昨年1月と今年4月に桜利斗ちゃんが通っていた保育園から通報があったのと、今年6月に第三者からの通報がありました。保育園からは2回とも『桜利斗ちゃんが怪我をしており、たんこぶもある』という内容でした。第三者からの通報は、『松原容疑者と母親が虐待をしている』ということで、具体的には、松原容疑者が桜利斗ちゃんの顔を叩いたり、おもちゃを投げていたと。また、母親に関しては、桜利斗ちゃんへの言葉が粗っぽいという内容でした。

 母親とは、今年6月に第三者の通報があった日の前日にも市の担当者が面談をしています。しかし、その時は特に変わった様子はなかったそうです。第三者からの通報があった後も市の担当者が母親に電話をしましたが、『心当たりも心配事もない』と言っていたそうです。

母親からも「松原容疑者が虐待している」と相談が…

 しかし、今年5月には、母親自身からも『松原容疑者が桜利斗ちゃんを虐待している』という相談がありました。その時は松原容疑者とも市の担当者が面談し、『もう暴力を振るわないように』と注意すると、松原容疑者は『わかりました』と言っていたそうです。

 一時保護については都道府県の管轄で、児童相談所が総合的に判断しますが、この件については摂津市役所と児童相談所で協議した末、一時保護ではなく、支援しながら見守りを続けるという判断になりました」(同前)

 あくまで結果論になるが、この時、一時保護がなされていたら幼い命が奪われる最悪の事態は防げたかもしれない。周囲からの再三にわたるSOSや、桜利斗ちゃんの助けを呼ぶ声はついに届かなかった。松原容疑者は「湯を故意に浴びせていません」と容疑を否認しているという。

「文春オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレス、または「文春くん公式」ツイッターのDMまで情報をお寄せ下さい。

メールアドレス:sbdigital@bunshun.co.jp
文春くん公式ツイッター: https://twitter.com/bunshunho2386

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

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