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「次は是非勝ってください」と現役代表をバッサリ キャスター内田篤人(33)が低迷するサッカー界で“独り勝ち”できる理由《発信力は松本人志並み!?》

文春オンライン / 2021年9月28日 11時0分

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内田篤人 ©AFLO

 内田篤人こそが、サッカー界が待ち続けていたコア層とライト層をつなぐ存在なのかもしれない。

 昨年8月までプロサッカー選手として活躍した内田は現在、テレビ朝日系列の「報道ステーション」のスポーツキャスターを中心に地上波の番組で活躍している。その一方で、スポーツ専門の配信サービスDAZNでは「内田篤人のFOOTBALL TIME」という冠番組のパーソナリティーを務めている。

「FOOTBALL TIME」での内田の発言は、毎回のようにニュースになる。「ワイドナショー」での松本人志の発言のネットニュースで取り上げられるのと同じで、これは「内田の言うことは聞く価値がある」と感じる人が多くなければ発生しないできごとだ。

「本来なら結果がついてきて…」

 そして、9月2日のこと。来年に控えるカタールW杯のアジア最終予選初戦で、日本は格下のオマーンにホームで敗れる大失態を演じた。その試合後、インタビュアーとして登場した内田の振る舞いが話題になった。

 内田が日本代表として活動していた時期にもっとも仲が良かった吉田麻也(現在の代表キャプテン)に、毅然とした態度で質問をしたのだ。「本来なら結果がついてきてインタビューしたいんで次はぜひ勝ってください」というサッカー中継ではまず聞かない厳しい口調での注文は議論を呼んだが、大方の意見は「忖度せずに質問をした姿勢が良かった」というものだった。

 内田は後日、吉田への質問がぶっきらぼうになってしまった理由を「短時間で吉田を含む3人にインタビューする必要があり、終わり方が雑になってしまった」と反省を交えて明かした。

 一方で、視聴者になりかわって格下相手に破れた日本のキャプテンである吉田に厳しい質問をぶつけ、「吉田は甘やかされている」という空気を作らないことが、結果的に吉田を守ることにつながるという認識もあったという。

 直前にあった東京オリンピックでも、“キャスター内田”の存在感は際立っていた。「内田がいるなら」と、森保一監督が予定されていなかった試合後インタビューに応じる場面もあった。「オリンピックのキャスターでは内田の一人勝ち」という意見さえ出る状況だった。

 オリンピックからW予選までの2カ月あまりで、内田の解説者やキャスターとしての魅力が一気に日本で認知された感がある。今年の4月にスポーツサイトSportsnaviが行った「東京五輪でキャスターをやってほしい元アスリート・男性編」アンケートで内田は6位に入ったが(元サッカー選手としては最上位)、今ならさらに順位を上げているだろう。

 内田がスパイクを脱いだのは2020年8月、32歳の時だった。日本代表として74試合に出場した内田だが、2014年に右膝に交通事故級の大怪我を負い、その影響もありチームに求められるレベルでプレーができないと引退を決意した。

 引退から2カ月後の2020年10月に前述のDAZNの冠番組が始まり、今年4月には報道ステーションの水曜日のスポーツキャスターに就任している。内田のコメンテーターとしての評価は、最初から高かった。

「内田さんのあのコメント力。間違いなく、地上波のメジャーな舞台で活躍していく人でしょうね」

 あるテレビ局の関係者は、当初からその力量を見抜いていた。

現役時代から一貫してSNSはやらない

 彼が受けいれられた要因は、大まかに言えば以下の3つだろう。

1.断言できる
2.忖度しない
3.リスペクトがある

1.断言できる

 これは彼の賢さからくる特長だ。

 内田は現役時代から、質問にはっきり答える選手だった。

 最近の若い選手は色々なところに配慮してか、誰からもツッコまれないような発言をすることが多い。そうなってしまう理由はよくわかる。今の時代は、どんな発言でもSNSなどで反対する声が届く。例えば、AとBという2つのチームの試合を見て、Aの戦いぶりを絶賛するだけで、Bのファンから「配慮がない」というツッコミが届く。

 それを避けるために、選手は当たり障りのない発言をするようになる。結果として、何を言いたかったのか明確なメッセージがわからない言葉になってしまう。

 しかし内田は、周囲の反応を恐れなかった。メンタル面の強さもあるが、現役時代から一貫してSNSを一切やっていないこともプラスに働いている。だからこそ、彼はまっすぐ自分の意見を断言できるのだ。

 同時に、表現も巧みだ。「天下一武道会」「エロいサッカー」「コソ練」と直感的な言葉を使ってサッカーや人間の魅力を伝えることができる。

 そのメッセージの明快さゆえに、現役時代から内田はいつも記者に囲まれていた。そして引退して解説者になった今でも、視聴者に愛されている。

2.忖度しない

 内田は相手が誰であってもハッキリと意見を伝える。

 日本代表がグループリーグを突破した2010年の南アフリカW杯からの4年間は、日本サッカー界に訪れた何度目かの“ブーム”だった。

 本田圭佑、香川真司、長友佑都、そして内田が人気を牽引して様々なメディアに登場し、日本代表のチケットは常に完売だった。前述のサッカーブームに沸いていた時期、日本代表の監督はイタリア人のアルベルト・サッケローニだった。

 この時期は、代表チームに「HHEミーティング」という意思決定機関があった。HHEとは当時の中心選手だった長谷部誠、本田、遠藤保仁のイニシャルをとったもので、チームの課題や方向性について、中心選手たちと時に監督も交えたミーティングがよく開かれていた。

「一部の選手だけで集まるミーティングは良くない」

 海外のクラブチームなどでも、監督や首脳陣との交渉で、選手を代表した幹部会のようなものが作られることはある。そして長谷部たち3選手も、もちろんチームを良くするために自分の時間を削って話し合いをしていた。

 ただ、当時のチームではメンバーが固定化され若手選手があまり起用されず、その問題点がチーム内外から指摘されてもいた。そんな中で、内田はこう発言した。

「一部の選手だけで集まるミーティングは良くないんじゃないかな」

 長谷部たち3人は年上だが、チームのためによいと信じることを発信する。同時に先輩たちを慕ってもおり、特に当時同じドイツでプレーしていた長谷部の自宅には何度も遊びに行ったという。敬意を持って人間関係を構築したうえで、意見が違うことは議論できるのが内田なのだ。

3.リスペクトがある

 東京オリンピックで、日本代表は優勝候補の一角だったメキシコに2―1で勝利した。オーバーエイジ枠で参加していたキャプテンの吉田は、インタビューゾーンに上機嫌で現われた。会心の勝利を喜んだ吉田は、思わずインタビュアーの内田にグータッチを求めた。

 だが、内田はそれを制した。

 インタビュアーが元選手の場合、握手やハイタッチが交わされることはよくある。まして、内田と吉田の関係性を考えればそれはまったく自然だった。

 しかし、東京オリンピックでは厳しいコロナ対策が敷かれ、取材者は選手との接触を禁じられていた。それを守るために、内田は「オレは触っちゃダメなんだ」と伝え、“エア”でのゴータッチを提案した。

 このときも内田の振る舞いは話題になった。

 オリンピック期間中には、選手と気心の知れた取材陣がハイタッチを交わす場面も多く見られたが、アスリートも自分も守る内田の節度ある行動は際だっていた。

 現役選手への気遣いは、サッカー以外の競技でも変わらない。今年4月に訪れたバスケットボールBリーグの取材では、試合前のウォーミングアップから熱心に見学していた。

 アスリートへの圧倒的なリスペクトが画面を通して視聴者に伝わるから、内田は受け入れられるのだ。

 そして内田はライト層にサッカーの魅力を伝える資質の持ち主であると同時に、サッカーファンや現役選手から見ても有無を言わせないキャリアを持っている。

 世界最高レベルのカップ戦欧州チャンピオンズリーグで、主力としてベスト4に勝ち上がった日本人は過去に内田しかいない。そして通算の出場試合数は香川に抜かれたが、出場時間数は依然として日本人トップだ。世界最高峰のレベルについて自身の経験を引き合いに語るとき、内田の右に出る者はサッカー界にはいない。

このままだとサッカー人気は落ちる?

 前述の通り9月からカタールW杯の最終予選が始まったが、実は日本のサッカー人気に暗い影を落としかねないニュースがある。フランスW杯(1998年開催)の最終予選以降ではじめて、地上波での全試合中継が行なわれないことが決まったのだ。

 日本時間のゴールデンタイムでの試合になるホームゲームはテレビ朝日系列で放送するが、アウェーゲームはDAZNの独占配信となった。

 放映権を管理するAFC(アジアサッカー連盟)が放映権料を超高額に設定したため、民放各局が手を引くしかなくなったというのがその理由とされている。

 以前ならば「絶対に負けられない戦い」として盛り上がっていたW杯のアジア予選を見る人が減ってしまったら、サッカー人気はますます落ちてしまうのではないか。サッカー関係者は一様に頭を抱えている。

 そんななかで、内田の存在は大きな希望の星になっている。テレビ朝日もDAZNも内田と縁が深いため、どちらの放送でも内田がキャスティングされる可能性は高い。そうやってコア層からライト層まで、すべてのサッカーファンに愛される内田が背負うものは大きい。

(ミムラ ユウスケ/Webオリジナル(特集班))

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