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両親の結婚について聞くと父が「ある意味、非合法だったんだよね……」親と子が離れて暮らすカルト村の驚きの結婚事情

文春オンライン / 2021年11月6日 11時0分

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『カルト村の子守唄』

 親と子が離され、ビンタ、正座、食事抜きなど体罰は当たり前、男子は丸刈りで女子はショートカット、お小遣いはもらえず、すべての物が共有で、テレビや漫画を自由に見ることもできない……。そんな「カルト村」で生まれ、自身の小学生時代を描いた実録コミックエッセイ『 カルト村で生まれました。 』でデビューした高田かやさん。2冊目の『 さよなら、カルト村。思春期から村を出るまで 』では13歳から自らの意志で村を出た19歳までを描き、3冊目の『 お金さま、いらっしゃい! 』では、村を出た後に出会った「ふさおさん」と結婚したり、仕事を見つけて働いたり……といった一般社会での日々を「お金が持てなかった村出身者」の視点で描き、話題となりました。

 

 そして今回、自身の幼少期の思い出と、「普通の大学生だった両親が、なぜ村に入って結婚したのか?」を著者自らが探って描いた「特別編」を収録した「カルト村シリーズ」の4冊目『 カルト村の子守唄 』を描き上げた高田かやさんのインタビューと漫画をお届けします!(全3回の1回目。 2回目 、 3回目 を読む)( マンガ を最初から読む)

◆◆◆

幼少期の出来事を描いて、コミケに出してみたかった

――新作の『カルト村の子守唄』は、「村で過ごした幼少期のことを描けていないのが心残りだった」ということで、描かれたそうですね。

高田 はい。ただ、幼少期のことだけで1冊にするのは分量的に難しいかなと思ったので、最初は「趣味として描いて、薄めの本を自費出版してコミケで売ってみようかな?」と思っていたんです。

 村では「個人の趣味なんてもってのほか」でしたし、村人たちを見ていると、「何かにハマることで見えなくなるものがあるのではないか?」と思ってしまい、長年「趣味」を持たずに暮らしてきました。そして2016年に『カルト村で生まれました。』でデビューしてからは、ずっと「仕事」としてコミックエッセイを描いてきたので、「趣味として幼少期の出来事を描いて、趣味人の集まるコミケに出してみたいな」と。しかもコミケで売っているのは薄い本だと聞いていたので、ぴったりじゃないかと思ったんです。

 その話を担当者さんに相談したら、「コミケで手売りするんですか? 顔バレしますよ」と言われたので、「お面を被って売ります」と答えたら、「いや、そんなこと言わずに、うちから出させてください」と言っていただいて(笑)。

作品はほぼ手書き文字

――高田さんは、ウェブで連載した原稿を加筆修正して書籍化するのではなく、頭から全ページ描き直しているんですよね?

高田 今回の本もそうですし、今までに出した本4冊とも全てウェブ連載の原稿とは別にイチから描いています。他の作家さんがどうしているか全く分からないので、自分的には普通のことだと思っていました。

 私の作品は、ほぼ手書き文字なのですが、今回の『 カルト村の子守唄 』では、全ページ分の文字の下書きが終わった段階で、前作までの原稿を確認したら、文字の大きさがそれまでより大きかったんです。それでペン入れの段階で、文字のサイズを小さめに変えることに……。せっかく丁寧に書いた下書きをなぞることができなくて、苦労しました。

両親から聞いた話をまとめる作業は、本当に大変

――高田さんは昔のことをよく覚えていて、その記憶をもとにこれまでコミックエッセイを描かれてきましたが、今回は、ご自身の記憶があまり残っていない赤ちゃんから幼少期の出来事なので、ご両親にも取材して描かれたそうですね。特別編として、大学生だったご両親が村に入って結婚に至るまでのエピソードを描いた「私の両親編」も収録されていますが、「取材して描く」ということに挑戦してみて、いかがでしたか?

高田 まず「両親が村に入った当時の話をしてくれるだろうか?」というのが不安だったのですが、杞憂でした。メモを取りながらいろんな話を聞くことができました。父は客観的な視点も取り入れつつ、順序立てて話してくれるのですが、母は自分の感じたことをそのまま話すので、同じことを聞いても返ってくる答えが違うのが面白かったです。

 でも、聞いた話を漫画にまとめる作業は、本当に大変でした。時系列に整理して、父と母の若い頃の時代の雰囲気や景色を全く知らないまま絵にしないといけないし、父と母が話すそのままの言い回しだと、村特有の暮らしや考え方を知らない一般の方には理解できないことも多いため、誰でも分かるように変換したり……と、編集と翻訳と制作を同時進行でしている気分でした。流れを考えるのに何日もかかりましたし、自分の思い出を描く方がよっぽど楽でしたね(笑)。

 あと、自分の記憶をもとに描く時もそうですが、人の実話なので、嘘がないように、できるだけ脚色しないように……と気をつけて描きました。

――今回初めて、ご両親の結婚秘話を知ったそうですね。

高田 はい、結婚したときのことを聞いたら、父が「ある意味、非合法だったんだよね……」と話し始めたので思わず「えっ! まさかお金でも積んだの!?」と聞き返しちゃいました(笑)。積んでないそうです。

 村には、若い女性が「調整役」の決めた10歳以上年上のおじさんと結婚する「調整結婚」という制度があったのですが、うちは母が姉さん女房なので、「調整結婚ではなく普通に恋愛結婚だったんだろう」と思ってきましたが、まさかあんなドラマがあったとは思いませんでした……。

 両親には、まだこの漫画は見せていません。「本ができたら送ってね」と楽しみにしてくれています。

車に乗せてくれたおじさん

――本作に載っている、まだ幼い高田さんが村を脱走して、知らないおじさんの車に乗ってしまうお話を読んでヒヤヒヤしました。今、当時のことを思い返してみて、恐怖を感じたりはしますか?

高田 思い返しても恐怖は感じないですね……。おじさんに自分の名前をうまく言えなくてもどかしくて、「おじさんが私の伝える道順通りに進んでくれなくなったのは、私が名前をきちんと言えなかったから気を悪くしたんじゃないか?」と思ったり、大きな道を外れて細い道にガタガタと入っていった時はさすがに緊張しましたが、頭の中で「ここを曲がって細い道に入った、その先に停まった、覚えておけば逃げられる」とシミュレーションしていたので、そんなに怖くなかったです。今思い返しても怖いのは「車に乗せてくれたおじさん」ではなく、行く先に立ちはだかった「お墓のある暗い道」の方ですね(笑)。

おばあちゃんになる前に

――『 カルト村の子守唄 』には、幼少期に読んで印象的だった絵本のお話も出てきます。高田さんはもともとは童話作家になりたかったと『カルト村で生まれました。』で書かれていましたが、童話や絵本に挑戦してみたいという気持ちは?

高田 絵本も童話も今でも大好きです! 上野にある「国際子ども図書館」へ行くと、膨大な量の童話や絵本があり、そのひとつひとつが素晴らしい本なので、「伝えたいことなど全くない自分が、ただ描きたいからと描く絵本に一体何の意味があるのか……」と自問自答してしまいます。

 村にいた頃、父に「絵の学校へ行きたい、童話作家になりたい」と言ったとき、「創作なんておばあちゃんになった時でもできることだよね? 若いうちは今できることをやった方がいいんじゃないかな」と言われたことがあります。でも、これまで作品を描いてきて、「体力的にも視力的にも、おばあちゃんになったらこういう作業は無理!」とハッキリ確信をもって言えるので、おばあちゃんになる前に教室などに通って絵本の作り方を教わって、できた作品を教室の友達と一緒にいつかコミケで並べてみたいですね。

【カルト村シリーズを試し読みする】

カルト村に自ら入村した父は、「禁酒」の決まりができて以降、大好きなお酒を一切口にしなかった…そんな父を見て気づいた“本当の自由” へ続く

(「文春オンライン」編集部/ライフスタイル出版)

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