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野球以外のエピソードであぶりだす“奇跡を起こす男”ロッテ・岡大海の魅力

文春オンライン / 2021年10月19日 11時0分

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岡大海 ©千葉ロッテマリーンズ

 人は敬意を表して、ミラクル岡と呼ぶ。今季ここまで2度のサヨナラ本塁打を記録するなど、前後期制とプレーオフ制を除き、1970年以来のリーグ1位でのリーグ優勝を目指すマリーンズ躍進の立役者の一人となっている岡大海外野手だ。岡がサヨナラ本塁打を打ったナイターは2度。1度目は4月21日のファイターズ戦。これを人は「ヒロミナイト」と呼ぶ。そして2度目は10月15日のホークス戦。こちらは「ヒロミナイト PART2」と呼ばれている。奇跡を起こす男はどのような人物なのか。あえて野球の話ではなく、日常の側面から紹介していきたい。

ハリウッド映画ではなく邦画感動系が好み

 大海と書いてひろみ。「名前を一発でしっかりと呼んでもらえたことはないですね」と苦笑いを浮かべる。高校時代まで野球をしていた3つ上の兄が大介で、親は「大」の字をつけたかったという。大きな海のように。親の想いが込められている。

 私にとって印象的な出来事は一昨年ぐらい前の話。どこかの遠征の帰りだったと思う。帰京の飛行機で私の座席の後ろが岡だった。離陸して時間が経ち、私がウトウトと気持ちよく眠りに入ろうとしているとドンと座席を蹴られたような感じがした。振り向くと岡が真剣に機内テレビでアニメを見ていた。なにを見ているのかを確認すると「キャプテン翼」だった。

「いやあ、あまりにも懐かしくて、ついつい見ていました」と岡。まさか、自分が翼くんになった気持ちで座席を蹴ったのか? 「それはないです。すいません。ちょっと当たってしまっただけですよ」と恐縮気味に否定したが、彼の天然キャラを考えると、ありえることだし、なんといっても身長185センチのプロ野球選手が真剣に懐かしのアニメをかじりつくように観ている姿は微笑ましかった。

 ちなみにアニメは子供の時から好きだった。「ドラえもんラブの子供でした。声優さんが代わる前から一通り見ていますね」と話す。話題のマンガもチェックをする。「鬼滅の刃」、「約束のネバーランド」などが印象に残っている。

 最近はアニメや漫画を見る機会はめっきり減ったが映画などを見て息抜きすることも多い。泣いたという作品は「湯を沸かすほどの熱い愛」。宮沢りえさん主演の感動の家族ドラマ。夫が蒸発し、中学生の娘がイジメに苦しむ中、突如余命2か月と宣告された主人公が持ち前の明るさで日々を奔走していく姿を描く作品だ。

「何年か前に見ましたけど、忘れられないですね。感動しました」と岡。好きなドラマは「とんび」。妻を失った父親が男手ひとつで息子を育てる親子の絆を描いた感動の物語だ。「家族愛ものに弱いですね。見入ってしまいます」と話す。ハリウッド映画ではなく邦画感動系が好みだ。

 好きな食べ物は牛タンで嫌いなものは即答で「トマト!」。休みの日は自宅でゴロゴロ。最近はなかなか行けないがサウナも好きだ。12分3セット。サウナに入って水風呂に入って休憩を繰り返す。睡眠時間は8時間から9時間。勉強家の一面もあり、栄養学や身体に関わる本を読み漁る。「移動の時とか遠征先のホテルでよく読みますね。これが体にいいとか、これは体に悪いというような見出しの本があるとついつい手にとってしまいますね」と話す。

心の支えとなった中学時代の先生の言葉

 子供の時からプロ野球選手になることに憧れ、当時の憧れの選手はイチロー。倉敷マスカットスタジアムで試合を何度か見たことがある。小学生の時にはイチローのキャップも被っていた。プロ野球選手になるために心の支えとなったのは中学校2年生の担任の先生に言われた言葉。「無限の可能性を信じなさい」。陸上選手でもあった先生の言葉はスポーツが大好きな中学時代の岡の心にスッと入ってきた。

「すごく印象に残っている。こうやって今でも思い出せるぐらいですからね。とても影響を受けた先生です」と岡。

 どんな時も無限の可能性を信じ続けた岡は地元の名門・倉敷商業高校に入学。高校3年夏は4番投手で甲子園に出場。大学は明治大学に入学し投手と野手の二刀流選手として活躍し2年秋と4年春秋に優勝を経験し2013年ドラフト3位でファイターズに入団。16年の日本一に貢献し2018年にトレードでマリーンズ入りしミラクル岡として崇められる存在となっている。そんな岡のポテンシャルを誰よりも評価しているのは井口資仁監督。「三拍子そろった選手ですぐに1億円プレーヤーになれる選手。足も速いし肩も強い。凄い身体能力を持っている選手」と絶賛する。

 今季ここまで6本塁打中3本塁打は9回二死と追い込まれてからの起死回生弾。2発がサヨナラ弾で一つはチームの負けを消す貴重な同点2ラン。優勝争いを繰り広げるマリーンズにおいて無限の可能性を信じる男が幾度となく土壇場でチームを救ってきた。中学校の卒業式以来、先生とは会っていない岡だが、今の優勝を目指し活躍する姿をきっと喜んでいる事であろう。

 最後になるが、岡は意外にもゴルフは得意ではない。あのパワーならさぞかしドライバーを飛ばすと思いきや「基本的にドライバーは使いません。超スライスしてしまうので……」とのこと。バットを手にボールをフルスイングすれば、まっすぐスタンドまで飛ばしてしまう才能を持つがドライバーを手にするとボールは右に大きくカーブを描いて飛んでいき、特大OBとなってしまう。ティーグラウンドでやっちまったという顔をする岡の表情が想像できる。早口で野球以外は、ちょっと不器用なところもまた岡大海の魅力である。

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(梶原 紀章)

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