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デビューできず、オーディション番組を転々と…“浪人生アイドル”たちのゆくえ《『ガルプラ』最終回へ》

文春オンライン / 2021年10月22日 11時0分

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写真いちばん右がルイチー。

歌詞、振り付けを自ら考えさせる…オーディション番組『ガルプラ』に見る、K-POPアイドルが「大量生産型」を脱せたワケ から続く

 日韓中から33人ずつ99人を集め、9人組ガールズグループのデビューを目的とするK-POPオーディション番組『Girls Planet 999』(以下『ガルプラ』/ABEMA・金曜20時20分)。エピソード6~7にかけて行われたコンビネーションミッションを経て、参加者は26人にまで絞られた。そのなかにはデビュー経験者が11人も含まれるように、もはや精鋭揃いだ。

 エピソード9~10では、参加者は3つ目の関門であるクリエーションミッションに挑んだ。ここでは、このために創られた4つのオリジナル曲をそれぞれのチームに分かれてパフォーマンスする。もっとも優れていたチームには、視聴者投票の最後24時間に得票が2倍になるベネフィットが与えられる。

 現場で審査する少女時代のティファニーは、始まる前にこう述べた。

「これまでは実力を見てきましたが、今回からは創造(創意)力が重要です」

 ダンスやヴォーカルの実力はもはや前提とされ、ここからは個々人がどう表現するかがポイントになる。

大きな注目を浴びる“浪人生アイドル”

 このオーディションに参加しているスー・ルイチーは、初回から大きな注目を浴びている。中国勢としては、シェン・シャオティンに次ぐ人気を維持してきた。

 彼女は四川省成都出身の21歳だ。中国では少数民族のムスリム・回族である。2018年10月に中国で5人組グループ・Chic Chiliのメンバーとしてデビューもしている。だが、グループはヒットしたわけでもなく、2020年以降の活動はほとんど目立たない。

 その一方で、ルイチー個人は中国で多くの衆目を集めてきた。オーディション番組に複数回チャレンジしてきたからだ。

 最初は、2018年4~6月に放送された『創造101』だった。『ガルプラ』の前身である『PRODUCE 101』の公式中国版だ。当時17歳だったルイチーは、すでに芸能プロダクションに所属していた。

 このオーディションで、ルイチーは順調にミッションをクリアして勝ち上がっていく。番組で大きく目立つことはなかったが、ダンスを中心に技術力は当時から安定していた。とくにテイラー・スウィフト「Look What You Made Me Do」を課題曲としたパフォーマンスでは、その身体能力を発揮して強い輝きを放った。

 ファイナルひとつ前の段階で25位となって脱落したが、他の参加者のキャラクター性ばかりが目立ったこのオーディションにおいて、堅実に実力で勝ち上がっていった印象がある。

 次にルイチーがオーディション番組に参加したのは、それから2年後のことだった。『創造101』の続編である『創造営2020』だ。2020年5~7月に放送されたこの番組では、前回脱落した他の参加者とともに“浪人生”として再び挑んだ。

ラップと高音パートを同時に務め、それを見事にクリアするも...

 ルイチーは、このときも順調に勝ち上がる。さらに2年前と違い、存在感も十分に示した。とくに前回突破できなかった3段階目のミッションでは、ライブ会場の投票でチーム1位になるほど注目される。ラップと高音パートを同時に務め、それを見事にクリアしたからだ。それまでのオーディションで、ルイチーがもっとも輝いた瞬間だった。


 しかし、彼女はここでもデビューを逃した。スタートから常に11~13位と上位を維持したものの、このときのデビューグループのメンバー数は7人だった。『プデュ』シリーズは11人グループを多くデビューさせてきたが、このときだけは例外だったのだ。最終11位のルイチーは、またもや涙をのんだ。

「自分が思うほど才能があるわけじゃないと感じて……」

『ガルプラ』が始まったのは、それから1年3ヶ月後のことだ。

 ルイチーは今回も順調に勝ち上がっている。そして今回、3つ目の関門であるクリエーションミッションに臨んだ。ここでルイチーが挑んだのは、ムーンバートン(EDMの一種)の楽曲「Snake」のパフォーマンスだ。表題どおり、蛇のように相手を挑発する強めの曲だ。

 7人で演じられるこのパフォーマンスにおいて、当初ルイチーはメインヴォーカルを担当していた。しかし中間評価において、現場で審査するK-POPマスターたちから、フー・ヤーニンとポジションを変更することをアドバイスされる。ルイチーのヴォーカルがやや不安定だったからだ。

 練習段階でトレーナーがこうした提案をおこなうのは、K-POPオーディション番組では珍しくない。それは、あくまでもチーム全体のパフォーマンスをより良くするためで、受け入れるかどうかは本人たちしだいだ。

 ルイチーはこの提案にとても気落ちし、当初はメインヴォーカルを譲ろうとしなかったが、渋々ポジション変更を受け入れる。しかしその後も練習に集中できず、他の中国勢から幾度となく説得された。

 ただ、彼女が落ち込んでいたのは、単に自分が望むパートをできなかったからだけではない。ルイチーは嗚咽しながら自分の思いをメンバーに打ち明けた。

「今日の出来事で、自分が思うほど才能があるわけじゃないと感じて……」

 自信を持って臨んだメインヴォーカルをダメ出しされたことに、彼女は強いショックを受けていた。しかも、今回は3回目のオーディション番組だ。デビューにかける思いは、人一倍強いはずだ。


 昨年参加した『創造営2020』でも、ルイチーは似たような場面で涙を流している。

ひたすら真面目で、バラエティ企画で目立たない

 最初のミッションで精鋭揃いのチームに入った彼女は、メインヴォーカルを決めるためのテストで選ばれなかった。このとき、ルイチーは涙を流しながらこう話している。

「ずっと自分はけっこう実力がある方だと思っていましたが、メンバー全員が選りすぐりの場合、本当はすごくないんじゃないかと思い始めました」(『創造営2020』エピソード3/2020年5月16日)

 もともとスー・ルイチーは、感情をあまり表に出さないタイプだ。こうしたオーディション番組の参加者の多くは、ノリが良くて明るいタイプが多いが、彼女は口数は多くなく表情もあまり変わらない。年齢のわりには落ち着いている印象だ。

 それは過去のオーディション番組でも同じだった。3年前の『創造101』で印象的だったのは、控室で他グループのパフォーマンスを観ているときの光景だ。周囲が大盛り上がりするなか、彼女はひとり立ち上がって一心不乱に振り付けを真似していた。

 それもあって、ミッションの合間に挿入される、参加者のキャラクターに注目するようなバラエティ企画ではまったく目立たない。中国版『プデュ』でも今回の『ガルプラ』でも、そうした際はいつも後ろの方で静かに佇んでいる印象が強い。ざっくり言えば、ひたすら真面目でノリが悪いタイプだ。実力に秀でている彼女が中国版『プデュ』でデビューを逃したのは、おそらくこの側面の影響が大きい。

 昨年の『創造営2020』では、13位に入って勝ち上がった2回目の順位発表で、こんなスピーチをしている。

「私は口下手です。あるひとにこう聞かれました。『ステージ裏のあなたはどういう人ですか?』と。そのとき、私は青春をすべて練習室で過ごしたと気づきました。今年20歳ですが、レッスン歴は4年半です。小さいときからずっと練習していました。ステージに立っているか、練習をしているかです。自分がどんな人かと言えば、私はとにかく熱血で、ステージを愛し、そのために生まれてきた人間です。ステージで自分を証明したいです」(『創造営2020』エピソード7・Part1/2020年6月13日)

 スー・ルイチーが、とてもストイックかつ情熱的なタイプであることがうかがえる発言だ。だからこそ自信もあるが、その一方で壁にぶつかるとひどく落ち込んでしまう不器用さも同居している。

注目は「調整型リーダー」の日本人参加者・坂本舞白の存在

『ガルプラ』のクリエーションミッションにおいて、ルイチーの「Snake」チームは結果的に勝つことはできなかった。キリングパートを務めるシェン・シャオティンを中心としたパフォーマンスの水準はとても高かったが、ルイチーとメインヴォーカルを交代したフー・ヤーニンが高音パートで音を外してしまった。

 後にストリーミングサービスで公開されたレコーディング音源でも、ヤーニンが高音パートを上手く歌いきっているとは言えない。ルイチーが十分に歌いきれたかどうかはわからないが、結果だけを見ればK-POPマスターの助言が良くない方に転んでしまったことになる。


 このミッションで勝ったのは、坂本舞白をリーダーとする「U+Me=LOVE」チームだった。ここには敗者復活で残った3人が含まれ、また人数制限で「Snake」チームから放出されたふたりも後から加わった。よって、メンバー個々の実力や人気では「Snake」チームに劣っていたかもしれない。

 だが、「U+Me=LOVE」チームはいっさいミスをせず、パフォーマンスも非常に調和していた。勝者とするのは極めて妥当で、チームとしてのまとまりが良い結果につながったと言える。

 そこで注目されるのは、やはり坂本舞白の存在だ。これまでの3回のミッションすべてで彼女はリーダーを務め、そして全勝した。特段にリーダーシップが際立っているわけではないが、周囲の強い信頼からうかがえるのは彼女の優れた調整力だ。もしかするとルイチーのような不器用なタイプに必要なのは、坂本舞白のような調整型のリーダーなのかもしれない。

 

 そして、先週公開されたエピソード11ではファイナリスト18人が発表された。結果、順位は大きく変動した。得票が上位と下位で極端に割れた日本勢は4人、中国勢は5人しか残らなかった。スー・ルイチーも順位を落とし、デビュー圏外の10位に後退した。中国勢ではフー・ヤーニンが急伸し、彼女を上回って8位に入った。一方、日本勢が票割れした結果、僅差で競っていた韓国勢は(敗者復活も含めて)9人全員が勝ち上がることとなった。

 22日の最終回では、ついにデビューメンバー9人が発表される。今度の投票は、日韓中を区別せずひとりだけだ。そしてこれまでと同様に、韓国票50%:グローバル票50%でポイント計算がされる。前例のない方式での投票は、18日の中間発表において上位8人を韓国勢が占めるという意外な展開を見せている。最終的にどのような結果になるかまったく予想できない──。

(松谷 創一郎)

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