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藤井聡太竜王から伊藤匠四段へ…将棋界の「最年少棋士」の系譜とは

文春オンライン / 2021年11月18日 11時0分

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現在の現役最年少は、伊藤匠四段(19)。先月は、新人王戦で優勝を果たした 写真提供:日本将棋連盟

 史上初の中学生棋士である加藤一二三九段がプロ棋士としてデビューしたのは1954年。当たり前だが当時の現役最年少棋士である。そして先日、第52期新人王戦で優勝した伊藤匠四段は、現在の現役最年少棋士だ。棋士番号64の加藤から棋士番号324の伊藤まで、「現役最年少」を経験した棋士は48人いる。

永世称号有資格者はほぼ現役最年少

 なお加藤九段以前は、終戦直後のごたごたもあって、はっきりとした昇段日が不明な棋士もいるし、また戦前は四段からプロという基準が現在ほど明快ではなかったので(三段以下でも新聞棋戦を指しているケースなどがある)、どこまでが最年少と言えるかは難しい。

 ただ木村義雄十四世名人、塚田正夫名誉十段、升田幸三実力制第四代名人、大山康晴十五世名人の超レジェンド4名は、プロデビュー時に現役最年少だったといって問題ない。そして木村十四世名人以降の永世称号有資格者は、佐藤康光九段(永世棋聖有資格者)をのぞいて、みな現役最年少の経験がある。

「栴檀は双葉より芳し」が将棋界の常だが、歴代の現役最年少棋士がどのような実績をあげたのか、見ていきたい。

現役最年少ながらA級八段になった「神武以来の大天才」

 まず、現役最年少の期間がもっとも長かったのは誰かというと、これは加藤九段がダントツである。1954年8月1日が加藤の四段昇段日だが、それ以降、加藤より年下の棋士が初めて誕生したのは1962年4月1日。高島弘光八段が四段昇段した日だが、加藤は実に7年8ヵ月も現役最年少の棋士だったことになる。

 この時の加藤はすでにA級八段で、タイトル挑戦も2回あった。現役最年少の棋士が順位戦A級に在籍していたのは加藤を除いて例がない。また加藤と同学年で、次いで棋士になったのは内藤國雄九段(誕生日が2ヵ月ほど加藤より早い)だが、内藤が四段昇段した1958年10月1日の時点で、すでに加藤はA級八段だった。まさに「神武以来の大天才」である。

 加藤の次に長いのは森安秀光九段(1968年4月1日~1972年4月1日)と藤井聡太竜王(2016年10月1日~2020年10月1日)で、両者ともにちょうど4年間。以降は谷川浩司九段(1976年12月20日~1980年7月2日)、渡辺明名人(2000年4月1日~2003年10月1日)、阿部光瑠六段(2011年4月1日~2014年10月1日)と続く。当たり前だが中学生棋士の名前が並ぶ。

現役最年少でタイトルを獲った屋敷、藤井

 もう一人の中学生棋士である羽生善治九段は、現役最年少の期間でみるとそれほど長くない(1985年12月18日~1987年5月13日)。代わって現役最年少となったのが、終生のライバルともいうべき森内俊之九段である。

 では、それぞれの棋士が最年少の時期にどれだけの実績をあげたのかを見ていこう。その期間中にタイトルを獲得したのは、屋敷伸之九段と藤井竜王の2人しかいない。屋敷九段が初めてタイトルを獲得したのが1990年8月の棋聖戦。18歳6ヵ月での獲得は、前年に羽生九段が竜王奪取した19歳を更新する、当時の最年少タイトル獲得記録だった。

 その記録を藤井が30年ぶりに更新したのは記憶に新しい。2020年7月の棋聖戦、8月の王位戦で立て続けにタイトルを奪取し、二冠王となる。この直後に伊藤四段がデビューしたことで、藤井は現役最年少ではなくなるが、最年少時に二冠奪取も当然ながら前代未聞、あるいは空前絶後かもしれない。

羽生を震えさせた男

 最年少でのタイトル挑戦は、屋敷と藤井の他に、加藤九段と渡辺名人が実現している。加藤が初めてタイトル戦の舞台に立ったのは1960年の第19期名人戦で、大山康晴名人に挑戦した。20歳3ヵ月での名人戦登場は史上最年少記録であり、これは藤井をもってしても更新できない。また62年の王将戦でも大山に挑戦しているが、最年少時代にタイトル戦へ2回出たのも屋敷、藤井、加藤だけである(なお屋敷は4回で、これが最多)。

 渡辺のタイトル初挑戦は2003年の王座戦。当時王座戦を11連覇していた羽生王座への挑戦だった。五番勝負の第3局を終えた時点で2勝1敗と羽生を追い詰めたが、そこから羽生が底力を見せて惜しくもタイトル奪取はならず。最終第5局で羽生が勝ちを決める着手を指す時に手が震えたことから、渡辺は「羽生を震えさせた男」とも言われた。その後、羽生は王座戦の連覇記録を19まで伸ばすが、20連覇を阻止したのが渡辺である。

「自分も少しでも追いつければ」

 一般棋戦での優勝達成者は、加藤九段(55年度の六、五、四段戦)、米長邦雄永世棋聖(64年度の古豪新鋭戦)、谷川九段(78年度の若獅子戦)、塚田泰明九段(83年度の早指し新鋭戦)、森内九段(87年度の新人王戦)、屋敷九段(91年のオールスター勝ち抜き戦)、糸谷哲郎八段(06年度の新人王戦)、藤井竜王(17年度の朝日杯)、伊藤四段(21年度の新人王戦)となる。

 こうみると、藤井竜王の将来の好敵手として、やはり伊藤四段に期待したくなる。新人王戦で優勝した直後の共同インタビューでは「やはり同い年の藤井さんの活躍はいつも刺激になっています。タイトル戦で戦いたいという気持ちはありますが、実力差があるので棋譜を見て勉強させていただいている状況で、自分も少しでも追いつければと思っています。藤井さんが活躍されているので、自分ももっと勉強しなければならないという気持ちになります」と語っている。

 新人王戦決勝を戦った古賀悠聖四段、加古川青流戦で優勝した服部慎一郎四段など、近い世代に好敵手は多く、お互いに刺激し合って、藤井竜王に挑んでもらいたいと思う。

(相崎 修司)

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