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「この曲を歌えるのは私だけ」小泉今日子を“誰よりも突き抜けたアイドル”に至らしめた「最強のアイドルソング」の正体

文春オンライン / 2024年8月31日 17時0分

「この曲を歌えるのは私だけ」小泉今日子を“誰よりも突き抜けたアイドル”に至らしめた「最強のアイドルソング」の正体

1980年代、「打倒・おニャン子」を目指して作られた、小泉今日子の大ヒットナンバーとは? ©文藝春秋

「おニャン子に負けない、もっと強いインパクトのある曲を作ること。それがテーマになりました」

 1980年代、素人らしさを武器にし、人気を集めていたおニャン子クラブ。そんな彼女たちを脅威に感じた、小泉今日子チームが“カウンター”として作った「最強のアイドルソング」とはいったい? 構成作家のチャッピー加藤氏による小泉今日子の研究本『 小泉今日子の音楽 』(辰巳出版)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/ 後編 を読む)

◆◆◆

おニャン子旋風へのカウンター「この曲を歌えるのは私だけ」

――例えば、みなさんがよく私の代表曲に挙げてくださる『なんてったってアイドル』なんて本当に歌うのがイヤでしたから。「またオトナが悪ふざけしてるよ」って(笑)。ただ、客観的に見て「この曲を歌えるのは私だけだろう」っていう自信はあったし、そういう周囲の期待を感じてはいた。だから歌う。なんかいつもそういう感じなんです。(サイト『NIKKEI STYLE』2012年4月2日より)

「小泉今日子の代表曲」というよりも、もはやこの曲は「80年代という時代を象徴する曲」と呼ぶべきかもしれない。

 現役トップアイドルが「♪アイドルはやめられない Yeah!」と高らかに歌い上げ、アイドルは“清く正しく美しく”アイドルを演じているんだ、ということまでぶっちゃけてしまった『なんてったってアイドル』。

 引用した小泉のコメントは、デビュー30周年(2012年)のときのものだが、同じ内容のコメントを目にし、耳にした方も多いだろう。リリースから40年近くが経過した最近のインタビューでも、小泉はこの曲についてまったく同じことを語っている。

 注目は「客観的に見て『この曲を歌えるのは私だけだろう』っていう自信はあった」という部分だ。これは田村Dとともに「今までのアイドルがやっていなかったことをやろう」「とにかく面白いことをしよう」と、道なき道を突き進んできた小泉だからこそ言える言葉である。先駆者であり続けることは相当にシンドいことだ。

 別なところでは「そりゃ私だって、聖子さんみたいな曲を歌いたかったですよ」と本音をチラリと語ったこともある。こういう曲を歌うのは自分だけで十分、とも。

 だが小泉は、期待には全力で応える人だ。「私が歌うしかないよね」と腹をくくって、フルスロットルでこの曲を歌った。彼女は19歳にして“時代を背負う覚悟”があった。

『なんてったってアイドル』なぜ生まれた?

 新路線に舵を切った『まっ赤な女の子』から2年半。その集大成であり、1つの頂点ともいえる『なんてったってアイドル』はどうして生まれたのか?

 1985年発売のアイドル楽曲で、田村Dが大きな衝撃を受けた曲は『卒業』以外にもう1曲あった。7月発売、おニャン子クラブのデビュー曲『セーラー服を脱がさないで』である。

〈田村D「斉藤由貴さんが出てきたと思ったら、半年経つと今度は『おニャン子』になるんですよ。日本って本当に、今まで主流だったものがすぐにコロッと変わる国だなって思いました。だって『セーラー服を脱がさないで』っていう曲を、素人の女の子たちが歌って踊るんですから、やっぱり衝撃的じゃないですか。楽曲自体も、おニャン子という素材自体も新しくて面白いし、番組も面白いなと思いました」〉

 フジテレビ系列で、1985年4月から1987年8月まで放送された『夕やけニャンニャン』。深夜に現役女子大生たちが出演して人気を呼んだ『オールナイトフジ』(1983年4月開始)の女子高生版を作ろうということで始まった、平日夕方5時から放送の生番組である。

 スタジオには「学校が終わって、そのままスタジオに来ました」という感じの(実際そうだった)女子高生たち=おニャン子クラブのメンバーがいて、レギュラー陣のタレントたちとさまざまな企画に挑戦するバラエティ番組だった。

 番組内には『アイドルを探せ』というオーディションコーナーも設けられ、合格者はおニャン子クラブの新メンバーとしてレギュラー出演できるシステムになっていた。

 選抜基準は「ちょっと気になる可愛い同級生」。おニャン子のメンバーにとって番組出演は部活のノリで、学業優先がルールだったので「○○ちゃんは期末テストがあるので、今日はお休みです!」なんてこともしょっちゅうあった。

 そんな、既存のアイドルにはなかった身近さが若い男子たちの心をワシづかみにして、イベントにはファンが殺到。デビュー曲『セーラー服を脱がさないで』はいきなりオリコン最高5位を記録した。その後、おニャン子クラブのメンバーは河合その子を皮切りに続々とソロデビュー。順繰りにオリコン1位に輝き、チャートを席巻することになる。

テーマは「打倒・おニャン子」

 前にも記した通り、小泉は“普通の子”をコンセプトにここまで突き進んできたが、リアルな“普通の子”が、彼氏とのHにまつわる曲を集団で歌ってヒットさせたのだから、田村Dが脅威を感じたのも当然である。「おニャン子に負けない、もっと強いインパクトのある曲を作ること。それがテーマになりました」。

 また小泉の新曲は、富士フイルムとのタイアップが先に決まっていた。ならば、より強いものが作れる人を――田村Dが依頼したのは筒美京平と、なんと秋元康だった。

 秋元はご存じの通り『セーラー服を脱がさないで』を作詞した当人である。と言うと『卒業』を聴いて松本・筒美コンビに新曲を依頼したときと同じ作戦か? と思われるかもしれないが、そうではなく、実は田村Dと秋元の間にはあるつながりがあった。『夕やけニャンニャン』にもレギュラー出演していた、とんねるず(石橋貴明・木梨憲武)である。

〈 紅白には筋肉ムキムキ「脳みそムキ出しスーツ」で登場…『なんてったってアイドル』で「おニャン子」を打ち負かした“小泉今日子のスゴさ” 〉へ続く

(チャッピー加藤/Webオリジナル(外部転載))

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