「子育ての価値観は昔の日本のまま」なのに“共働きが前提”…子育て中のお母さんばかりが「ハードモード」な納得理由【解決策も紹介】
文春オンライン / 2024年9月26日 11時0分
写真はイメージ ©getty
〈 「無理をしても誰も幸せにならない」体調不良になるほど“子育てに真剣なパパ&ママ”に知ってほしいこと 〉から続く
なぜ日本は子育てしづらいのか? なぜ母親ばかりがつかれてしまうのか…。そんな子育てにまつわる悩みと解決策を、小児科医の成田奈緒子さんと、公認心理士の上岡勇二さんによる新刊『 パパもママも知っておきたい 子どもが幸せになる「8つの極意」 』(産業編集センター)より一部抜粋してお届けします。(全2回の2回目/ 前編 を読む)
◆◆◆
生活は変わっても子育ての価値観は昔のままの日本
アメリカなどの欧米諸国では、夜の時間は大人のもの、という考え方が浸透しています。子どもだけをさっさと寝かせて、大人はリビングでパーティーをして盛り上がっていたり、ベビーシッターに乳児を預けて夫婦が演奏会などに出かけたりするのも当たり前です。だからといって、子どもに対して愛情がないわけでは、もちろんありません。
日本は、生活はすっかり欧米化しているのに、子どもとのかかわり方は旧態依然としています。子どもが3歳になるまでは母親がそばを離れず子育てに専念すべきだとの「3歳児神話」の精神はいまだに日本人のなかに根強く残っています。
一方で、経済状況は悪化しているので、共働きが前提の社会になりつつあります。つまり、生活や働き方は欧米化しているのに、子育ての価値観は昔の日本のまま、という矛盾が生じているのです。これでは、子育て中のお母さんはつらくなるばかりです。
夫婦二人だけの時間を楽しもう
日本では女性が子育てで無理を強いられるケースが多いですが、欧米の女性のように、自分が楽しむ時間も持つべきだと私たちは考えています。
また、一人で楽しむ時間も大事ですが、夫婦が共に楽しむ時間をつくることも強くおすすめします。
子育てをメインで担っているほうは、どうしても世界と視野が狭くなりがちです。
子どものことばかりを考えて、頭の中が不安でいっぱいになっているパートナーを、もう片方が違う世界へ連れ出してあげてほしいのです。
たとえば、結婚前や出産前に二人で楽しんでいたことを再開したり、当時の思い出話をしたりする時間をとるといいですね。そのような安らぐ時間があるだけで、子育ての不安は激減しますし、夫婦の良好な関係性も保ちやすくなります。
子どもを誰かに預けて夫婦二人で映画を1本観に行くだけで、どれほど不安な気持ちが和らぐでしょうか。その価値を、声を大にして伝えたいです。
「でも、子どもを預けるのにも、お金がかかるしなぁ……」と思った人も、きっといるでしょう。
もちろん、ベビーシッターを頼めばお金はかかります。公的な補助や、一時預かりなどの公的な制度を利用するとしても、それなりに費用は必要になるはずです。
しかし、思い出してください。
子育ては長期戦なのです。「ちょっと我慢すれば終わる」ような生やさしいものではありません。
長い道のりだからこそ、定期的にガス抜きをしていかないと乗り切れません。そのために使うお金は、決して無駄金ではないのです。
子育ては最初の5年が大変
特に、子どもが生まれて最初の5年は、積極的に親の休息とリフレッシュのためにお金を使うべきです。
子育ての最初の5年間は、とにかく大変な時期です。慣れない子育てに親は手を焼きますし、授乳に夜泣きに離乳食にオムツ替えにトイレトレーニングと、とにかく手がかかります。しかも、子どもの脳の基盤となる「からだの脳」をしっかり育て上げるべき時期でもあります。
この時期に無理をすると、親御さんの心身にも、そして夫婦の仲にも悪い影響が及びかねません。後になって苦労しないためにも、この5年間はとにかく親が無理をしないために、休んだり、リフレッシュしたりするためにお金を使うことが大事です。
それは、シングル家庭でも同様です。
そのための予算は、実際に子育てにかかるお金とは別に積み立てておくといいでしょう。夫婦二人の稼ぎから、それぞれ幾分かずつを、「リフレッシュ費用」とでも称して、プールしておいてほしいのです。なお、その負担はきっちり半分ではなく、子育てをメインで担うほうを少なめにしてあげるとバランスがとれやすく、不満もたまりにくいでしょう。
そして、夫婦が二人で出かけるときに子どもを預けるための費用や、子育てをメインで担うほうがときどき一人で旅行に出かけるための費用などに使うといいでしょう。子どもが急に熱を出して、ベビーシッターを頼まざるをえないときなどの費用にしてもいいですね。
親自身がしっかり休むことで、心に余裕を持って子育てができるようになります。
親も子もしっかり休んで、よい脳を育みましょう。
(成田 奈緒子,上岡 勇二/Webオリジナル(外部転載))
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