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「腕をザクザクに切りすぎてフーゾクをクビになりました」15歳で売春を始め新宿の夜に立ち続けた女性(21)の“壮絶人生”

文春オンライン / 2024年9月22日 11時0分

「腕をザクザクに切りすぎてフーゾクをクビになりました」15歳で売春を始め新宿の夜に立ち続けた女性(21)の“壮絶人生”

©深野未季/文藝春秋

 子供の頃からリストカットと薬の過剰摂取、自殺未遂を繰り返してきたという麻衣さん(仮名・21)。15歳で売春を始め、新宿の立ちんぼとして生きざるを得なかった彼女の背景には一体何があったのか。アームレスリング世界王者で5児のシングルマザーの山田よう子さんと歌舞伎町で出会い、真っ当に生きようともがく麻衣さんの体験談を通して考える、学校にも家にも居場所がない子供たちに“一番必要なこと”。(全2回の前編/ 続き を読む)

◆◆◆

「大人という存在は全員、敵」

——初めてリストカットしたのはいつですか。

麻衣 小学生の頃から、手の甲にペンを刺していたんです。刺して、引っ掻いて、それでも物足りなくて、カッターで切り始めました。でも、手の甲だと目立つから、腕に移行して。

——どうして手の甲にペンを刺したんですか。

麻衣 授業中の眠気覚まし。夜、眠れないから。

——不眠の原因は?

麻衣 学校に馴染めなかった。小学1年の頃から男子に陰口を言われていました。3、4年になると、担任の先生もいじめに加担するようになったんです。「いじめられるのは、お前が悪いからだ」と言われて、クラスメート全員の前で怒鳴られたり、廊下に正座させられたりしました。

——誰か相談できる人は?

麻衣 いませんでした。むしろ大人という存在は全員、敵。学校が毎日のように「今日も麻衣さんはこういう失敗をしました」という電話を親にかけてくるんです。親からの虐待も酷くて、殴られる、蹴られる、暴言吐かれるのが当たり前でした。

——ご両親は腕の傷に気づきましたか。

麻衣 最初、母親はヒステリー起こしてましたね。「病院! 病院!」って叫んでたけど、「お前が原因だろう!」って抵抗したら、殴られました。本末転倒な話。

——父親は?

麻衣 腕の傷どころか、父親には骨を折られました。かかと落としをされて、右手の骨が割れたんです。11歳くらい。当時ピアノを習っていて、発表会の直前だったので、保険証を持って病院に駆け込みました。病院には正直に「父親に蹴られた」と言ったけど、「児童相談所(以下、児相)には絶対に言わないで」って念押しもしました。変な施設に連れて行かれるのが嫌だったんです。

リストカットは「ちんって落ち着く」

——中学に入学して、状況に変化はありましたか。

麻衣 中学ではバレーボール部だったんですけど、腕の傷が凄まじすぎて、ボールに血が付くのはしょっちゅう。包帯巻いて、その上からサポーターを付けていたけど、それでも血が滲んでくる。バシュッ、ボン、ドピュッみたいな。13歳の時から切ってて、この傷は8年選手。二の腕だけじゃなくて、脇腹も、太腿も切っています。

——切る時、怖かったり、痛かったりしない?

麻衣 怖くもないし、痛くもない。ちんって落ち着く。

——親身になってくれる先生はいましたか。

麻衣 当時の技術の先生とは未だに繋がりがあります。技術室の掃除をしている時、男子と本気で喧嘩して、蹴り合いになったことがあったんですよ。それを先生が止めてくれて、「落ち着け」って言われた瞬間、ダ——ッと泣いてしまって。これまで、「ご両親は優秀なのに、何であなたはこんなになっちゃったんだろうね」って言うような先生ばかりだったんで。

——その技術の先生が唯一の救いでしたね。

麻衣 飲酒や喫煙したり、バイクを乗り回したり、自分は中学生くらいから非行に走ったから、警察から身柄を送られたりして、3回くらい児相に行きました。人間性を尊敬できない大人しかいませんでしたけど。

児相で自殺に失敗、脱走して海に…

——“保護”してくれる場所ではなかった?

麻衣 他の入所者との会話は基本的に禁止で、スマホも使えないし、私物が一切禁止で下着まで全部没収されます。それで、児相から支給されたダサい下着を着るしかない。プライバシーなんてあったものじゃないですよ。児相もケースワーカーも入所者を早く返したがるけど、どうしても出戻りが多いです。根本解決にはならないですよね。児相に入ったら、本当にメンブレします。

——メンブレとは?

麻衣 メンタルブレイク。もう居心地悪くて仕様がないから、2回脱走してます。服の袖を使ってカーテンレールで首を吊ったけど、失敗したから、窓をこじ開けて脱走しました。近くに海があったから、ガチで飛び込んだんです。時期は3月か4月くらい、低体温で死にかけたけど、海上保安庁の巡視船に救助されてしまいました。

1瓶84錠を一気に飲んで

——中学卒業後は?

麻衣 高校に進学したものの、3カ月で退学になりました。前日の夜にスト缶(アルコール度数9%の缶チューハイ「ストロングゼロ」)を5、6本飲んで、潰れて寝たんです。朝起きて、咳止めの薬でさらにパキッた(過剰摂取)のが悪かったかも。

——どうして薬まで飲んだんですか? 

麻衣 すごくハイになれるから。この時は2瓶ぐらい飲んだので、学校でぶっ倒れました。1瓶84錠を一気に行きます。

——嘘でしょ?

麻衣 マジです。

——水で流し込むんですか?

麻衣 酒です。

——喉詰まらない?

麻衣 10錠ぐらいに分けて、スト缶で流し込みます。咳止めには大量のカフェインが入ってるから、すごいハイになって、何しでかすかわかんない。

——病院に担ぎ込まれる?

麻衣 病院に連れて行かれると、点滴されて、鼻から管を入れられて、吐かされます。胃洗浄したら楽にはなるけど、自分としてはぶっ飛んでいたいから、勘弁してくれって思います。

——ぶっ飛んでいると、辛いことを思い出さずに済む?

麻衣 うん。

——高校を退学になって、ご両親の反応は?

麻衣 すごいブチ切れてました。何て言われたのかは覚えてないです。その時も、薬を大量に飲んでいたので、全然記憶にありません。

15歳から「1回、2万円とかで」

——その後はどう過ごしてました?

麻衣 しばらくブラブラしてて、新宿の歌舞伎町で遊び回ってました。自宅は関東近郊だけど、実質は歌舞伎町に住んでるようなものだったし。ホストクラブに行ってみたり。初回は3000円で行けますよ。自分は最初は無料で行って、沼っちゃって(ハマっちゃって)。トータルで300万~400万円使ったかな? 全部、立ちんぼして稼いだお金です。

——初めて売春したのはいつですか。

麻衣 16歳かな? でも、ウリ自体は15歳からやってました。SNSに、「jc3」(女子中学3年)とか、「jk1」(女子高生1年)とか入れると、違法とわかってて、ロリコンが大量に寄ってくるんです。1回、2万円とかでやってました。

——怖い目に遭わなかった?

麻衣 性病をもらったことあります。痛いことは、しょっちゅう。準備ができていないのに無理やりとか、強引にされて苦しくて吐いちゃったら、殴られたり。究極は薬を盛られたこと。すっごい気持ち悪いし、ふわふわするし、客が帰った後に、大量の水を飲んで身体から出しました。

風俗店のトイレで腕を切って血まみれに

——いつもSNSで客を募ってたんですか?

麻衣 17歳の時、違法の風俗店にいたことがあります。1カ月で辞めましたけど。腕をザクザクに切りすぎて、お店のトイレを血まみれにして、クビになりました。「普通に迷惑だから」って。

——ストレスを感じていたんですか。

麻衣 女子同士の関係が嫌だったんです。デリヘル時代は、先輩に妬まれることもありました。入店して1カ月でナンバー入っちゃった(好成績を上げた)ので。自分はトークで売ってたんですよ。写メ日記とかも結構面白いって言われてました。テクニックもそこそこだったらしいです(笑)。

撮影 深野未季/文藝春秋

〈 「初めてがレイプでした」「親をボコボコにしました」どん底だった新宿の立ちんぼ(21)の“人生を取り戻した出会い” 〉へ続く

(「文春オンライン」編集部)

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