『SHOGUN』でもなく『TOKYO VICE』でもなく…近未来の京都を舞台にした西島秀俊出演のドラマ『サニー』を見たか《製作はA24》
文春オンライン / 2024年9月24日 11時0分
今、ハリウッドで“日本”が旋風を巻き起こしている。第76回エミー賞で最多の25ノミネートを記録した真田広之主演・プロデュースの『SHOGUN 将軍』、渡辺謙出演、巨匠マイケル・マンが製作総指揮に名を連ねる『TOKYO VICE』など日本を舞台にしたドラマが立て続けにヒットしている。これらの作品に共通するのが“本物志向”だ。前者は日本からわざわざ時代劇のスタッフを呼び寄せ、後者は“世界で最も撮影が難しい都市”東京でロケを敢行した。一昔前のような過剰にデフォルメした「似非(えせ)日本」ではなく、日本人が見慣れた「本当の日本」を目の肥えた海外のドラマファンが味わう時代を迎えているのだ。
そうした中で今、最もトンガった作品を送り続ける気鋭の制作スタジオ「A24」が目を付けたのも日本だった。近未来の京都を舞台にしたドラマ『サニー』(AppleTV+で配信中)。出演は西島秀俊、國村隼、YOUなど。ロボットを生産するハイテク企業に勤める夫(西島秀俊)と息子を不慮の事故で失った米国人の妻が、夫が残したペッパーくん風のロボット「サニー」と共に謎や陰謀に立ち向かっていくサスペンスコメディだ。
A24の作品はこれまで見たこともない異色の作風が持ち味。本作も期待を裏切らない。OPタイトルの曲はなんと渥美マリ『好きよ愛して』。劇中歌も「♪しとしとぴっちゃん」の『子連れ狼』や和田アキ子『どしゃぶりの雨の中で』が流れる。昭和歌謡が“近未来なのに懐かしい”レトロフューチャーの世界観を際立たせる。夫婦の出会いの場はおひとり様ラーメン店「一蘭」。義母を演じるジュディ・オングとの「嫁姑バトル」も展開される。日本のホームドラマでよく見る掛け合いだ。日本のカルチャーを深く理解した上で巧みに物語に組み込む。ハイテクとポップと伝統が融合する国「日本」を再発見できる不思議な味わいの作品だ。
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『サニー』
tv.apple.com/jp/show/サニー
(佐々木 健一/週刊文春 2024年9月26日号)
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