「実に計算高い」兵庫県知事・斎藤元彦が「辞職」よりも「失職」を選んだ深いワケ
文春オンライン / 2024年9月26日 19時0分
“出直し選挙”に挑むと宣言した斎藤知事 ©️時事通信社
「知事の仕事をまだまだ続けさせていただきたい」
兵庫県の斎藤元彦知事(46)が9月26日、記者会見を開き、失職して出直し知事選に出馬すると明らかにした。
なぜ“失職”を選択したのか
「兵庫県議会は19日、斎藤氏に対する不信任決議案を全会一致で可決しました。これによって斎藤氏は、10日以内つまり29日までに議会を解散しなければ失職に追い込まれる状況でした。ただ、もう一つ29日までに辞職するという選択肢もありました」(県政担当記者)
そもそも「辞職」と「失職」はいったいどう違うのか。
「知事の座を追われるという意味では同じですが、実はその後の見通しが変わってくるのです。今回、斎藤氏は出直し選挙に挑むことを表明しましたが、もし当選した場合にその任期が異なってきます。『辞職』の選択をして再選した際は、任期は辞職前の残任期間である約1年しか得られない。
他方、議会を解散しなければ失職するというのは地方自治法で定められた『強制退場』であるため、そこで任期はリセットされる。つまり、『失職』から出直し当選の場合は、新たにフレッシュな4年間の任期を得ることができるのです」(同前)
どうせ辞めざるを得ないのならば、貰いの大きそうなほうを選ぶ――実に計算高いと言わざるをえないが、実際、過去にこの手法で成功を掴んだ首長がいる。
まさかの「失職→再選」を果たした“あの政治家”
「『脱ダム宣言』などで一時旋風を巻き起こした田中康夫・元長野県知事です。2002年に長野県議会から不信任決議を受けましたが、議会を解散せず失職して再出馬。再選を果たしました。ちなみに当時田中氏も、今回の斎藤氏と同じように、不信任決議後の10日間で地元のテレビやラジオに相次いで出演していました」(同前)
20年以上前のメディア戦略を令和の世に再現した斎藤氏。県関係者からは非難と困惑の声が上がる。
「不信任案は86対0で可決された。実質的な『クビ』宣告だったんです。民意を代表する県議会の総意を無視してぬけぬけと出直し出馬するなんて、責任を感じていないのでしょうか。県議さんたちも県職員もみんな怒っています」(県職員)
不信任決議から1週間。遅まきの決断にはこんな背景があった。
「当初、県議会で不信任案提出の機運が高まっていた時、知事は解散も匂わせていました。県議たちへの牽制でもあったのでしょうが……。しかし実際に不信任案が可決されてしまった以上、いざ解散すれば県議たちから『大義のない解散だ』『県議選の費用約16億円が無駄にかかった』などとネガティブキャンペーンを張られ続けることになる。そうなれば自分の出直しどころではなくなってしまうので泣く泣く解散を取りやめたのでしょう」(県議)
9月30日に自動失職した後、50日以内に知事選が行われる。斎藤氏の訴えは県民に届くのか。
(「週刊文春」編集部/週刊文春Webオリジナル)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
斎藤元彦知事が断念「議会解散」Xトレンド「水面下で駆け引き?」「出直し選挙、次は無理?」
日刊スポーツ / 2024年9月26日 13時42分
-
兵庫県の斎藤元彦知事、自動失職で出直し選挙へ…再選なら新たに4年の任期
読売新聞 / 2024年9月26日 10時53分
-
「田中康夫氏を思い出して!」不信任案成立でこんな意見が 斎藤元彦兵庫県知事は出直し選を選ぶのか
J-CASTニュース / 2024年9月19日 20時28分
-
選挙経費30億円超とも、知事選と県議選両方実施なら 斎藤知事不信任案可決
産経ニュース / 2024年9月19日 18時20分
-
玉川徹氏、兵庫県知事は「失職もあり得る」不信任案可決後の進退選択を推測 根拠にも言及
日刊スポーツ / 2024年9月19日 12時16分
ランキング
-
1捜査員に踏み込まれた容疑者、ホテル3階から飛び降り上半身裸の下着姿で逃走…神戸市垂水区
読売新聞 / 2024年9月27日 10時7分
-
2自民新総裁、午後に選出=石破氏14道県、高市氏9府県でトップ
時事通信 / 2024年9月27日 12時16分
-
3石破茂vs高市早苗「最終決戦」の行方…総裁選あす投開票“三つ巴の争い”も進次郎は脱落ムード
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月27日 9時26分
-
4麻生副総裁、決選投票に残れば高市氏を支持へ…岸田首相は別の候補を支持する意向
読売新聞 / 2024年9月27日 6時40分
-
5出直し兵庫県知事選挙、維新は独自候補擁立を検討…対決姿勢で批判回避狙う
読売新聞 / 2024年9月26日 22時27分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください