「家族を晒すも守るも私だ」母の認知症や姉のダウン症を赤裸々に書くにしおかすみこ(49)が両親からかけられた“意外な言葉”とは
文春オンライン / 2024年11月23日 11時10分
にしおかすみこさん ©文藝春秋 撮影・杉山秀樹
〈 「私も腹が立ったら『クソババア!』って」“ポンコツ”な家族との同居生活を4年続けるにしおかすみこ(49)の「我慢」との付き合い方 〉から続く
にしおかすみこさんが認知症&糖尿病の母、ダウン症の姉、酔っぱらいの父との暮らしを書いた『ポンコツ一家』は、大反響を呼び、web連載から書籍化。続編『 ポンコツ一家2年目 』も先日発売された。
しかし、家族の病気を赤裸々に発信することについては迷いもあるという。
第3回は、“家族を晒すも守るも私だ”という決意の真意、そして、ご家族と自分の今後についてお話を伺った。
◆◆◆
──“家族を晒すも守るも私だ”という言葉が印象的でした。ご家族のかたちを発表するのは難しいと思うのですが、ルールや線引きは決めているんでしょうか?
にしおか ちゃんとしたルールはないんですよね。1回1回「これはギリギリどっちだろう?」って悩んで、なるべくそのとき後悔しないようにと思いながら線引きしてます。何が正解かもわからなくて。
家族の個人情報だし、尊厳もあるじゃないですか。家族の残りの人生を生きづらくはしたくないけど、やっぱり綺麗事ではない部分もあるから。
「全国民に知られて、この先どうしたらいいんだ!」と最初は怒った母
──ご家族が『ポンコツ一家』の連載や本をご覧になることはありますか?
にしおか 連載の初回が出た夜に、たまたま父がネットニュースで見つけて、母にも伝わりました。私としては別に隠し事ではないし胸を張ってやってるお仕事だけど、わざわざ家族が知る必要はないんじゃないか。特に母は「そんなに娘に迷惑をかけているのか」と落ち込むかな……って気持ちがブレて、伝えていなかったんですよね。
――どんな反応だったのでしょう?
にしおか 母は最初「全国民に知られて、この先どうしたらいいんだ!」って怒っていました。私の文章にそんな影響力ないですけど(笑)。少し時間が経ってから「みんなから愛されるような文章になるといいね」と言ってました。母はもともと私を応援してくれるタイプなんですけど、父まで「役に立つようなことが書けるといいね」と言うようになって、これはちょっと“出来すぎ”だなと……。
――いつものお父様らしくないと。
にしおか 多分なんですけど、父はその発言も書かれると思って、好感度が高いことを言ったんだと踏んでいます(笑)。ただ、家にいるときのことを「あれ書かれるかな、これ書かれるかな」って思いながら過ごすのって普通は嫌なことだと思うので、背中を押してもらえたのはやっぱり感謝です。
──連載ではリアルタイムではなく1年前のことを書かれていますよね。それでも細かい描写やセリフの臨場感がすごいです。
にしおか 家族のセリフは盛りたくもないし、正しく伝えたいというのがあってつい細かくなっちゃいますね。でも、そのときは衝撃でも時間が経つとやっぱり忘れちゃうから、メモを残しておいて、それを元に思い出しながら書いています。
──内容も家族に起きた実際の出来事ですし、書くこと自体がしんどくなることはありませんか?
にしおか 書くのがしんどいことはそんなにないんですけど、連載の〆切を過ぎてるときはいつもしんどいかなぁ。ギリギリだと徹夜になっちゃうこともあるけど、49歳の徹夜ってきついんですよ……。本当に目がしょぼしょぼするし、体力続かないし、1年1年の老いを実感します(笑)。それでも続いてるのは「あ、やっぱ書くこと好きなんだな」って思いますね。
「1年前に腹が立ったことは、思い出してもやっぱり同じぐらい腹が立つんですよ(笑)」
――書くことで頭の整理ができる、ということもあったり?
にしおか よく言われるんですけど、1年前に腹が立ったことは、思い出してもやっぱり同じぐらい腹が立つんですよ(笑)。1年前わからなかったことはだいたい今もわからない。だから結局、そのまま、わからないと書きます。
パッと書けたことは1回もないですね。パソコンを開いてずっと止まったまま1文字も打たないで終わる日もあれば、ほとんどできたと思ったところから全部消すこともあるし。
──そんな苦労をして書かれた文章。読者からのどんな反応が思い出に残っていますか?
にしおか 中身は大変なことが多いけど、やっぱり笑ってほしくて書いてるから「笑った」が一番嬉しいです。
──今後については、どのぐらいリアルに考えているんでしょうか?
にしおか 家族それぞれの人生が「まんざらでもない」みたいな感じで送れたらいいなとは思ってます。「全員が大満足で幸せ!」っていうのはなかなか難しいから、どこで折り合いをつけるかを日々模索中です。でも模索してもたぶんわからないんだろうなと思いながら過ごしてます。
――東京を離れるなど犠牲にするものもあったかと思いますが、にしおかさんも今「まんざらでもない」と思えているのでしょうか。
にしおか うーん、私は仕事がそんなに忙しくなかったので、何かを捨てた感覚が実はないんですよね。今後、家族を見守るがために、私が何かを犠牲にしなければいけなくなったら別の方法を模索します。例えば自分は別の場所に引っ越して、何らかのサービスを利用するとか。
今後どういう選択をするかは全然わかんないですけど、今は実家でも好きなことができてるからいいんじゃないかっていう感じです。
――本当にそのときそのときで考えて進んで来られたんですね。
にしおか 人生計画を立てられるなら、もちろん立てた方がいいと思うんですよ。でも私、そもそも計画を立てられない人間なんです。だって大人になってからSMの女王様になるような人ですよ?(笑)
「とにかく、自分が元気なこと、自分の幸せを一番に考える」
――説得力がすごいです(笑)。以前「自分が認知症になったら」と想像することがあるとお話されていましたが、今も考えてしまうことはありますか?
にしおか それはやっぱり怖いですよねぇ……。考えないようにしようとは思ってるんですけど、誰がなるかわからないですからね。でも、みんな最後は何かしらで死にますから。更年期も始まっているのかホットフラッシュで急にのぼせたりすることもあるんですけど、それも考えても仕方ないし。って思えてるくらいの軽さで終わってくれと願います(笑)。ネガティブにしててもいいことないですからね。
──にしおかさんのその明るさは、多くの人を勇気づけていると思います。
にしおか いやぁ、私は今たまたま実家に住んでますけど、それが正解とも不正解とも思ってないんですよね。同じように家族に何かあった人は、遠くから見守るのも、施設を選択するのも、全部捨てて逃げるのも、一生懸命考えて選択したことだから、それが正解なんだと思います。「絶対こうしなきゃ」って決めるとしんどくなるから、「今はこうすることにした」ぐらいでいいんじゃないかなと。
とにかく、自分が元気なこと、自分の幸せを一番に考えるっていう「自分ファースト」が大事だと私は思ってるので、皆さんもそういうふうにして、元気でいてほしいなと思っています。
(佐々木 笑)
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