「お、俺、おじさんなの!?」香取慎吾が初めての“おじさん役”で受けた“カルチャーショック”
文春オンライン / 2025年1月4日 6時10分
11年ぶりにフジテレビで連続ドラマ主演を果たす香取慎吾。自身初となる“政治家を目指す男”の役を務める香取に話を聞くと……。(全3回の1回目/ ♯2 、 ♯3 を読む)
◆◆◆
11年ぶりのフジ連続ドラマ主演は“最低男”役
――フジテレビ系連続ドラマ木曜劇場『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』が1月9日からスタート。同局系連続ドラマの主演は実に11年ぶりです。
香取 まさかこうしてお台場で取材を受ける日が来るとは思いませんでしたね(※取材は昨年11月末、フジテレビ湾岸スタジオで実施)。
最近、いろんな取材の場で、「僕、もうレインボーブリッジを渡っちゃいけないのかと思ってたんだけど」なんて話しているんですけど、実際、連ドラが決まった途端、急に収録で毎日渡るようになったもんだから、すっかり感慨も無くなっちゃって(笑)。大体、急過ぎますよ!(笑)。いきなりフルスロットルで番宣もガンガン入るし、もうホントびっくりしてますよ。
――ドラマの決定を受けて、稲垣吾郎さん、草彅剛さんはどんなリアクションでしたか?
香取 草彅さんが思った以上に喜んでくれましたね。二人でやってるラジオ番組のなかで「連ドラやるんだ」と言ったら、「えっ、マジで!?」みたいな感じで。改めて「愛らしい男だな」って(笑)。稲垣さんは、もしかしたらまだドラマをやること自体知らないかもしれない(笑)。
――久々の連ドラの現場はいかがですか?
香取 連続ドラマはやっぱり大変ですね(笑)。たくさんのスタッフたちと一丸となって走り続けていますね。
「『この役、ちゃんと視聴者に共感してもらえるの!?』と少し不安です(笑)」
――香取さんが演じる主人公・大森一平は、選挙に当選するためのイメージアップを狙って、シングルファーザーの義弟(志尊淳)とその子どもたちとのニセ家族生活に臨む“最低男”という設定だそうですが。
香取 撮影に入る前、テレビ局が出すプレスリリース用のコメントで、「香取慎吾は“最高男”のなのに“最低男”が務まるのかな?」みたく話しちゃったんですけど、いざ現場に入ってみたら、ちょっと僕も引くほどの最低男で。撮影中のいまも、「え、もしかして俺いま悪役やってるのかな?」とか、「この役、ちゃんと視聴者に共感してもらえるの!?」と少し不安です(笑)。「そんなことないですよ」とプロデューサーは言うんですけどね。でも、だんだん気持ちよくなってきていて。
――人を謀(たばか)る男、腹に一物ある男に、楽しさが感じられてきたということでしょうか?
香取 そうですね。そもそも本来の目的を隠しながら秘密裏に何かを進めるって、僕らの仕事も似てるところがあるじゃないですか。何か決まっていても情報解禁までは内緒だし。音楽のアルバムも、「出来ました!」とお披露目する日に向けて、何カ月も掛けて、日々こそこそと作っていくし。
一平の台詞には、「これ、本当はAとBどっちの意味なんだ?」と考えさせられるものも結構あって、演じている僕も騙されています。前向きなテンションで台詞を言うと、「これ、まだ台本には書かれていないんだけど、実はちょっと裏の意味があって」とか言われて、「えっ、これもそうなの!?」みたいな。
最高男が最低男を演じるのは、難しいけど、面白いですね。ただ、一平はちょっと浅いところが多々あってツッコミどころ満載なんですけどね。僕自身はもっと念入りに、用意周到に企てますよ?(笑)。
「一平おじさん」は、年齢を重ねたいまだからこそ楽しめる役
――子どもたちとの撮影については?
香取 もちろん台本を読んで事前に分かってはいたんだけど、いざ「一平“おじさん”」と呼ばれると、「お、俺、おじさんなの!?」と、結構なカルチャーショックでしたね。もうそう呼ばれても全く不思議じゃない年齢なんですけど、最初はちょっと抵抗もあって。
でも、思えば僕には十代のころ、「カッコいいおじさんになりたい」という漠然とした憧れがあったんですよ。だから、いま「おじさん」と呼ばれる役が回ってきたことが率直に嬉しくて。撮影の合間も、子どもたちが「ねえ、一平おじさん。お菓子食べる?」とか言ってくると、何だか気持ち良さを感じちゃって。彼らから毎日「おじさん」と呼ばれることで、おじさんという感覚がだんだん馴染んできて、徐々に「一平おじさん」という役が形作られていくような気分で、そこも初めての楽しさですね。
あとはもうとにかく子どもたちがびっくりするくらい元気! 「そんなにパワフルだと夜まで持たないよ?」と言っても、ちゃんと最後まで元気いっぱいだし。もっとも、常に子どもたちと一緒にいるのは、彼らのパパ役の志尊淳くん。現場では、みんなを横目で見ながら「パパは大変。おじさんは楽だなあ」なんて思いつつ、自分の台本を読んでいます(笑)。
――志尊さんの印象は?
香取 志尊くんは人としてのコミュニケーションの距離感も程良く、一緒にいて、とても居心地がいい。ちょっとぶつかり合うようなシーンもあるんですが、初共演とは思えないくらいすんなりやらせてもらっていますね。
僕は事前に台本を読み込まないで現場に入るタイプなので、その分、撮影中は自分の台詞を読みつつ、常に戦闘態勢で次のシーンに備えているので、あまりグイグイ来られると困っちゃうんですよ(笑)。志尊くんはそういう心配がないのもありがたい上にカッコいい。身長は僕のほうが高いけど、スラッとしてて、すごくイケメン。しかも心が真っ直ぐ。みなさんに自信を持って薦められる男です(笑)。
志尊くんというパパがいて、一平おじさんは本来子どもが苦手という設定のぶん、父親や子どもに対して客観的な視点で、「ああ、こういう人って、こういう感じなのか」と役のことが見えてくる。そこも案外、僕にとっては初めての感覚かもしれませんね。
――つまり、年齢を重ねたいまだからこそ楽しめる役でもある?
香取 そうですね。もちろん、僕はおじさん路線でいく気はないけどね。いつまでもアイドルの“慎吾ちゃん”ですから!(笑)。
――今回の主役、座長としてはどのような心持ちで臨まれていますか?
香取 座長感は、いつもあまり意識しないんです。僕は自分がどうしたいとか、現場でほぼ何も言わないし。それは僕のズルさでもあるんですが……。
撮影 杉山拓也/文藝春秋
ヘアメイク 石崎達也
スタイリスト 黒澤彰乃
〈 「僕、人生も“雰囲気重視”で生きてるんで!」香取慎吾が今後“本当にやりたい仕事” 〉へ続く
(内田 正樹)
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