「今オレは」を連発する山下貴司法相への不安

文春オンライン / 2018年11月15日 7時0分

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家族は妻と一男二女 ©共同通信社

「移民受け入れ法案」とも言われる出入国管理法改正案の審議を機に注目を集めているのが、法案を担当する山下貴司法相(53)だ。

「中身が全くない、がらんどうの法案だ」(長妻昭・立憲民主党政調会長)と批判を強める野党への挑発的な答弁が話題を呼んでいる。参院予算委での立民・蓮舫議員とのやりとりでは、「事実上の移民政策ではないか」と迫る同氏に「移民の定義はない」と繰り返し、何度も審議は中断。

「桜田義孝五輪相のように読み間違いや事実誤認はないが、攻撃的であまりに傍若無人な答弁でした」(政治部記者)

 野党側は「山下氏はイライラさせたら問題発言をしそうだ」と照準を定め、安倍晋三首相の懐刀・今井尚哉秘書官は「予算委では野党の顔を立てないといけないのに、山下は恰好つけて自分でしゃべりすぎる。不安だ」と気が気でない様子だ。

口ぐせは「今オレは」

 山下氏は1965年生まれ。父は検事から弁護士に転じ、岡山市内で事務所を構える裕福な一家だったという。県立岡山操山高校から東大法学部に進み90年卒業。在学中に司法試験に合格して父と同じ検事になった。現在東京地検特捜部長を務める森本宏氏と同じ92年の任官である。

 政治家転身のきっかけは民主党政権時代の2010年に起きた尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件。中国人船長が処分保留で釈放された際に、仙谷由人官房長官が「那覇地検が判断した」と述べたのを見て憤激した。「政治的判断の責任を検察に丸投げして、冗談じゃねえ」と即座に辞任を決意、自民党の公募に応じた。2012年初当選の「魔の三回生」だが、仲間と群れない一本気で、渾名は「漢(おとこ)山下」。ルックスには自信があるらしくジェルで髪の毛をしっかりと塗り固め、鏡でチェックする様がしばしば目撃される。同氏をよく知る女性記者は「ちょっとナルシストっぽいところがあるかも」と笑う。

 最近、法務省内でついた新たな渾名は「今オレは」。打ち合わせ等で「今オレは、こうすべきだと思う」と自分の考えを連発するためだ。法務省事務方トップの黒川弘務事務次官は9期上。古巣の先輩たちを従える立場に、気が張りすぎているのだろうか。

 所属は石破派だが、安倍首相は総裁選で戦った石破茂元幹事長の足元を分断しようとあえて一本釣り。その山下氏の空回りが続けば、目玉法案の行方が混沌とする「裏目」の一手となりかねない。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2018年11月22日号)

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