乳児虐待男のウソを見抜いた警視庁特命班の“タイムマシン操作”とは?

文春オンライン / 2018年11月17日 17時0分

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新宿署から送検される堀田容疑者 ©共同通信社

「刑事の執念」と「最新の科学」の最良の組み合わせといえるかもしれない。

 2006年12月に生後11カ月の娘の櫻井亜衣ちゃんに暴行を加えて頭蓋骨骨折などの重傷を負わせ、翌年3月に死亡させたとして、警視庁捜査一課は11月7日、傷害致死容疑で継父の堀田伸輔容疑者(42)を逮捕した。発生から12年にして、迷宮入りにみえた捜査を結実させたのだ。警視庁担当記者は解説する。

「暴行当時、唯一現場にいた堀田の『こたつから落ちた』との説明を覆す証拠が得られなかったこともあり、警視庁は立件に踏み切れずにいました。ところが今回、改めて当時の解剖記録などをもとに複数の専門家に聞いたところ、最新の知見から『こたつから落ちた以外にも外部から強い力が加わらなければ骨折しない』との意見を得ました。胸腺という心臓近くの臓器の萎縮についても、虐待を受けた子供に見られる特徴であることが新たに判明。逮捕に踏み切りました」

 当の堀田は警察の影におびえていたようで、亜衣ちゃん暴行直後、治療が続く最中に行方をくらました。警視庁が所在を確認したのは、約5年後の12年。妻と離婚して住所が判明したことで、新宿署は任意の事情聴取に踏み切るも、堀田は改めて否認。

 そして今回、3度目の正直で堀田から「当時の説明はうそだった。なつかなかったのでイライラしたから、こたつから払い落とした」との供述を引き出した。

立件に結びついた“タイムマシン操作”

「立件の立役者は、今年から捜査に加わった捜査一課特命捜査対策室。未解決事件、いわゆる『コールドケース』専門の捜査班です。09年に新設されて以来、塩漬けになっていた数々の難事件の解明にこぎ着け、現在は60人前後の一大部門に成長。100以上の事件を担当しています。特に、当時は不十分とされた証拠に最新の科学的知見を適用することで立件に結びつける『タイムマシン捜査』で威力を発揮してきました」(同前)

 特命捜査対策室の設置は殺人罪などの時効撤廃、強盗致死罪などの時効延長が定められた10年の刑事訴訟法改正を見越してのもの。この時、傷害致死罪についても時効が延長されており、亜衣ちゃん死亡事件も時効を免れた。

 もう逃亡者に安眠は許されない。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2018年11月22日号)

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