スゴすぎるタワシの秘密?高性能で特許取得、外国人デザイナー起用…転身組が仕掛ける革命

Business Journal / 2014年12月16日 6時0分

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「谷根千(やねせん)」の別名で知られる東京の下町、谷中・根津・千駄木地区は散策場所として人気だ。森鴎外や夏目漱石など文豪が住んでいた街でもあり、近年はデートスポットとして気軽に入れそうな飲食店が次々に出店している。

 11月29日、不忍通りから一歩裏に入った細い道沿いの谷中2丁目にオープンしたのが「亀の子束子 谷中店」だ。同店を運営する亀の子束子西尾商店はタワシメーカーの代名詞的存在として知られ、今年で107年の歴史を刻む会社である。

 その老舗が、なぜ直営店を開いたのか。背景には、老舗製造業が直面するいくつかの事情があった。

●信頼の伝統、若い世代への浸透が課題

 まずは亀の子束子の発明秘話を簡単に紹介しよう。

 5代目で現社長の西尾智浩氏の曽祖父である正左衛門氏は、当時製作していたシュロ(ヤシ科の植物)で編んだ靴拭きマットに「足で踏みつけるとつぶれてしまう」と客から苦情が殺到し、大量の在庫を抱えて困り果てていた。

 ある日、妻のやす氏がマットの部材を丸めて掃除する姿を見て、正左衛門氏はシュロを利用して掃除する道具を思いつく。それが1907年に発売した亀の子束子の開発につながったのだ。原料はやがてココナツヤシの実の繊維に替えたが、現在はヤシとシュロそれぞれを用いた商品が揃っている。

 驚くのは、製造方法が明治時代から現代までほぼ変わらないことだ。多くは手作業で、一般的な用途のタワシでは、厳選されたヤシの実の繊維を針金に巻き込み、刈り込み機にかけて繊維の毛足を整えた後で折り曲げ、帯縄をかけて仕上げる。これを職人の分担作業で行う。

 各製造工程で寸法や重量の検査をし、最終検査では20項目以上の検査基準をすべて満たした商品だけを出荷する。天然素材のヤシやシュロを用いた手作りの高品質が特徴で、特許も取得している。同社が掲げる「亀の子束子が日本のたわし」のフレーズから誇りがうかがえる。

 昔からある商品「亀の子束子1号」は、現在1個313円(税込)。百円ショップや量販店でも類似品は売られているが、使っていくうちに違いはハッキリする。愛用者はそれを承知しており、実際に同社へ「日本に里帰りするたびに亀の子束子を買い求めています。使い続けて小さくなっても崩れないことに感銘を受けます」と米国在住の日本人女性から手紙が届いたこともある。筆者も地元の店で買って湯飲みを洗ったら、茶渋がきれいに落ちて小さな感動を覚えた。

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