「東京五輪のために羽田空港ゲートウェイ化」のまやかし…時代に取り残される大田区

Business Journal / 2019年9月11日 11時40分

 羽田空港利用者の推移を追った図表1を見ると、近年急速に利用者が増えていることがわかる。よく見ると国内線はほとんど変化していないが、国際線は2010年10月の再国際化以降、うなぎ昇りの状態。羽田空港がパンク寸前の状態にあることは間違いない。

 本連載で紹介したように、五輪開催時に海外からの観光客が増えるのか、逆に減るのかには、かなり怪しい部分がある。不効率な航路なら、なぜ早く改善しておかなかったのかについては、「横田空域」という一種の「治外法権」があることを多くの人は初めて知った。突っ込みどころ満載の話なのだが、一番の問題は、成田があるのになぜ羽田の増強が必要かという点にある。「成田は不便」というなら、それは成田空港をつくったときに議論しておくべき課題だったはずだ。

ハブ化できない羽田は巨大な「ローカル空港」

 インバウンド観光客が増えているのは紛れもない事実である。だとしたら、東京の国際線の主たる玄関口と位置づけられている成田空港でも、国際線の利用者が増えているのだろうか。図表2および図表3が端的に示すように、答えは「否」。成田空港の利用者数も増えてはいるが、それは格安航空会社(LCC)の誘致をはじめとした、国内線利用者が増加した結果である。

 長距離国際便が飛ぶには滑走路が最低3000m、大型機が燃料を満タンにして飛ぶには4000m必要で、世界の基幹空港は4000m級滑走路を複数持つのが標準とされる。成田空港は、この基準に合う滑走路が1本(A滑走路、4000m)しかない。ちなみに、羽田は3000m級を2本持つが、一番長いC滑走路でも3360m。そもそも、基幹国際空港たる条件を備えていない。

 インバウンド需要の増大にこたえていくには、成田の増強こそが本筋だろう。しかし、実際は「羽田をゲートウェイとする」という政治的判断に基づく羽田空港への国際線強化だけが進んでしまった。その背景には、世界的な潮流となったハブ空港化に、我が国が取り残されてしまったという焦りが存在していた。

 ハブ空港を一言で表現すれば、国際的な人流・物流の結節点を指す。人流でいえば、トランジット(乗り継ぎ)の利便性がその象徴。前述したように、基幹国際空港としては格落ちの感が否定できない成田空港の全利用客に対するトランジット客の割合は5.2%(2017年の『東京都統計年鑑』による、以下同)。これに対して、羽田空港はわずかに0.2%。国際線に限って見ても1.0%。なるほど羽田空港の規模は大きいが、その実態は国際的な航路ネットワークの末端にある「ローカル空港」の域を超えていない。

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