「東京五輪のために羽田空港ゲートウェイ化」のまやかし…時代に取り残される大田区

Business Journal / 2019年9月11日 11時40分

 ハブ空港の実力を示すもうひとつの指標である、貨物取扱量においてもまた然りだ。ACIのデータを見ると、空港貨物の取扱量(2017年)は成田の234万tがようやく世界の8位。羽田は138万tで成田の6割にも満たない。

ホテル不足は数の問題ではない

 ハブ化できないとはいっても、羽田空港の規模は巨大だ。その羽田空港は、大田区に何をもたらしているのだろうか。羽田を頻繁に利用している人のうち、蒲田に降り立ったことがある人はどれぐらいいるのだろうか。

 ホテルニーズの高まりは、羽田空港が大田区にもたらした数少ない影響といえる。図表4は、2018年4月時点での外国人宿泊者数とホテル客室数を比較した結果だ。国際線は深夜・早朝便が多いことから、大田区に宿泊したいと考える外国人観光客が多い一方で、ホテルの供給キャパが限られていることがわかるだろう。その結果として、区内のホテルは常に混雑状態にある。

 事態の改善に期待が持たれているのが、天空橋駅前の旧ターミナルなどの跡地再開発。2020年6月の開業を目標に工事が進んでいる第2ゾーンでは約1700室のホテルが整備される予定で、大田区内のホテル客室数は一気に倍増することになる。だが、量が足りれば、それで羽田空港と大田区の共生という課題は解決するのだろうか。

 2016年に大田区が国家戦略特区の活用による我が国初の民泊制度を導入した背景に、ホテル不足への対応があったことは間違いない。しかし、そこには、食事や買物や大田区名物の「黒湯温泉銭湯」の利用などを通じて外国人観光客とまちとの体験型交流関係を深めていくという、より重要な狙いがあった。ホテルニーズが空港内で自己完結してしまうと、便利かもしれないが、それ以上の広がりは期待できない。

天空橋再開発に見る、国と区の思惑の違い

 天空橋地区第2ゾーンの再開発は、今政府が国家戦略として推進しようとしている「MICE(Meeting、Incentive-Travel、Convention、Exhibition)」を強く意識している。

 新しいものが大好きな一方で忘れるのも早い日本人は、これまでもはやりの開発キーワードを目まぐるしく変遷させてきた。今はMICEが流行の最先端にあり、築地市場跡地利用のキーコンセプトもMICEだ。その意味では、これも「金太郎飴」の一種で、大田区では深夜・早朝便利用者の仮眠需要が多いという実態は発想の外に追いやられている。しかし、それでは羽田空港と大田区の共生関係はいつまでたっても実現しない。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング